南十字星ベクルックス探索物語 ★手中におさめる★
手中におさめる
2016/10/30
青い光に導かれやって来た。 ふと目を逸らした先に見えるガラス越しの新緑が美しい。
向かいに座った人が、何やら形容しがたいものを指し示す。
ギリシャの神殿のような柱が、途中でグニュっと曲がり、下部は点々に囲まれた丸い空間になっている。その空間は、過去のようであり、今から作られるもののようでもあり。
何かの機械のよう。何のためのものなの?
消化しやすいように噛み砕いてくれて説明してくれるが、何なのか、まるでよくわからない。その熱心さだけが伝わる。
「構造を支えるものなので」
それにしては、軽そうだ。両手で持っているからね。
形容しがたい宇宙のカタチ。
それをそのまま、手の中におさめておけ。