#インボイスRADIO vol.11 参院選SP/れいわ新選組・長谷川ういこさん
2022年7月6日インボイスRADIO vol.11 参院選SP 第二部
れいわ新選組 長谷川ういこさん
ーー今回のゲストはれいわ新選組の、全国比例の候補者の長谷川ういこさんです。よろしくお願いします。
長谷川ういこさん(以降、長谷川) よろしくお願いします。長谷川です。
ーーまず、れいわ新選組はインボイスについてどういう見解を持っているか、どういう点が問題だと思っているか改めてお聞かせください。
長谷川 れいわ新選組はご存知の通り、そもそも消費税に反対しているので、インボイスは当然廃止を訴えているんですが、基本的に課税業者にならないといけなくなる、消費税を納める業者になる必要があるという……1,000万以下の免税業者がですね。それはすごく深刻な問題だと思っています。というのも、私自身が結構それに当たっていまして。翻訳とかをしていますよね。その分は、私はいわゆるフリーランスとして登録をしているんです。そんなに翻訳ってすごく儲かる方では……そんなにね、ものすごい冊数売れたりはしないので。特に私の出しているような専門書みたいなのは。で、それは実はフリーランス登録をしているので、ある意味、この制度にばっちり当てはまるんですね。
ーー長谷川さんはバルファキスさんの本なんかを翻訳されていますよね。
長谷川 そうです。『黒い匣』(ヤニス・バルファキス「黒い匣 密室の権力者たちが狂わせる世界の運命」明石書店、2019年)といって、バルファキスさんというのはギリシャの財務大臣だった人ですね。ギリシャ危機の時に。彼がギリシャ危機の時にどういう風に対応したかっていうのを回顧録に書いていて、それがヨーロッパでは大ベストセラーだったんです。素晴らしい内容だったので翻訳者の一人として関わったんですが、日本ではそんなものすごい冊数が売れるわけではないので……はい、そういう翻訳をやっています。
ーー長谷川さんがインボイス制度について認知されたのっていつ頃ですか?
長谷川 これね、割と最近だったんですよ。私もあんまり……ここに関してはぼーっとしてたので。そもそも消費税とか、その大きな枠組みの事に関してはそれなりに研究をしていましたけれども、インボイスはやっぱりちょっと私も認識が遅れていました。
ーー長谷川さんってやっぱり、積極財政もそうですし、消費税に対しても相当アンテナを張って、こういう点が問題で、というのを常日頃発信されていらっしゃるじゃないですか。
長谷川 でも、細かいところをね、やっぱり……私、どちらかというとマクロの政策が専門なので、このインボイスはどっちかというとミクロ側だったので、見逃していました。そういう意味で、中村さんとかが発信されているのを見てすごく勉強になりました。
ーーそこまで研究されている長谷川さんでも、ミクロとはいえ、認知ができていなかったっていうところに、インボイスの闇というか……やっぱり圧倒的に認知が足りていないと思うんですよね。
長谷川 そうですね。私もちょっと見逃していたくらいなので、ほとんどの方が気付かないまま導入される事になるんじゃないかと、そこがすごく大きな懸念ですね。
ーー長谷川さんが翻訳者として出版社とやりとりをされているわけですよね。出版社って、長谷川さんをはじめ、僕のような編集者ですとか、ライターさん、カメラマンさん、イラストレーターさん、デザイナーさんとか、フリーランスってきっと山ほど抱えていますよね。
長谷川 そう思います。本を作る時って色んな人が関わりますけど、その大半はフリーランスじゃないかなと思いますね。
ーーそうですよね。実際、出版社さんとインボイス制度について話ってされたりしますか?
