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shine's whisper

「ねぇ、みぃちゃん知ってる?
寒い、寒い冬の日には天使が地上に降りてくるんだって」
「えぇ〜嘘だぁ」
「ほんとだって!」

ここは雪深い北海道の小さな町。
この町には古くから伝わる伝承があり、それは

『一番寒い冬の日に天使がやってきて、幸せを伝えてくれる』
と言うものだった。

「えぇ、でも去年も、一昨年も、すごくすごく寒かったけど、天使なんか現れなかったよ?」
「えぇー…
それは、確かにそうだけど…」
「ほらぁ〜絶対嘘じゃん!」
「う、嘘じゃないもん!
お母さんが言ってたんだもん!」

しかし、小学3年生の二人は天使を見たことがなく、この噂は本当なのか?
疑っている様子だ。

「じゃあすーちゃんのお母さんは天使、見たことあるの?」
「あるよ!
だって、あるって言ってたもん!」
「へぇー、すごいね!」
「でしょ!」

すーちゃんと呼ばれた少女は友人にすごいと言われ、ドヤ顔をしている。
その時。

「あ!」
「あ!」
二人は空を見上げ、一斉に声を上げた。
空からキラキラと光りながら雪が舞い落ちてきたのだ。

「綺麗だね」
「そうだね」
いつもこの時期に起きる、美しい現象。
二人はこの景色が大好きだった。

「じゃあ、そろそろ帰るね」
「うん。また明日ね!」
そう言って二人はキラキラの中をそれぞれの家に帰って行った。

二人がこのキラキラが「天使の囁き」と呼ばれ、町の伝承の事であるのを知るのはまだもう少し先のお話。


* 2月17日 天使の囁きの日 *
北海道幌加内町の「天使の囁きを聴く会」が1994年に制定。天使の囁きとは、空気中の水蒸気が凍ってできるダイヤモンドダストのことである。
1978(昭和53)年のこの日、幌加内町母子里の北大演習林で氷点下41.2℃という最低気温が記録された。
しかし、気象庁の公式記録の対象から外れていたため、1902(明治35)年1月25日に旭川市で記録された氷点下41.0℃が公式の日本最低気温となっている。
これをプラスイメージに変えようと、町内の若者グループが中心となり、この日ダイヤモンドダストの観察等厳冬の一夜を体験する「天使の囁きを聴く集い」を1987(昭和62)年から開催している。
引用:今日は何の日(https://www.nnh.to/02/17.html)

[ あとがき ]

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