#インボイスRADIO vol.13 タクシー業界編
2022年7月20日インボイスRADIO vol.13 タクシー業界編
――本日はタクシー業界編ということで、2名の個人タクシーをされている方と、税理士の佐々木先生と一緒にお話を聞いていけたらと思っております。京都個人タクシー互助協同組合所属の金田伸太郎さんです。よろしくお願いします。
金田伸太郎さん(以降、金田) よろしくお願いします。
――もうお一方、自交総連ATU協同組合に所属されていて、東京都内で個人タクシーを営んでいらっしゃる、中嶋すすむさんです。こんばんは、よろしくお願いします。
中嶋すすむさん(以降、中嶋) こんばんは。よろしくお願いいたします。
――まず中嶋さんのお仕事の内容をお聞きしてもいいですか?
中嶋 普段は今、夜中に仕事っていうか、夜10時くらいに家を出まして、翌朝のだいたい10時くらいまでお仕事をしてるスタイルなんです。
――なるほど、夜中。
中嶋 はい。今までずっと仕事、コロナの影響で昼間にシフトしてたんですけれども、最近やっぱり人が夜も戻ってきたので、最近また夜にシフトを変えつつやっております。
――やっぱり夜のほうがけっこうお客さんが多かったり?
中嶋 コロナ前に比べたら、やっぱりまだまだって感じなんですけども、少しずつ人は戻ってる感じですね。
――個人タクシーの団体に所属されてるみたいなかたちなんでしょうか?
中嶋 団体っていうのは、まあそうですね、協同組合に所属をしております。
――協同組合に入っているっていうのは、個人タクシーやってる方は普通みんな入られるものですか?
中嶋 個人タクシーをされますと、どこかの協同組合には所属します。協同組合というのは要するに、東京に限ってはないのですけども、「かたつむり」、我々業界用語で「でんでん虫」さん、それからもう一つが、提灯の行灯の、「提灯」の協同組合さんが主には組合さんであります。
――横のつながりはありますか?
中嶋 横のつながりはありますね。
――インボイス制度が始まった場合、個人タクシーの方って、お仕事内容にも結構関わってくるのかなって。「インボイス出せないから使わない」とか、そういうことが関わってくるのかなって思うんですけど、どういった感じでとらえられていますか?
中嶋 インボイスを始めると、やはり今まで免税だったのが、要するに皆さん課税業者になるわけですね。そうしますとやっぱり、その翌年は大丈夫かと思うんですけど、2025年のときの課税するときに、どっと20万円とか30万円とか来るわけですよね。例えば年収だいたい500〜600万円くらいでですね、売り上げされてたら、だいたい20万円くらいの、一気に課税を納めるというのが来るわけですね。
ーー東京界隈で働かれてる個人タクシーの方って、やっぱりみんなだいたい1000万円以下というか、免税事業者で。
中嶋 そうですね、だいたい1000万円以下がほとんどだと思います。
――じゃあ結構、みんな直接関わってくるような制度になっちゃう?