長谷川 いえ、ほとんど話が出た事がなくて。まだそういう話になってないんですね。おそらく、直前になってバタバタと色んな話が出てくるんじゃないか、当然こっちがインボイス登録、いわゆる番号登録をしたという前提で話が進むんじゃないかと、ちょっとそこはかなり懸念を持っています。
このインボイスのやっぱり一番問題なのは……私も海外の状況をちょっと調べたんですが、付加価値税を導入している諸外国もやっぱりあるんですけれども、もし物価とか賃金が普通に上昇している状況で、この増税分がその価格に転嫁できるっていう状態ならまだいいかもしれないんですが、日本というのは皆さんご存知の通りデフレですよね、三十年近く。平成の間、ほとんどデフレだった。その上で今、輸入インフレが起こっていますよね。ここでインボイスを入れられるっていうのは、ある人が例えていましたけれど、大量殺人兵器みたいなものだ、という風に。そこがすごく深刻なところで、一番悪い状況でインボイスを入れようとしている。
日本政府が問題なのは、消費税もそうなんですが、状況を考えずに入れますよね。普通デフレ不況下というのは、消費税を減税しないといけない、廃止しないといけないのに、その状況下で増税してきた。で、今回もインボイスというのを、まさにデフレが完全に脱却できていない、さらに円安になって輸入インフレが起こっている時に入れようとしているっていうのが、一番深刻だと思っています。
ーーやっぱり消費税そのものっていうのはよく安定財源って言われているんですけれども、税金ってそもそも安定していたらダメじゃないですか。
長谷川 そうそう、景気の調整装置でないといけないんですね。これはね、問題。
ーーなんか二年連続で過去最高の税収記録したみたいな話もありますけれど、この不況下でなんでそんな税収が上がってるんだよって僕は疑問に思うんですけれどね。
長谷川 そうそう、不況下でも取れるから消費税を入れているという面もあると思うんですが、そもそも税金というのは別に財源ではないので、その税金をどういう目的で取っているのかという認識が、やっぱり日本政府その他諸々は追いついていない。そこが深刻なところだなと思います。
ーー長谷川さんの考える消費税、インボイスの、その税金の目的っていうのは、個人的にはどういう風に捉えられていますか。
長谷川 消費税は最も取りやすい税金なんですね、色んな意味で。だから諸外国でも付加価値税として入れられてきたという背景がありまして。で、これを社会保障財源という風に、この間ね、自民党の高市早苗政調会長も仰いましたけれども、まったく社会保障財源に限定されているわけではない、いわゆる一般財源なんですね。普通の、一般の予算に組み込まれる、その他諸々全てに使う予算として入っているので、特定の社会保障財源というわけではない。でも、それをデフレ不況下にも関わらず入れてきた。
その一方で法人税なんかを減税してきたという事は、事実として否定できない。あちら側でも否定できない事実なので、やはりそれは法人税減税の穴埋めという風によく言ってますけれども。税金は財源ではないけれども、法人税を減税する一方で消費税を上げてきた。やはりそこに深刻な問題があって、上げやすい、取りやすいところから取ってきたという事ですね。だから、インボイスもその一環なんじゃないかなと思って見ています。
ーー確かに、インボイスの対象になるのは基本的にフリーランスで一千万円以下の事業者。多くの人は自分は関係ないと思いがちですよね。それで、我々が声を上げたとしてもやっぱり飛んでくる声は「いや、お前ら税金納めてなかったんだからそれを納めるようになるのは当然だろ」みたいな、そういうような声は非常に多いんですよね。
長谷川 そう思っています。やっぱり消費税自体がそもそもデフレ不況化で取るのは間違っているという事を言わないといけないとは思うんですけれども、やっぱり取りやすいところから取れるような風になってしまうということですね。やっぱりこっちが声を上げないと。
ーーその中で二大の反論の声としてあるのが「いや、消費者から預かってるんだからそれをちゃんと納めろよ」と。
長谷川 違いますね、それは。決定的な間違いですね。
ーーそういう声も非常に多い。益税でポッケナイナイしてんだろ、みたいな。そのあたりを長谷川さんから解説してもらえますか?
