[歯科コラム]清掃のおば様たちー花より男子のメイド頭のタマさんのようなスタッフ達ーと歯科衛生士業務記録の書き方について。
『ズボンの股のところ、サイコロサイズの穴が空いていて、新しいズボンあるからそれに変えちゃいましょう』前任者3Lのゴムズボンを紐で締めてきている私が、ユニフォームボロで、滅菌や清掃スタッフの3人のおば様たちが、代わる代わる励ましてくれて助けてくれる。孫のように。
私の前任者が体格が大きくて、3Lで、私自身は余裕もってL。Mだとキツイ。産前はMで緩かったのに、子供二人産んでから6年以上経過して元の体型戻れてないのは私の怠慢でしかないのだが、試用期間中は前任者のユニフォームで乗り切らないといけないので、ブカブカを紐で縛ったり、上はダボッと、ラップするダンサーみたいなユニフォームの着方になっている。
ズボンの小さな穴を、縫ってくれた清掃スタッフさんもいて、でも洗濯したらまた穴があいてしまい、別の清掃スタッフさんが『ね、変えよう!これは酷い。あなたなんで何も言わないの?これでいいって着るの?!』と
私がどんなに院長とかスタッフに叱られても、反発することなく『はい、申し訳ありません。私が悪いので』で、進行して2ヶ月過ぎようとしている。
そしたら段々と、いろんなスタッフさんが、可哀想にみえるのか手伝ってくれたり、助けてくれるようになって、今では怒っていた院長や永年の先輩歯科衛生士さんまでもが助けてくれるようになった。
今日、デンタルIQの高い20年も通っている患者さんについた。フロスの指導をしたら『たちばなさんは?フロスするんですか?』と聞かれたので
『私は育児中で、小学生の息子が二人います。正直、子供を言い訳に自分のことを後回しにしてきたのですが、歯が腫れたり、痛かったりして、いまは自分を大切にするために、口腔ケアを自分のためにします。自分で時間をつくってしています。自分を大切にするようになったら子供にも笑顔で接することが出来たらから』
それに、感動した患者さんは『いいですね!素晴らしい。私はここに20年通っていて、子供は生まれた時からお世話になっております。虫歯が1本もありません。口移しでやらなければ虫歯菌や歯周病菌は口に赤ちゃんは、いないと言うので、いま大学生になりましたが、虫歯が1本もない!貴方も勉強熱心で感心します。』と。
いえ、私は勉強が足りないって院長やドクターに叱られております。患者さんのほうが、知識があることがある。私も頑張ります!また聞いてください。私で良かったら勉強してお答えします。
そういうと、患者さんが息子さんの名前を教えてくれて
『カルテを見てください。うちの息子のカルテを。貴方に見て欲しい。今までを』
そういわれて、空き時間に、息子さんの名前でカルテ記載をみて、本当に驚いた。
そこには、日記のように、2-10行に毎回渡る歯科衛生実地記録。5年勤続しているいまの先輩歯科衛生士さんの入力に、目を見開いてしまって。
釘付けになって、読んだ。小説のように。ここ数年のだけだ。だけど、凄い。内容を書くのは不味いけど、患者さんが、日常で起きたこと、話したこと、困っていること、保健指導、歯磨き指導が、その時々、わかりやすく、次のひとが誰が見ても、何が問題で、どこまで治療や説明があって、どうなっているかわかりやすく書かれていた。
うちは一見、ブラック歯科に見えるだろう。勤務体制や院長の物言いに少し問題があるかもしれない。だけど、なんというかこれが医療、かなと。
一人一人のスタッフが、患者さんの人生や生活まで考えて、書き込みするとか、想像出来ない。いやほんとはここまでしないといけない。でもやっている歯科医院なんて数える程で。
泣きそうになる。
凄い。私が、怒られるの当たり前だ。私はここまで配慮出来てない。ここまで考えて入力してない!全体像が見えてない!患者さんの人生の1部なんだ。歯科治療って。
ここまでするんだ……。ブラックかもしれないけど、院長や勤務医の取り組み方は、本気で凄いかも。カルテみて感動したの初めてなんだけど!
で、出来るかな。私に。でも、やってみよう。私、仕事、成長したい。もう43歳だけど。いけるところまで現役歯科衛生士でいれるように。