中嶋 そうですね。その通りですね。
――税理士の先生にお聞きしします。個人タクシーの方からも相談はありますか。
佐々木淳一税理士(以降、佐々木税理士) 私は普段、お客様に個人タクシーの方っていうのはいらっしゃらないので、直接的に声を聞くっていうことはないです。ただこの問題って、何年も前から実は言われてたことだと思うので、消費税が10%に上がるときにも、確か京都のタクシーの組合の方たちだったと思うんですけど、10%に上がるに伴っての問題点を指摘して、そのときにインボイスの話も問題として少し出てきてたと思うんです。
直接的には聞いてないんですけど、やっぱり今回のインボイスについても、タクシー業界の方含めて、すごく大きなダメージがあるんだなっていうことは、メディアとかを見てて思うところがあります。
――タクシーって、普通に企業の方とかも移動で使って経費で落とすっていうのもけっこう当たり前にあるんじゃないかなと思うんですけど、そういうことにも関わってきちゃうんじゃないかなっていう気は。
佐々木税理士 そうですね。本当に今おっしゃる通りで、タクシーの運転手の方の中で、個人タクシーの方で免税事業者の方が多いっていう話を先ほどおっしゃってたと思うんですけど。そのときのダメージをくらう当事者って誰かっていうと、個人事業主のタクシーの方なんですけど、それ以外の方にもすごく大きな影響があるっていうところが、先ほどおっしゃってた部分だと思うので。
いわゆるサラリーマンとかが、例えば接待したあとにタクシーを使ってもらったりとか、タクシーを利用する機会ってすごく多いと思うんですけど、そういうときにも、いわゆる「関係ない」と思ってる会社員の方についても、「あのタクシーはインボイスを発行するタクシーなのか、発行できないタクシーなのか」っていうところを、選択しなくちゃいけなくなってしまうっていうことになってしまいます。
そうすると、やっぱりインボイスを発行してくれるタクシーを選んでしまうっていうことになるので、タクシー業界においても、インボイスを発行しない事業者が市場から排除されてしまう問題点につながっていくっていうところがあるんですね。
――そうですよね。タクシーに限らず、いろんな業界でやっぱり、インボイスを発行できないからっていう理由で排除される人たちが出てくるっていうのはありますよね。
佐々木税理士 そうですね。
――中嶋さんにちょっとおうかがいしたいんですけれども、領収書発行で経費を使うような、経費として落とすような方々を乗せることは多いですか。
中嶋 例えばですね、やはり大きな大企業の方々、それから深夜宅送で官庁や報道関係、新聞社とかテレビ局の関係で個人タクシーに乗る方もいるんですけど。そういう大企業との、例えばインボイスが始まった場合ですね、やはり課税っていうか、課税事業者(インボイス発行事業者)の車と、そうじゃない免税事業者の車と、なんですかね。課税業者の車にやっぱり差っていうか、免税事業者の車には乗らないと。そういう、なんていうか不当な扱いを受ける可能性、そんな感じを危惧してるんですよね、やっぱり特に。
――そうですよね。見た目にわかりやすくしようみたいな動きもあるっていうふうに、ちょっとうかがったんですけど、インボイスを発行できるかできないかっていうのを、タクシーを見てわかるように設定しようっていうお話も聞いて。
中嶋 「でんでん虫」さん系は、行灯を課税と免税に分けるような、そういう方向で今検討してるっていうのは、仲間から聞きました。私の所属してる「提灯系」は、まだそこまでまだ話し合いしてないんですけども。
――お仕事仲間の間でけっこうそういうお話しするんですか?
中嶋 そうですね、そういう情報は聞いてます。
――個人タクシーの業界では、インボイスはちょっと、なんかやばいんじゃないかみたいな話って、どれくらい前からされてます?
中嶋 やっぱり今年になってからやっぱり、話は聞くようにはなりましたね。
――じゃあだんだん浸透してきている感じなんですか?
中嶋 そうですね。ただ、なんですかね、やっぱり上から、上に言われた通りにやるんだっていう仲間もいますし。それから、とりあえず一応免税で様子を見て、様子を見て課税になるかっていう仲間もいます。
――けっこう割れてるっていうか?
中嶋 そうですね。ですから、やっぱり大企業のお客様が中心で、銀座とか新橋とかをお仕事の中心にされてる方っていうのはやっぱり、基本的にはたぶん課税事業者になると思うんですね。
ただ、やっぱり地元。地元というかちょっと離れたところ、北千住や赤羽、吉祥寺方面でやってる個人タクシー事業者さんは、やっぱりちょっと、いっぺんそのまま今まで通りやろうか、っていうような感じも、ちょっと話を聞いておりますけど。
――そういう、一応選択はできるっていう体というか、かたちがあるから、今のところそういう風に?
中嶋 そうですね、割れてるんですけども、上部団体の協同組合のトップは、「課税事業者さんになりなさいよ」っていうことは、やっぱり、私たち事業者さんには話していますね。
――団体としては、インボイスを取得して、インボイスっていうかその番号を取得して仕事をするように、っていう風には推奨されてるっていう?
中嶋 はい。
――労働組合として、インボイスに登録してくださいっていうようなことを言われてるんですかね?
中嶋 労働組合としては、インボイスは反対ですね、基本的には。
――登録を促されてるというのは、どこからなんでしょうか?