長谷川 わかりました。ええと、ここにいる皆さんもご存知だと思うので私が解説するほどの事じゃないかなと思うんですけれども、要するにこれ付加価値税なんですね。付加価値にかかる税金なので、製品を売った上で払うという事ですね。だから、特別に消費者から取ってやるんじゃなくて、業者がそれを納めるという事ですね、売上の中から。だから、そのあたりが一番価格に転嫁できない、特にデフレ不況下とか景気が悪い時っていうのはなかなか値段を上げられないというのがこの三十年まさにそうだったわけで。安い製品がね、日本では溢れてるわけですけれども。どんどんどんどん値段が下がってきた。だから、価格転嫁がすごく難しい状況でインボイスが入るって事は、結局フリーランスなんかの事業者の方が価格転嫁できないままに払わないといけなくなる。やっぱりそこがすごく問題が大きいなと思っています。
ーー僕も編集・ライターの仕事をしていて、原稿料を「五万円でお願いします」「十万円でお願いします」みたいな話をしている時に、クライアントさんによっては「ごめんなさい、消費税分払えないからまけてくんないか、十万円でやってくんないか」みたいな話はあるんですけれども、それって別に消費税分をまけたわけじゃなくて、単純に価格が十一万円から十万になったっていうだけの話なんですよね。
長谷川 そうそう、カットされてるんですよね。コストカットというか、人件費カットみたいな感じでね。
ーーつまりその買い物とか取引のたびに発生している税金ではないっていうのは認知が難しいけれども、皆さんに知ってもらわなきゃいけないのかなっていうのは個人的に感じています。
長谷川 本当にそうですね。なかなか消費税のイメージが「私達が負担している」、消費者が負担しているっていうイメージで、事実そういう面もあるんですけれども、最終的に国に納めるのが事業者だというところをこのインボイスに関しては強調していかないといけないかなと思います。
ーーそうですね、これで益税って言われてしまうのはちょっとこっちとしても心が痛い。
長谷川 本当ですね、懐も痛むし、違うだろうって感じがしますね。
ーーれいわ新選組は、インボイス制度の根幹である消費税廃止を掲げています。実際に消費税がなくなると、どんな効果が期待できますか?
長谷川 そうですね。これ、れいわ新選組自体がお願いをして内閣府のマクロ計算シミュレーションで計算してもらったんですが、消費税を廃止したら五年後に収入が三十万程度上がるっていう試算が……シミュレーションなので、もちろんそれが必ずそうなるってわけではないんですが、上がる可能性があるっていう試算が出てますね。
色んな意味で、経済の景気が良くなるという事も含めて物が売れやすくなる、それが循環して最終的には賃金が上がるだろうという予想が出ているので、消費税の廃止というのはやっぱり景気対策としてとても重要ですし……特に物価高ですよね。一万品目以上が値上がりしている状況で、消費税の廃止っていうのは物価高の特効薬だと考えています。
ーーもう一回、ミクロの方に話を戻しまして、インボイス制度が施行されてしまう事によって、私とか長谷川さんにとっては直にダメージがありますけれども、そうじゃない、例えば会社員の方とか、そういう方にはどういう影響が出るかなっていう風にお考えですか。
長谷川 これ、会社員の方も結局のところすごく影響がありますよね。全体的な景気も悪くなるという意味ではひとつ問題が出てきますし、それだけではなくてですね。色んな意味で出てくるという事ですね。結局景気が悪くなると、その人にも跳ね返ってくるという事が、やっぱり認識してもらう必要があるんじゃないかな。消費税と同じですね、これも。
ーー国民経済は繋がっているっていう事ですもんね。
長谷川 そうそう。
ーーで、たとえ景気が悪くなったとしても一部の人は生き残って、上手く立ち回って出世をして給料が上がる人っていうのはいるわけじゃないですか。それ以外の大多数の人達が困って、なかなか食べる物に困るとか、子供を学校に行かせられなくなるとか、そういう貧困っていうものが広がっていってしまう。そういう、こう……二極化する事にインボイスっていうのは助力してしまうんじゃないか、悪い方向に働いてしまうって気がしてるんですよね。
長谷川 そうですね、特にやっぱり景気が悪い時にこれをやるっていう事が最悪で、特に一千万以下の人達って……私もそうですけど、そこまで余裕があるわけではないし、フリーランスというのは当然不安定な状態でもあるので、こういうものが入る事によってダメージを受けやすい層でもありますね。そういう意味では、生活にダメージがあるという事ですね。
