弱音を吐けるということ
こんにちは。仙台は定禅寺通りのケヤキの葉が少しずつふくらみ、新緑がまぶしい季節になりました。これを読んでくださっている皆さんは、いかがお過ごしでしょうか。
認定NPO法人STORIAは、仙台市内で1カ所の子どもの居場所からスタートしましたが、この春で活動が9年目を迎えました。
子どもの居場所を始めて以来、ひとり親、ふたり親にかかわらず、子育て中の家庭では色々な出来事があって、初めは代表の佐々木がその都度親御さんからの相談を受けていました。
徐々に一人だけでは間に合わなくなり、3年前(2022年)から仙台市の委託を受けて「ひとり親家庭等向けの相談窓口」を開設することになりました。
今日はここ数年の間で感じていること等々を綴りたいと思います。
〇困っている時に「困っているんだ」と言えますか?
ひとり親家庭向けの相談窓口を開設して以来、たくさんの方々(シングルマザー、シングルファーザー等)からご相談をいただきます。
多くの生の声をお聞きする中で感じることは「日本で、ひとり親として子どもを育てることってこんなに大変なんだ」ということです。
全ての方がそう、という訳ではないと思いますが、色々な事情から経済的にも精神的にも厳しい状況に立たされている(立たされやすい)方がたくさんいらっしゃいます。
・離婚しても養育費がもらえていない。
・子どもが幼くて働くことができる時間が限られている。
・頼れる親族がいない。(金銭面、子育てヘルプ共に)
・仕事と子育ての両立が難しい。
・気持ちに余裕がなく子どもに強く当たってしまう。
・がんばって働いたら、ひとり親の支援が打ち切られてしまった。
・子どもに十分に食べさせてあげられない。
・学費が払えない。
・消えてしまいたい。
などなど。
困っている時に、「困っているんだ」と言うのが苦手、という方いないでしょうか。
私もどちらかと言えば苦手なほうかもしれません。
(今は困っている時には困っていると言う練習中、頼れる時には一人でがんばろうとせず、人を頼る練習中です)
孤独に陥らないようにするためにも、横のつながりって大切ですよね。
上下のつながりではなく横のつながり。
私たちは「相談窓口」と言っていますが、あくまで横並びの意識で相談をお受けしています。
情報を求めている方には情報をお伝えすることもありますが、気持ちを吐き出したい方、気持ちを整理したい方などに対しては、あくまで「一緒に考える」というスタイルを取っています。
孤独に陥りそうになっていたけれど「ひとりじゃなかった」と思えたことで、明日への活力が湧いてくる、ということもありますよね。
〇弱音を吐ける、弱さを見せられる相手がいますか?
「弱音を吐くんじゃない!」「がんばれ!」「人を頼るな!」「自業自得だ!」「弱い=甘えだ!」「甘えるな!」
そんな言葉をまだ大切に握りしめている人はいないでしょうか?
握りしめているつもりはなくても、どこかにこびりついている人はいないでしょうか?
時代は変わってきていると言っても、まだまだ人の意識は新しい時代と古い時代を行ったり来たりしているように感じることがあります。
「弱音は吐いてもいい」
「がんばらなくてもいい」
「人を頼ってもいい」
「1人で責任を負わなくてもいい」
「弱くてもいい」
「甘えてもいい」
と思います。
「自立する」ことはより多くの依存先とつながること、という考え方を聞いたことがあります。
たった一人でがんばることが自立、なのではなくて、横のつながりを拡大していくことが自立なのかな、と思います。
弱音は誰にでも吐けるわけではないと思います。
がんばりすぎて、心身のバランスを崩してしまう方も数多くいらっしゃるようにお見受けします。
多くの方が決して同情を望んでいるわけではないと思います。
ただ、大変なんだ、ということを分かっていてほしい、という気持ちがある方は多いと思います。
自分が大変な時「大変なんです!」と周りに向かって(または全世界に向かって)公言できる人はなかなかいないかもしれません。
日本人は昔から「忍耐」を美徳と考えるところがありますから、大変なのにポーカーフェイスでいる、大変なことを周りにも公言しない、という方も多いでしょう。
私たちがめざしているのは、大変な時に大変だ、と言い合える。困った時に困っているんだ、と言い合える関係づくりです。
「困った時に困っていると言える相手がいること、
そして必要な時には解決に向けて一緒に動いてくれる人がいること」
そういう空気があること、そういう文化があること、それが恩着せがましいものでなく自然であることをめざしたいと思います。
長文をお読みくださりありがとうございます。
STORIAの活動に関わってくださっている方、
いつも応援してくださる方、全ての方々へ感謝を込めて。
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