シリウスA探索物語② ★魔術師のカード★
魔術師のカード 2016/11/9
A2は、今日も掘り続けていた。
掘って、掘って、とにかく掘っての毎日。そのせいで、右手はいつもビリビリしている。
掘っているのはクリスタル。線と線が重なり合っている所を慎重に掘らなくてはいけない。
採掘道具もクリスタル製だから、すぐにダメになってしまう。ノミと槌だけでトンネルを掘ったお坊さんがいたらしいけど、そんな30年どころじゃないよ、こっちは、すでに何万年か経ってるよ。A2は、大きくため息をついた。
もう限界だと思ったことが何度もある。それでも、手を休めることなく、ひたすら掘り続けてきた。
線と線が重なり合っている所に何があるのだろうか?
そもそも、一体何のために掘っているのだろうか?
ずっと昔に掘り始めたA2は、その目的すら忘れてしまっていた。でも今更、いやなおのこと、そこに到達するまでは、やめる訳にはいかない。
掘り続けているその手を、ふっと緩めた瞬間のこと。
縦長でしゅーっとした光の存在がそこに立っていた。ずいぶん前からそこにいたようだ。
A2は尋ねた。
「どうしたらいいのでしょうか?」
その存在は逆に質問してきた。
「自分が何をやりたいかだ」
A2がやりたいことを答えると、その存在は言った。
「復活プログラム作動」