中嶋 それは上からですね。協同組合のトップの役員さんたちですね。
――中嶋さんは、東京都内で、都内の組合のほうではそういう対応ということですね。
中嶋 はい。
――ちなみに、「インボイスRADIO」の方にも以前出て頂いた、日本共産党の大門みきし議員(当時)がタクシー業界について、2022年4月の参院財政金融委員会のほうで、個人タクシー、提灯の色で免税業者とインボイス登録している事業者、区別するみたいな話をちょっと紹介してて問題になっていましたよね。まさに先ほど中嶋さんおっしゃってたのは、それですね。
佐々木税理士 そうですね、行灯っておっしゃってましたけど、行灯ってあれですよね、タクシーの天井というか、屋根に乗っかってる。
中嶋 そうですね、あの屋根に乗っかってるやつですね。昔でいいますと、禁煙、禁煙タクシーとか、そういうあれをつけてた時期がございましたね。それと同じです。
佐々木税理士 だからあそこ、あの色を分けるっていうことは、完全にものを取り替えることになるっていうことでいいんですか?
中嶋 まだそこまでははっきりはしていないんですけども、たぶん行灯とかにシールとか、ドアにシールを貼るとか、そういう方向もあるかもわかりませんけど、そんなにはっきり、まだ私もはっきりそこまではちょっと情報が入っていません。
佐々木税理士 恐らくそこの部分の対応って、各自の所属してる組合とかで変わってくるような気がするんですけど。私も以前聞いた対応の方法として、タクシーの色を全部塗り替えるみたいな感じで聞いたことがあるんですよね。中嶋さんにちょっとお聞きしたいのが、私もあんまりタクシー業界のことって全然わからないのでお聞きしたいんですけど、例えば個人タクシーの方が、ボディの色が例えば白が多いとか、何色が多いとかってあったりするんですか?
中嶋 ボディの色は、基本的に東京の特別区は今、「かたつむり」さんも今、黒い車が少しずつ入っておりまして。基本的には白色にブルーラインが引いてあるのが「かたつむり」さんです。私の所属している「提灯系」の個人タクシーは、基本的には白と黒ですね。白色のタクシーと黒のタクシーの2種類でやってます。
佐々木税理士 以前に聞いたことがあるのが、そのボディの色を変えるのに7万円〜10万円くらいかかる、って聞いたんですけど。そこの金額的な部分っていうのは、だいたいそのくらいの数字になるんですか?
中嶋 例えばもともと白い車だったのが、もともと別の所属だったのが、例えば「かたつむり」さんの車……、ラインを追加するだけで、やっぱりそうですね、10万円近くかかるとか聞いてますね。
佐々木税理士 10万円稼ぐのって、けっこう、実際の労働時間で考えると、2~3人お客さん乗っけてとかっていうレベルじゃないですよね。
中嶋 そうですね。
佐々木税理士 なんでインボイス、誰にとっても得がない制度になんでさらにお金払わなくちゃいけないんだっていう。
ーーそうですよね。ちなみに、お客さんからインボイス登録について聞かれたこととかはまだないですか?
中嶋 今のところは、お客様からインボイス制度のことはまだ聞かれてませんね。私がお乗せしてるお客様からそういう話は聞いてないですね。
ーーそうなんですね。中嶋さんは夜10時から朝の10時まで働かれているというお話だったんですが、個人事業主の方って、もっといろんな働き方があるような気がしてるんですけども、だいたい皆さんそういう、12時間労働の方が多いんでしょうか?
中嶋 個人タクシーは基本的に、労働時間っていうのはやっぱり決められておりませんね。やっぱり自由なスタイルなんで。昼型の人も朝6時に出て、昼間3時くらいに上がる個人タクシーさんもおりますし。夜8時から翌朝の5時までやる個人タクシーさんも、いろいろその働き方はみんな自由なんですね。
ーーなるほど。それこそ家庭のいろんな事情があって、長時間働けない方もいらっしゃったりもするっていうことですよね?
