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[前編]AI活用で勝ち組に!2025年の店舗人事で後れを取らないためのポイント3選

どうも、StoreHR総合研究所 所長の萩野です。

2024年末には、OpenAI、Googleが新しいAIモデルやアプリケーションを次々と発表し、また国際学会やビッグテックの研究所からも重要な論文が矢継ぎ早に公開され、急速なAI技術の発展に追いつくのがやっとでした。

エンタープライズ領域では「AIエージェント元年」といわれる2025年は、バックオフィスを中心にAIがホワイトカラーの仕事を現実的に代替するフェーズに入り、特に人事領域には大きな変革をもたらすと予想されます。

2024年もAIを活用した様々なHRソリューションが登場し、先行する企業では試験的な導入・利活用が盛んに行われていましたが、2025年はこれらの技術が実用化され、勝ち組企業では全社展開が進み、遅れを取る企業との明暗を分ける一年になります。

激しい変化に取り残され差をつけられないよう、店舗ビジネスの人事領域に焦点を当てて、2025年のトップトレンドを3つご紹介したいと思います。

そして私なりに、30年後の店舗ビジネスをとりまくテクノロジーの未来についても想いを馳せてみました。少し長くなったので、前編・後編の2本立てにてお送りします!


  • 2025年のStoreHR × AIトレンド予想

    • 人事の仕事は9割減?!AIエージェントの衝撃

    • 全ての店舗が一瞬でグローバル化?!誰もがマルチリンガル店員に

    • 文系人事がデータ分析?!全員データサイエンティスト時代の到来

  • 2025年はAIエージェント元年

    • AIエージェントの普及により、採用業務やバックオフィス業務が言葉だけで指示可能な時代に突入

  • AIが実現する効率化とは

    • 応募者情報の整理や面接日程の調整を自動化

    • BytespaceやGumloopなどのツールを活用し、数分で完了するデモが話題

  • 文系人事でもできそうなAI活用が増えている

    • ノーコードツールで誰でも業務改善が可能に

    • 人事担当者が戦略業務に集中できる未来が実現するかも?

1. 人事の仕事は9割減?!AIエージェントの衝撃

マルチモーダルな自律的AIエージェントとは?

先日私がXで紹介した、AIが企業の法人番号、所在地、株式コードや決算に関する情報などを自動的に検索し、情報を収集してくるデモ動画です。

このデモの中ではプログラムは一行も書いておらず、まるでスタッフに依頼をするかのように要求を書いて実行しただけ。
この操作の裏側では、OpenAI GPT-4oが、ブラウザに表示されているHTMLのソースコードとスクリーンショットの画像情報を元に、画面に表示されている情報やボタンを認識しまるで人間がパソコンを操作するように、フォームを入力したりページを遷移しています。テキストのみならず、スクリーンショットの視覚情報も使っているまさにマルチモーダル(*1)な自律的AIエージェントが動いています。
*1:異なる種類の情報をまとめて扱うこと。例えば、テキスト、音声、画像、動画、センサ情報など。

これまで、ノーコードツールやRPAなどで開発が必要だった操作の自動化が、言葉で指示するだけで解決できるようになります。

昨年12月にGoogleから発表されたProject Marinerも、Geminiに命令するとChromeブラウザを自動で操作をしながらブラウジングや調査、目当ての商品を発見してくれるものでした。

人間がシステムを操作するためのUIをAIが視覚的にも理解して、作業を肩代わりすることが当然のようにできるようになってきました。

マニュアルを読んでもよくわからない複雑な業務システムなどは、人間よりもAIのほうが得意です。AIエージェント元年の2025年は、その重要な要素技術である人間と同じようにUI操作をする技術が急速に発展する一年になるでしょう。

要はAIによるソフトウェア同士の連携

自律型のAIエージェントの要諦は、人間の業務と同様、様々なシステムやサービスを使いこなすこと、つまり多くのソフトウェアの連携にあります。
LangGraphCrewAI もしくは Dify などでワークフローを定義し、n8nzapier で複数のシステムを連携するというAIエージェント構築のデザインがよく見られます。

