3人の若者 いわなの郷物語
こちらはフィクション。
1000字弱の小話(こばなし)。
ある若者がいわなの郷に来たお話。
若者3人で
いわなの郷にやって来た。
男3人で。
一人は
もう月末で仕事を辞める。
他の二人も
今の仕事には悩みを抱えていた。
本当は辞めたいけど、
じゃあ何をしていいのかも
見出せなかった。
3人の休みがちょうどあったので
いわなの郷へ。
子供の頃行った
いわなの郷の印象を覚えていた。
ただただ無心に
子供のように
釣りをした。
日常の苦労を全て忘れて
ただただ
無心に
気づけば20匹
まだ暑い時期なので
焼いてから
持ち帰ろうと決めた。
焼くのに40〜50分もかかるという。
近くを流れる川にいわなを探し
ずっと寝ているネコ(タヌ)を愛で
ただ木々をながめる
そのうち
お互いに感じていることを一人ずつ吐き出す。
「仕事を辞めるけど
なんかダメになっていくようで嫌だ。
面白いことをしたい。」
「今は不満もあるけど、俺は続けていく。
これと行ってやりたいことがあるわけでもないから。」
「ハローワークでも仕事探してるけど
この辺りじゃなかなかないから、
別のところを考えている。
引っ越すのも悪くない。」
行きの車中では一切話していないことが
自然とあふれ出た。
特に
解決策があるわけでも
お互いにこうした方がいいと
言うわけでもない。
お互いがお互いの言葉を吐き出せたのが
気持ちよかった。
・・・そうこうして
いわなの塩焼きが焼けた。
とりあえず半分10匹焼けたから
食ってみる。
うまい!
うますぎる!
貪るように平らげる。
忙しそうな従業員に
タイミングを見て
声をかける。
残りも平らげてしまった。
「全部食べちゃったね!」
「頭も食べられたのかなあ。」
「こんなにうまいのかあ。」
いわなを釣り、自然に触れ、塩焼きをただ食った。
それだけだったかもしれない。
お互いに普段話せないことを話せたから
余計に美味しく感じられたのかもしれない。
また明日からは日常に戻る。
お互いにモヤモヤしたものは残ってはいた。
けど
今日の今ここを
無心になれたのが
心地よかった。
ただただ
心地よかった。
「今度はいつ行こうか?」
「秋の紅葉の頃がいいよ。
「俺その頃いないかもしれない。」
「じゃあ、その前か?」
「いや、ここで生きてくのも悪くないかもしれない。」
帰りの車中は
行きとは違った空気が流れた。
今日もありがとうございました!
ご縁に感謝です。サポート頂いたら、今後の学習投資に使わせて頂きます。