中嶋 そうですね。それぞれやっぱり自身の病気のことか、あと家族の介護とか、そういう方もいますので、いろいろその働き方はあると思います。
ーーなるほど。なのでたぶんこのインボイスが始まると、それこそ長時間働けなくて、それこそタクシーの運転手だからこそ自由に働く時間が選べてできてる人たちもけっこう厳しくなるんじゃないかなと思うんですけど。その辺、中嶋さんの実際お知り合いがそういう方いらっしゃるとかありますか?
中嶋 ほとんど厳しくなるとは思いますね。
ーーあと先ほど佐々木先生から、ボディの色の塗り替えの話もあったんですけど、きっとあのメーターって言い方ですか、領収証を発行するための機械もおそらく買い替えというか?
中嶋 メーターの機械もそうですし、それからボディの色は先ほど言いましたけど、私訂正させていただきたいと思いますけど、色は変わらないと思うんです。
ーー提灯を替えるか、ステッカーを貼るかっていうのと。
中嶋 行灯の脇に、ステッカー……別の小さい行灯を付けるのか、シールを貼るのか、そこまではちょっとわかりませんけども、そういう可能性もありますね。
ーーメーターを替えるのは、けっこうな費用がかかってきますよね、おそらく。
中嶋 そうですね、やっぱり2万円くらいはかかるんじゃないかと、おっしゃっておりました。
ーーあと私が個人的に気になっているのは、終電のあとにタクシーを利用することがあるんですけど、駅で並んでるとタクシーが来て、その都度インボイス登録しているのかしていないのかみたいなのをいちいちチェック、乗る側としてはしなきゃいけないっていうのもまた、変な話ですよね。これきっと、駅前のタクシーなんかは、パンク、パニックというか、混乱するんじゃないかなっていうふうには思ってますけど、その辺り、何かご意見ありますか?
中嶋 駅前とか、例えば、ちょっと離れた、都内から離れた駅っていうか、地元の駅、例えば私たちが営業している23区だと吉祥寺、赤羽、蒲田、北千住の駅だったらですね、たぶん、混乱は起きるかもしれませんけど、ほとんど地元でやってる方々はやっぱり、ほとんど免税事業者のままの可能性はありますよね。
乗る方も普通のサラリーマンとか、男性か女性の若い方々っていうのが中心になると思うんで。よほど会社から請求できる、そういう大きい会社はまた別かもしれません。個人で乗る分には、それは関係なく乗ってくると思うんですね。インボイス、課税とか免税とか、は、関係なく乗ってくると思うんですよ。
ーー会社とかから「インボイス登録してるタクシーだけ使ってね。じゃないと経費で落ちないよ」と…。
中嶋 その通りです。
ーーなったときに、トラブルになってしまうということですよね?
中嶋 そうですね。
ーー私は取材で行くときにタクシー使うことが多いんですけど、必ずそれは、取引先に提出しなきゃいけない、領収書なので。そういう私みたいな立場の人ってかなり多いような気もするんですけど。
中嶋 うんうん。
ーーシールを貼ったりっていうことって、いつ頃までにやりなさいみたいなことは、今後そういう風になっていくんですかね。結構ギリギリまで準備されないものなんでしょうか?もう結構だんだん準備されていってる段階ですか、今?
中嶋 そろそろ準備段階に入ってくるとは思います。
ーーじゃあもう登録期限までにはだいたいでき上がっているんじゃないかって感じですか?
中嶋 はい、ですから来年の3月までにはもう、だいたいでき上がってるんじゃないかとは思いますね。
ーーなるほど。金田さんどうでしょうか?
金田 京都の場合でいうと、東京のようにタクシーの事業組合、個人タクシーの事業組合というのが、「提灯系」といわゆる「でんでん虫系」といわれてるところ以外に、そこのところに加盟していない事業協同組合というのがあって、私もそうなんですけど、それでいくと7つの団体があるんです。私はその7つのうちの1つの「(京都)個人タクシー互助協同組合」というところに所属をしています。
互助協同組合でいうと、まだインボイスはやはり、制度上まだ始まってないので、なんとしても反対して、なんとかこの動きを止めようやないかっていうことで、日々してるわけなんです。この私の所属しているところ、約200人ぐらいの事業組合なんですけど、一人ひとりの対応にまかされてるんです。というのは、その、上部団体からの加入している人もおるんですけども、その人らもやっぱり、それはもう一人ひとりもう判断していこうということで、今のところは準備も何もしていないのが現実なんです。
ただ、ご存じのとおり、京都の場合は観光都市なので、観光案内とか、旅行会社から仕事をもらうとかして、タクシーを貸し切って使われる方で仕事されてる方もおられるので、そこのところでいうと、やっぱり、言うたら親方がインボイス登録してて本人は登録してなかったら仕事がもらえないという不安があるので、登録せざるを得へんかな、どうしようかな、っていう相談もやっぱり来てますね。
ーー組合の方々っていうのは、7つあるっておっしゃってましたけど、基本的にはみんな組合からしてもインボイスは反対してるような?