そんな中、昨年12月Googleが Google Agentspace という社内向けAIエージェント構築のソリューションを発表しました。

Google Workspace だけではなく、Microsoft SharePoint やSalesforce、 ServiceNow などにアクセスしRAG(*2)をベースとしたAIエージェントを作れるようになるようです。
*2:RAG(Retrieval-Augmented Generation)とは、生成型AI(文章を自動生成するAI)に、外部の情報を検索・取得して回答に反映させる手法のこと。例えば、データベースやWeb情報などをもとに、AIが最新の情報を取り込みながら文章を生成するのが特徴。

また昨年末頃から、OpenAIやAmazonはAI同士が連携して仕事をしやすくなるような仕組み(AIオーケストレーション)を公開し始めています。

特に、OpenAIからは今年に入りオープンソースとして Realtime API Agents が公開されたので、リアルタイムなAIとやり取りができるAIエージェントシステムの構築も一気に進んでいきそうです。

文系でもノーコードツールで業務改善ができるようになりそう

AIエージェントにより、バックオフィスを中心にホワイトカラーの仕事を現実的に代替できるようになりましたが、中でも労働集約性の高い人事領域では多くのAIスタートアップがソリューションを提案しています。

「データスクレイピング(*3)からパーソナライズされたメッセージ送信まで、数分でLinkedInを自動化した!」と動画を投稿したのは Bytespace というチーム。

AIプロンプトを使って構築されたBytespaceというツールを用いて、LinkedInで候補者情報を収集し、相手に合わせてチューニングしたメッセージを送信するデモは反響が大きく、ウェイティングリストの登録者数が1,000人を超えているとのこと。
*3:Webサイトやさまざまなオンラインソースから、自動的に大量の情報を取得・収集する技術のこと。プログラムや専用ツールを使ってWebページの文章や画像などをまとめて取得し、分析や活用に役立てる。例えば、製品の価格データやニュース記事などを大量に集めたい場合に行われる。

またこのデモは、従来工数の多かったITエンジニアの候補者整理作業をGumloop というツールを使って、30分でつくったぞ!と言っています。

具体的には、まずITエンジニアのポジションへの応募情報をもとに、候補者が利用するコード公開サービス「GitHub」でのアクティビティを確認します。その後、条件を満たしているかをチェックし、Excelシート上で候補者を優先順位ごとに並び替えていたのが、大幅に時間短縮できるとのこと。
こうしたノーコードのツールも進化が早く、プログラムを触ったことのない文系人事の方でもすぐにAIエージェントって採用など業務効率を上げていけるようになります。

例えば、応募者への対応、面接日程の調整、応募書類のスクリーニングといった定型業務をAIが代行することで、担当者はより戦略的な業務や店舗運営に集中できるようになります。

下記の画面は、私が候補者からのメールを受信したら、面接担当のカレンダーから空いている時間を取得し、候補者の希望の日程と調整して確定した日程をカレンダーに登録したあと、メールで返信するというAIエージェントを開発している様子。

実は、自立型のコーディングエージェント(Cline)を使い、試験的にプログラムを一切書かずに指示だけでシステムを作りました。

このように、自分でAIエージェントを開発する敷居もどんどん低くなってきていますし、LinkedInのようなプラットフォーム自身がAIツールを提供するなど、採用担当者の業務はどんどんAIで置き換えられるようになっていきます。

LinkedIn Hiring Assistant:AIを活用して採用担当者の管理業務を70%削減し、より効果的な採用活動を支援するアメリカのサービス

こういったテクノロジー主導のアプローチは、採用プロセスを迅速化するだけでなく、体験の個別化を可能にしますし、無意識のバイアスを最小化することで多様な人材を認識し、全従業員が活躍できる包括的な環境の構築を促進します。当然、多言語での対応も可能なので、外国籍の人材採用や、グローバルへの事業進出のハードルもどんどん下がっていきますよね。

続きは後編で!

まだ1章が終わったところですが、長くなってきたので、続きは後編にて!

後編では、

  • 2. 全ての店舗が一瞬でグローバル化?!誰もがマルチリンガル店員に

  • 3. 文系人事がデータ分析?!全員データサイエンティスト時代の到来

  • 30年後のAI活用に想いを馳せる

について触れていきたいと思います。

次号、乞うご期待。

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