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【特別公開】「正義」だけは脱構築することができない
次代のプロ作家を育てるオンラインサロン"「私」物語化計画"の本編。タイトルは『「正義」だけは脱構築することができない』。4週に渡って『正義』についての講義が展開された。今週はその最終回だ。Webサイト上にテキストの冒頭部分が特別公開されている。
まずは、これををチェックした上で、わたしの感想を読んでいただければと思う。
わたしの感想
講義の内容を軽く抜粋する。
さて、この「悪」の反対語はなんだろうか。
先週は自分自身を振り返ると言う意味から「善」ということで話を進めたのだったが、少し範囲を広げると「正義」ということになるのではないだろうか。この「正義」というのが厄介で、それは実に相対的なものなのだ。
正義の問題について議論する時、たとえばこんな設問がよく取り上げられる。
《1人を殺せば5人が助かる。あなたはその1人を殺すべきか?》
今回の話は多分難解なので最初に結論を書いてしまいますが、文学的正義には2枚のカードがある。1枚目のカードは、小説作品それぞれに添付されているカード。これを仮に「文学作品正義カード」と呼ぶことにする。もう1枚は、それがないと作家が(作家でなくても)書いていく、あるいは生きていく意味を失いかねない「脱構築不可能な正義カード」だ。
長いテキストなので一部だけをピックアップしてみてもさっぱりなんのことだかわからないよね。誤読を承知でざっくり切ってしまうと、この『正義』についての講義は、結論ありきではなく『考える』ことに重点が置かれている。なので、2回目の講義では会員の方々へFacebookのコメント欄に意見をカキコミしてもらうという試みだった。
設問は4つ。ハーバード大学のマイケル・サンデル教授による哲学講義“JUSTICE”から引用されていた。
ひとつだけ挙げてみよう。いろいろと考えさせられる話だと思う。
・主治医の携帯電話の番号:年に1,500ドルから。
1,500ドルから2万5,000ドルの年会費を払うのをいとわない患者に対し、携帯電話の番号を教えて当日予約をとれるようにする「コンシェルジュ」ドクターがますます増えている。
出典『それをお金で買いますか:市場主義の限界』早川書房
さてさて、ここからが「わたし」の感想。まあ、感想というより、最近のニュースで『正義』について考えた、というよりモヤモヤとした話題をひとつ挙げてみる。
先日、ニューヨークで開かれた国連気候行動サミットで16歳の少女がスピーチした話。
全文はこちら。
それに対しての否定寄りの反応(もちろん一部)がこれ。
まあ、司会者のローラ・イングラハムさんは過去にもいろいろと炎上した人ではある。
トランプさんだけでなくプーチンさんまで。そんな反応に対して、こんな動画もつくられた。
If you’re a grown adult enraged by 16-year-old activist @GretaThunberg, satirist @markhumphries and his co-writer @evanwilliams have created a new service that could help. #abc730 pic.twitter.com/vkbuSpwa9U
— abc730 (@abc730) September 26, 2019
環境活動家(大人)に利用されている点は、たしかに否定できない。大人が絡んでいなければサミットに彼女は出席できなかったわけで、ポイントは利用されているのがどちらかってことだ。
ノーベル平和賞の有力候補とまで言われている彼女には、出る杭は打たれる的な攻撃もあるわけで。彼女のプライバシーに関する記事もすでに既出だ。
そして、自身を否定したプーチンさんにも反論した。
さて、さて、さて。
だれが『正義』で、どれが『正義』なのか。もっと言い切っちゃえば、そもそも『正義』を決めるのはだれなのか。簡単に単純に、おまえが『正義』ね、とは言えないことだと思う。
それでも、物事は決めていかなければならないし、『正義』ではないものは、いずれ後世にとっての厄介なお荷物となってしまう危険性があったりする。
グレタ・トゥーンベリさんを一例として挙げたけれど、こんな話題はそれこそ挙げきれないほど、ある、ある、ある。ものすごくいっっっぱい、ある。
地球とか世界とか、そんな広い(とはあまり思っていないが)話ではなく、もっと身近な例でも「今のうちに考えて、行動しておかないとダメダメよ」という話は至るところに転がっているんだよね。
どうしましょ?
Text:Atsushi Yoshikawa
(注)感想はあくまでも、わたし個人の感想です。決して、"「私」物語化計画"の講義に対する正答や正解ではありません。