金田 完全に反対しているというのはもう、この私が所属している協同組合は、制度上やっぱりよくないと。廃業させる気かと、いうことで反対の立場を取ってます。
「でんでん虫系」といわれている、いわゆる事業組合のところは、やっぱり上から言われているので、もう受けざるを得ないのかなというかたちです。ただ、そこの中でも「俺はしないんだ」っていう人はもう仕方ないかなという、そういうかたちになるのではないかなと。
ーーなるほど。そうですよね、そういうふうに一応自由度があるようではありますけど、やっぱり上とのつながりみたいなのがあったりすると、だんだん仕事が振られなくなってとかっていうことも考えられます?
金田 そうですね。観光専業でやられてる方はそうなんですけど、観光とか何もしない、「もう俺は駅だけ並ぶんだ」とかね。「流しで、流し営業するんだ」っていう人は別に、そこはこしたことないので、領収書出ない、「インボイスの領収書を出してください」って言われても「いや、うちやってへんから」言うて、「後ろ乗って」とかね、そういう発想になりかねてるのが今の現状なんですよ。
ーー現場で働いている皆さんからすると、そういう選択肢も「あり」ではあるっていう?
金田 ありではあるし、私自身もね、「いや、そんなん別に猶予があるんやから、別にそこまでギリギリまで考えたらいいやん」って。「また制度いきなり変わるかもしれへんし、わからへんよ」っていう話はしてます。
ーー結構、組合の中でそういうお話されますか?
金田 やっぱり組合員さんと会うときにはね、そういう話で「インボイスどうする?」って聞かれたら、「僕はもうギリギリまでせえへんで」と。「そんなあわてても、またコロッと変わったら大変やろ」っていうことで、言い続けてます。
ーー金田さん自身は、特に観光に特化してるわけではない感じですか?
金田 まあ、仕事の比率でいくと、だいたい6割ぐらいは観光案内のほうを中心にはしてるんですけどね、やはり観光ないときは駅に並んだり、さまざまな公共施設とか、流し営業とかしてね、仕事しますので。
ーーインボイスがもし本当に予定通り、来年の10月から始まったってなると、けっこう不安はあります?
金田 不安はありますね。
ーーそうですよね。
金田 はい。どんだけ税金取られんねやろというのは、正直思いますしねえ。
ーーそうですよね。皆さん、1000万円以下の免税でやられてる方が、基本的には多いって感じですかね?
金田 そうですね。だから京都の、まあこれは法人・個人足してですけど、平均で売り上げでいくとだいたい500~600万円ら辺なんですね。1000万円超える人っていうのは、個人タクシー約1900事業者、京都府内いますけども、1割あるかないかぐらいなんですね。
そういう人はもう毎日、いうたらそういう、今までで言えば英語がしゃべれて観光案内できてとかね、そういう人ばっかりであれば1000万円以上できますけど、まずはなかなか、そんなにはできない都市になってますので。
ーーそうなんですね。大きい会社から言われて、個人に、委託でやってるみたいな人もけっこういるんですか?
金田 なかにはいるんじゃないかなと思いますけどね。表に出てきてないだけで。
ーーじゃあそういう、仕事を振ってくれる会社なりがいて、まあ所属ではないけどそこと一緒に仕事をしてるっていう人もある程度いるけど、基本的には個人で動いてるって感じなんですか?
