星屑の眠る湖ー朗読台本ー作 :館花琴音
「星屑の眠る湖」 作:館花琴音
それは、静かな静かな場所にありました。
山奥の中の、湖のほとりの近くに、小さなウサギとハリネズミと
アライグマが仲良く住んでおりました。
湖には、星が降ります。
湖の底に、星屑が金平糖のようにキラキラと溜まります。
ウサギと、ハリネズミとアライグマは、その星屑が欲しいのですが
湖に入ると溺れてしまうため、取ることは出来ませんでした。
ある日、ひとりの人間の男の子が来ました。
小学生くらいのその男の子は、ウサギとハリネズミとアライグマをみて、可愛いから飼いたいと思いました。
その3匹が湖の底にたまる、星屑を私たちにくれるのなら、貴方に飼われてもいい、といいました。
その男の子は、迷わずに湖へ飛び込みました。
ところが、何時間経っても、男の子が浮かび上がってきません。
3匹は、男の子が溺れてしまったのではないかと怖くなりました。
どうしよう、人間の男の子には、湖の底にもぐるということは、大変なことだったのかもしれないと。
すると、湖からキラキラとたくさんの星が飛び出してきました。
その輝きが眩しくて、目をつぶったあと
3匹は、人間の女の子になっていました。
そこに男の子が、現れました。
「おかえり、お姉ちゃん」
その瞬間に、記憶が流れてきました。その男の子は、三姉妹の弟であること。湖で溺れてしまい、亡くなってしまったこと。三姉妹は弟を探すために死者の国にきて、動物に変えられてしまって本来の目的を忘れてしまったこと。
「会えた……」
三姉妹は、泣きました。ずっと会いたかった弟が、星になっていました。キラキラと輝いて。
「お姉ちゃん迎えに来てくれてありがとう。神様が今回だけ許してくれた。次に死んだらもう帰れないけど今回は帰れるよ」
湖の底にあったものは、星屑という名前の死者の魂でした。
三姉妹はずっと金平糖のような、星屑を探し求め、湖の底をみつめて年月を過ごしていたのです。
三姉妹と弟は、無事に家に帰り、幸せに暮らしましたとさ。
End