ペルセウス座アルゴル探索物語② ★潜入調査★
潜入調査 2016/11/18
「知らない奴に教えられるか」
受付カウンターで名簿の確認から始まった。
最近、面白い研究会ができたと聞き、どんなところか知りたくて来てみただけなのに、キツい感じの対応だった。
何をやっているのか知らない人が多い。知っていても、うまく説明できないらしい。
「名前は?」
姓名を告げると、書き込まれた。
えっ、私、メンバーになってしまったの?
さっきの勢いの割には、簡単過ぎて、ちょっとビビる。
「そもそも、この次元のものではない」
カウンターにいた黄とグレー柄のリュックを背負った外人は、それだけ言い残して去っていった。
そこへ向かう道を渡る人が途中で歪み、止まったままになっている。
まるで映画のワンシーンみたいだ。
「50〜80%くらい」
また誰かが囁いて去って行く。
それくらいの人しか辿りつけないのか。
謎のベールに包まれているのも無理はない。
「ラクシナは何しにいらっしゃいました?」
くるくるパーマの外人男性がにっこり微笑んだ。
私の名前じゃない。コードネーム?
いやここの名前?
ここまで来たのに、入れなくなると困るので、黙ってにっこりしながら、通り抜ける。
中に入ると、20人弱の男女がワイワイと、いろんなことをやっている。2人の男女が前に出きた。
「スペルク聞く?」といって、手を叩き始めた。
最初は噛み合い過ぎて、同時だったのが、そのうち交互に叩くようになり、リズムを刻み始める。これをスペルクというのか。
そこで、ハッと気づいた。あの女学生2人組の1人。この女の子は何か隠している。そうだ。行方不明者の情報だ。その命に関わる情報。潜入調査ために、私はここに来たのだった!なぜ忘れていたのか。
奥の物置部屋に入ると、そこには壁に2〜3センチの穴がいくつか掘られている。その情報は、ここに隠されている。
突然、女の子が戸の向こうから手を伸ばし、穴に隠したものを取り出そうとし始めた。向こうから、こちらは見えない。だが、どきどきしながら、じっとその様子を伺っていた。
*アルゴル探索後に、そのまま夢を見ました。それを混ぜて物語にしました。「ここの特性は何ですか?」と質問したら、「知らない奴に教えられるか」と本当に言われたのです。セキュリティが固い割には、名前を書いたらあっさり入れました。
今回、この物語を出すに辺り、調べてみてわかったことがあります。
アルゴルは、ペルセウスに切り落とされたメドゥーサ首の部分ですが、その首から滴り落ちた血はペルセウスによって2つの瓶に集められ、アテナイに献上されたそうです。右側の血管から流れて右の瓶に入った血には死者を蘇生させる効果が、左側の血管から流れて左の瓶に入った血には人を殺す力があったそうです。アテナイは後に、死者を蘇生させるメドゥーサの血をアスクレピオスに授け、彼はこの血を混ぜた薬を使用したそうです。
私は過去世で、アスクレピオスの夢の神殿で仕事をしていた記憶があるのですが、アルゴルとこんな形で関連していたとは初めて知りました。命にかかわる情報とは、薬に使われた血の情報を調査しようとしていたのかもしれません。だから、あっさり入れたのかもしれないですね。
●3年前に恒星探索して作った物語は、以上です。これからは夢物語を書いてみたいと思います。