金田 そうですね、京都の場合はそういう方がまだ多いんちがうかなと思いますね。なかにはそういう、こう、どっかのとこ入って下請けとかね、そういうのはあるかもしれませんけど。まあだいたい周り聞くと、そういう仕事が、仕事が出てきてとか、そういう話になるので。
ーーじゃあ、インボイスを登録しないと仕事がもうすごく減ってしまうとか、もらえなくなるんじゃないかっていうほど、上にボスがいて、みたいなかたちではないって感じなんですか?
金田 うーんと、だからその……ボスというか、観光の仕事でされてる方は、そういうまあ、変な言い方ですけども、元締めじゃないんですけど。例えば大きい旅行会社があって、そこの下請けがあって、下請けから仕事もらっているという人は、必ずインボイスしないと仕事が来ないというのはあると思いますね。
ーーけっこう周りでは、皆さんちょっと「本当は嫌だけど」みたいなのがあったりするんですかね?
金田 あると思います。もうしかたなく登録せざるを得へんなと、生きていくためにはっていうのが、私も一緒の事業組合の人も、1人、2人、そんな話は出てますね。
ーーもう登録されてたりとかするんですか?
金田 まだね、京都ではそれはまだ、あまり聞いたことはないですね。
ーーじゃあギリギリまで考えようかなって人が多い?
金田 そういう人があるのと、あと「インボイスって何?」っていうほうがまだ多いと思います。
ーーじゃあ、あまり浸透していない?
金田 していない。全部もう、いうたら、税理士さんとかにおまかせっていう人が多いので。自分できっちりやってる人っていうほうが少ないので、「じゃあ税理士に言われたから、しかたなく登録しますわ」みたいな、そういうほうが多いのちがうかなと思うんですね。
ーーじゃあ、みんなで話しているなかで、危機感をかなりもっているっていう人は大多数ではないっていう?
金田 大多数ではないと思います。まだまだ、まだまだ少ないと思います。
ーーそういう危機感をもってる人がいろいろ活動したりとかってこともないですよね?
金田 まだ、「インボイスの制度が始まるとこういう影響が出たり、ああいうことがなったりなりますよ」っていう学習会は、事業組合の中ではしてるんですけど、そこまでの程度やと思います。
ーー金田さん的には、危機感もって、今やられてて、こうやってお話しして頂いている?
金田 そうです、そうです。危機感、やっぱり、どうなんねやろっていうのはありますしね。やっぱりね、ありますからね。
ーー「こういう未来になるんじゃないか」みたいなのがあったりしますか?
金田 いや、だからもう、まあ私の場合、まだ個人タクシーになってまだ浅いんですけど。言うと、個人タクシーの制度というのは75歳までっていうのになっているので。(※注:個人タクシーの営業で必要な事業許可の更新が75歳以降はできないため)
まだ私の場合は約三十数年、免許がおりれば続けられるんですけど、そこでいうと、なんかどんどんこう、そういう税制面でいうと悪いほうに悪いほうにいってるなっていう。お先真っ暗までいかないですけど、仕事ができなくなる、制度がなくなるんかなって思ったりね。こういう風に思ってしまいますね。そういう税制面でどんどんどんどんこう、締られてっていうのはありますね。
ーーどういう風にしていったらいいんじゃないか、みたいなアイデアというか、あったり?
金田 まだまだそこまでは浮かばないですけど、やっぱりでも、ずっと税金ばっかり取られるような世の中じゃないほうがいいなっていうのは、正直思いますね。
ーーそうですよね。ちょっと佐々木先生にお伺いを。この危機感というか、地方によっていろいろ変わったりするでしょうか?
