Story 2 光ダンゴムシ
「セニョール、セニョリータ。俺の名前はダン・ティアーゴ。」
「見ての通りダンゴムシだ。
ダンゴムシの世界で一番もてる男がどんな男か知っているかい?
えっ、知らない!?なんてこった。
一番もてる男と言えばタンゴが踊れるタンゴムシじゃないか。
俺のようにタンゴが踊れるタンゴムシはスーパーヒーロー、そう光ダンゴムシとして尊敬されるうえにもてもてなんだぜ。」
「わかったかい?えっ、わからない?よく聞こえなかったって?」
「セニョリータ、なんだい?えっ!?タンキムシって言ったのかって?」
「おいおい、セニョリータ。怒る男はもてないだろ。俺はレディに怒ったりするような野暮な男じゃないぜ。俺はモテモテの…」
「セニョール、なんだい?えっ!?モンキームシって言ったのかって?」
「おいおい、セニョール。ウッキーウッキーな男はもてないだろ。俺はモテモテの…」
「セニョリータ、今度はなんだい?えっ!?モンクムシって言ったのかって?」
「ブツブツ言う男は好きかい、セニョリータ?え、大嫌い?だろう?俺はブツブツをぐっとのみこむ懐の広い男なんだぜ。だから俺はモテモテの…」
「セニョール、最後まで聞いてくれよ。えっ!?インクムシって言ったのかって??」
「セニョール、そりゃ、俺の体はインクのように真っ黒だ。でもな、セニョール。ダンゴムシは全部真っ黒だ。みんなと同じじゃもてないだろ?俺はモテモテの…」
「セニョリータ、頼むから最後まで聞いてくれよ。えっ!?インドムシって言ったのかって?」
「カレーは俺の好物だ。あの辛さがたまらないよな、セニョリータ。今度一緒に食べに行くかい?えっ?辛いのは嫌いだって?そりゃ失礼。俺が振られたのか…?俺はモテモテのはずなのに…。」
「セニョ~ル!!だから最後まで聞いてくれ。えっ!?ボンドムシって言ったのかって?」
「セニョール、ボンドなんか使ったら足がくっついてしまうじゃないか。 足がくっついたら俺は一生真ん丸だぜ。そんな丸男はもてないだろう。だから俺はモテモテの…」
「えっ!?ボンゴムシかって?」
「セニョリータ(泣)俺の足は短すぎてボンゴを足の間に挟むのは無理だ…、みなまで言わすなよ。泣けてくるじゃないか…。俺は、モ、テ、モ、テ、の…(涙)」
「えっ、タンゴムシかって?セニョール、セニョリータ。違う、違う。
俺はダンゴムシだ。ダンゴムシ。わかったかい?なになに?ようやくわかったって?それはよかった。セニョール、セニョリータ、それじゃあ、アディオス!」
~しばらくして~
「あっ、あっ、待てよ、待ってくれよ!!最後にタンゴムシって言ってたよな。セニョ~ル!セニョリ~タ!そうだよ、そうなんだよ。俺はタンゴムシ、光ダンゴムシなんだよ!聞こえているかい!?セニョ~ル、セニョリ~タ~!!!!!」
「俺はただのダンゴムシだと思われたまんまじゃないか~!」
おしまい
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※毎晩息子に読み聞かせならぬ語り聞かせをしています。内容をどんどん忘れていくので書き留めていくことにしました。
物語の題材として「光ダンゴムシ」といただいた時からダン・ティアーゴのイメージがありました。言葉の最初と最後を順番に入れ替えていっているんですが、これが難しく、なかなかうまくいきませんでした。もっとよいのがひらめいたら修正していこうかなと思います。