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ポリティカル・アパシー(政治的無関心)に思うこと

 以前の文章で、私が長年に渡って新聞を読んできたことを述べた。その影響で、私は政治にも関心が比較的強く、多くの日本国民が政治へ無関心であるという今の状況は改善されるのが望ましいと考えている。昨年行なわれた第49回衆議院議員総選挙はコロナ禍、首相の交代など話題には事欠かないように見えたが、蓋を開けてみると55.93%と戦後3番目に低い投票率を記録した。

 特に20代は37.73%と一層問題は深刻である。これこそポリティカル・アパシー(政治的無関心)に他ならない。私はなぜ日本国民が、特に若者世代が政治へ無関心なのかというと、彼らが政治を自分事に出来ていないからだと考えている。これはリースマンの二類型でいうところの現代型無関心にほど近い(もう一方は伝統型無関心、他にラスウェルの三類型なども政治的無関心の分類として有名)。「自分一人が投票したところで世の中は何も変わらない」と思っている人たちに、私ははっきりノーと伝えたい。私にそう思わせた事例があるので紹介する。2019年2月に投開票された佐賀県の鳥栖市長選挙だ。

 この選挙は、18歳となり投票権を得た私にとって初めての選挙だったのだが、現職が新人候補相手に10票差という薄氷の勝利であった。もちろん現職候補に投票した人のうち、6人が違う考えだったらこの選挙結果は変わっていたことは明らかだが、むしろ、この選挙の投票率も44.58%(有権者数57,621人、うち有効投票数25,478人)と低かったことを考えると残りの5割強、有権者32,143人次第で選挙の結果はどうにでも変わり得たことが分かる。

 また同じく私の地元での国政選挙も、政治を自分事にするにはもってこいの教材だ。歴代、佐賀県第1区はいつも接戦を繰り広げてきた。その結果、比例代表での復活当選もあり、過去4回の衆院選で2人の候補人が国会議員に選出されてきた。今回2021年に行なわれた最新の総選挙でも有権者数333,792人に対して、票差は133であった(落選議員も惜敗率の末、やはり比例復活を果たしている)。どうだろう。たった一人の行動であっても国や社会を変えられる、投票がそんなきっかけの1つや2つぐらいにはなる気がしてこないだろうか。

 実は、悪い話ばかりではなく朗報ともいえる、こんなデータがある。日本財団が2019年に発表した日本やアメリカ、イギリス、中国、韓国やインドなど9カ国の17歳から19歳、それぞれ1000人を対象にした調査によると、「自分で国や社会を変えられる」と考える日本の若者は約18%で、残り8カ国で最も低い韓国の半数以下というダントツの最下位であった。また今度は9カ国トップの約38%が国の将来は「悪くなる」と答えたのだが、その一方で、解決したい社会課題として「政治を良くする」を挙げた割合が約43%と高くなっているのだ。私はこのデータを我々が考えているほど若者の政治的関心が低くない表れだと捉えている。

 だからこそ私は、政治家自身やメディアにもっと政治への関心を高められる取り組みの実施を呼びかけたい。政治家が日々どんなことをしているのかラフに知れる機会があっても良いのではないかと思う(e.g.政治家に密着して日々の仕事内容や考えをまとめた記事、その地域にゆかりのあるアスリートや芸能人といった著名な方から農業や漁業に携わるような一般の方まで幅広い人々に政治をどのようにして自分事化しているか取材した記事など)。また、国民・有権者にはとりあえず選挙に行こうと呼びかけたい。特にはじめのうちは、いずれかの候補がなんとなく若者の代弁者になってくれそうといった理由でも個人的にはOKだと思っている(そこから徐々に公約にも関心をもってもらえれば)。政治を自分事に出来る機会や政治に少しでも関心を持って投票するきっかけが、若者一人一人に何かあればと願う。

 …随分と他人任せな結びになってしまった。本当は、私も政治について深いレベルでは自分事に出来ていないのかもしれない。ただ一つ明らかなことは、今までの日本社会を作り上げてきたのは課題感を抱えた一人ひとりの問題意識や改善行動の積み重ねであるということだ。…

ざき

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