仕事内容が、それぞれちょっと違ったりすると思うんですけど。
佐々木 そうですね……。情報の届いている、届いてないっていうところでいくと、やっぱり地方のほうが圧倒的に届いていない印象は受けますよね。ただ逆に、地方のほうが影響を受ける人って数多く存在するんじゃないのかなという風に思って。
売上高で考えたときに、日本中どこにいても1000万円以下の、年間の売り上げが1000万円以下の事業者は免税事業者なので、やっぱり地方の人のほうが、売上高が少なくなる傾向にはあると思うんですよ。個人事業主のほうが多かったりっていうのもあると思うので。
その点で考えていくと、影響がすごい大きいにもかかわらず、大手メディアとかがあまり取り上げてくれていない、っていうのも影響してるのか、地方のほうにはあまり声が届いていないっていう。
ーーそうですよね。ありがとうございます。それでは、ちょっと阿部さんよろしいですか、川柳を。
ーーありがとうございます。改めまして、こんばんは。「STOP!インボイス」の活動のなかでも最も優雅な時間、インボイス川柳のコーナーの阿部でございます。よろしくお願いします。ではさっそく、今週の作品を詠みたいと思います。「世論・運動・パワー」さんからの投稿です。
というわけで、これ確かにその通りだと思っておりまして、このRADIOで何度かお伝えしていると思うんですけど、税制については年末の税制改正大綱というものがありまして、そこで最終的な判断が下されると。なので、そこまでにどれだけ反対の声が上げられるのかがポイントになると思ってますので、皆さんどしどし反対の声をインボイス川柳に託して、ご応募いただけたらと思います。ということで次の作品です。「三澤達五郎 サンチェス」さんからの投稿です。
これは、「前掛け」のという比喩的表現がすてきだなと思って選んでみました。前掛けっていうことは、つまり小商いといいますか、小売業とか飲食店とか八百屋さんとか、小商いの方たちを表しているんだろうなと思っております。そうした小規模、零細事業者にとって、国にとってですかね、国にとっての小銭のようなお金も、そういう小さな事業者にとっては大事なお金でして、そういうところ、そういうところからも等しくお金をさらっていく、それがインボイス、ということで詠んでみました。次の作品です。「岸田総理の本音」さんからの投稿です。
これはずっと噂されて、ささやかれていますが、そもそもインボイスというものが複数税率で有効とされる制度、これ実は違うんじゃないかという意見もあったりはするんですけども、そういう風に言われていまして。
つまりインボイス導入するっていうことは、その先にヨーロッパ並みの、最近19%に上げるんだとかいう噂があったりしますけど、ヨーロッパ並みの20%にして複数税率でもっと、今、軽減税率、日本は2種類ですけど、それをもっと複雑にして、っていうのを実は狙っているんじゃないかというか、まあそもそもインボイスを導入するということはそれが目的と言っちゃってもいい気もするんですけども。
そもそも、複数税率にするときに有効的だといわれてるものを導入するということなので。なので、ちょっとその辺のことも踏まえながら、インボイス制度の是非っていうのを考えられたらなと思って詠んでみました。
というわけで、今週の優秀作品は、今夜か明日か明後日か、「STOP!インボイス」のTwitterで発表したいと思います。そして、インボイス川柳の投稿、まだまだお待ちしておりますので、どうぞ、どうぞよろしくお願いいたします。ということで、今週は以上になります。
ーーありがとうございました。ちょっと明るくして頂いたんですけど、ちょっと中嶋さんにもう1回少しおうかがいしたいんですけども。
先ほど、金田さんが、インボイスの登録をしなくても、うちはやってないからっていう風に対応していくんじゃないかな、っていうお話があったんですけど、東京のほうだと結構そういう風にやるよ、みたいな人もいたりしますか?
中嶋 しますね。いますね、やっぱり。
ーーじゃあもう、「うちはやってないから」っていうことで、もう、登録はしないっていう?
中嶋 そうですね。登録はしなくてもいいという人も聞きます。
ーーじゃあ、それはそれでやっていけるような未来が見えてたりするんですかね?登録なしでもやっていけるんじゃないかっていう。
中嶋 そうですね。やっぱり駅付けとかされてる方は、インボイスの、やっぱりその課税事業者というより、一般の方が乗る方が多いので、やっぱり。
ーーそうですね、そうおっしゃってましたね。
中嶋 はい。それから、例えば官庁で、銀座とか新橋とか、深夜宅送とかそういう仕事をされている方にとってはやっぱり死活問題なので、やっぱり課税事業者にならなきゃ仕事減るっていうのは現実だと思うんですね、これから。
ーーそういう点でいうと、人の多い東京で働いてる方のほうが、そういう圧迫感みたいのを感じてるかもしれないですね。
中嶋 そうですね。
ーーちょっとそろそろお時間だと思うので、最後にお二人に聞きたいんですけど、今後、このインボイス制度を、皆さんは反対だと思うんですけども、どういう風に反対の声を上げていったらいいのかなっていうこと、何か考えてらっしゃったりしますか?中嶋さんから。
中嶋 一番はやっぱりもう、やっぱり消費税減税するか廃止するかが一番ですよね。社会保障をするために消費税あるってのは聞いたんですけど、それでまたインボイスの増税・導入されて、また税率が、消費税の税率が19%、20%と上がったときに、やっぱりすごく死活問題だと思うんですね。
私たち個人タクシーだけじゃなくて、フリーランスの方だとか、いろんな方に、小規模でやってる親方さんとか、やっぱり死活問題なんで。まず、もうインボイスはやっぱり中止して、消費税をゼロにするようなそういう運動をやっていかなければいけないなと思うんですけど。
ーーありがとうございます。金田さんはいかがですか。
金田 そうですね、消費税もそうですけど、インボイス制度、もう導入させない、もう中止させて、もうまったくさせないという運動が、やっぱりまだまだ広がってないのかなっていうのがあるので、まずそこからかなっていうのがあるんです。
やっぱり声上げて、小さい力で上げてても、いずれかは大きくなっていくと、やっぱり動きも世論も変わってくると思うので、やっぱりそういうところを味方につけないとなかなか難しいんかなっていうのは、正直思います。
ーーそうですよね。まず一人ひとりが知らせていくっていうか。
金田 そうですね。
ーー知ることから、やっていかないとって感じですよね。ありがとうございます。ほかに発言したいという方がいらっしゃったら。
佐々木税理士 私の方からすいません、いいですか。先ほどお二人の方からもあったんですけれども、このインボイス制度っていうのは、本当に絶対入れちゃいけない制度だと思って。誰しも負担しかないものに間違いなくなるんですね。
先ほどの川柳でも、はじめに紹介された、「インボイス制度が始まる前なら止められる」っていうものがあったと思うんですけど、その通りではあって。実はこれってすごい大事なことだと思って。
消費税ももともと大きな反対運動があったんですが、いろいろ折衷案的なものを放り込んできて、はじめ3%から5%、8%、10%っていう、ゆくゆくは15%、20%っていう風に上げようとしているじゃないですか。
なので小さく入れて大きく広げるっていうのはすごい簡単なことだと思うんですよね。実際に消費税の税率増税で証明されてますし。本当にくやしいのが、日本税理士会連合会の方でも、折衷案的なものを最近提案していて。経過措置っていうものを今入れて、インボイス制度、これまで反対の立場でいたはずなのに、手のひら返したようなかたちで折衷案を提案しているような部分があるんですけど、結局折衷案で入れたところで、あとでどうなるかっていうところが、必ず悪くしかならないと思うんで。
本当に、今年年末までがすごく大事な時期なんじゃないかと思ってます。絶対入れちゃだめなので。今日聞いてる方とかにも、今後の、先ほどの小さな声がどんどん大きくなっていくと絶対変わると思うんで、そういったところに協力、協力というか声を上げていただいて、広げていきたいなというところは思います。
ーーそうですよね。このRADIOとかもその一環だとは思うんですけど、まずスタートさせないっていうところですよね。
佐々木税理士 そうですね。
ーー始まっちゃうと、どんどん苦しくなっていくのは我々の方っていうか。
佐々木税理士 生活が苦しくなっていくのは間違いないので。
ーーそうですね、私もすごくそれを感じています。消費者として感じることもけっこうあるので、まずそういう制度が始まらないようにと思って、声を上げていきたいなと思ってます。
佐々木税理士 そうですね。
ーーありがとうございます。京都個人タクシー互助協同組合の金田さんと、自交総連ATU協同組合の中嶋さんに来ていただいて、個人タクシーのお話をしていただきました。今日はありがとうございました。
金田・中嶋 ありがとうございました。
●この回の音声アーカイブ(YouTube)
●「インボイス制度」反対へのオンライン署名
Change.org のサイトから、簡単に署名ができます。ご賛同頂ける方は、ぜひリンク先からご署名ください。10万筆、20万筆と積み重ねることで、国を動かす大きな力になります。
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