ーーこれ【STOP!インボイス】のサイトでも出してるんですけど、大体インボイス制度が施行される事によって、ミニマムでも大体年間十万円くらいの増税になるんですよね。
長谷川 そうですね、十万円は大きいですね、やっぱり。現金給付が一回ありましたけど、あれと同じですね。
ーー大きい人だと、粗利が五百万円だと五十万……そんな単純計算ではないんですけど、課税事業者になったらそれぐらいのダメージがあるっていうのはちょっと、これは結構強烈ですよね。
長谷川 そうですね。特にあの、当たり前ですが、年収が少ない人ほどダメージがやっぱり大きくなるし、多いといっても上限がね、上の方がそこまでものすごい稼いでるってわけではないので、そういう意味ではやっぱりダメージが大きいですよね。
ーーちょっとぞっとしますよね。
長谷川 本当です。これが割と、そんなに話題になっていない、今回の選挙でも言ってはいるけれどもそこまで大きな争点になっていないというところが一番怖いかなと思います。
ーーそうですよね。インボイスの話を、テレビとか、大手の新聞とかでほぼ見ない。
長谷川 これ私、軽減税率と結構共通の問題かなと思ってまして。消費税の軽減税率ってありますけれども、あれ実はですね、2010年代に軽減税率まったく意味ないっていうのをイギリスの報告機関、マーリーズ・レビューというのが出していまして。諸外国の失敗例があったのに、日本では入れたんですよ。マスコミはね、ほとんどこれ賛成したんですよ。なぜなら、新聞とかには軽減税率が適用されるんですよ。
軽減税率の一番の問題は、ロビー活動、ロビー力、政治に対して影響の強いような産業界、そういうところが軽減税率の適用を受けてしまうっていうところだったんですよ、指摘されている問題点の一つは。今回も大手にはほぼダメージがないだろうという事で、そういう意味で報道がないんじゃないかなと思って見ています。
ーー政治力の強い団体だけが、「うちの業界は軽減税率を適用してくれ」と言える。それが諸外国の複数税率の失敗例って事ですね。
長谷川 そうです、そうです。色んな失敗例があって。裁判がすごく起こったりですね。これは軽減税率の対象なんでダメなんだ、なんでこっちは適用されるのにこっちはダメなんだ、という事で、裁判がすごく起こったりとか。とにかく混乱が起きるし、あんまり良い制度じゃないっていう結論は出てたんですけれども、結局入りましたね。新聞はやっぱりそういう見解を流したりはしなかったですね。あの軽減税率適用の時とか。
ーー日本でもありましたよね。新聞が入っているのに生理用品が入っていないのはなんでだ、とか。
長谷川 そうそう、そうなんですよ。だから、本当だったらおかしいですよね。何が入って、何が入らないのかっていうのは、やっぱり恣意的にならざるを得ない。生活必需品、例えば生理用品とかおむつとかって生活必需品だと思うんですけど、入ってませんよね。でも、ある人にとってはたしかにおむつって関係ないものだと言われるとそうですし、どこまでで線引きするかっていうのがすごく難しいんですね、この軽減税率も。
ーーその線引きの話になると、やっぱり給付金なんかもね。どこまでが困っている人なのか、みたいな。
長谷川 線引きすると必ず漏れる人が出てくるっていうのが私達の考え方で、やっぱり一律でそれはやる。で、ちゃんと取るところからは取るというのは再分配という意味で当たり前だと思うので、それは別のところから取るっていう考え方を取っていく事が、一番実は効率的だと思っています。
ーーでは最後に一言だけ、リスナーの皆さんへのメッセージをお願いします。
長谷川 皆さん、今日はありがとうございました。また皆さんとも色々議論しながら、消費税廃止インボイス廃止、れいわ新選組ずっと掲げてますので、今回の参議院選挙、やっぱりかなり焦点だと思っています。インボイスそのまま導入されたら私達にすごくダメージがありますので、私達と一緒に声を上げてください。そして、宣伝をさせていただけるなら、ぜひれいわ新選組比例は長谷川ういこでお願いしたいと思います。ありがとうございました。
●この回の音声アーカイブ(YouTube)
●「インボイス制度」反対へのオンライン署名
Change.org のサイトから、簡単に署名ができます。ご賛同頂ける方は、ぜひリンク先からご署名ください。10万筆、20万筆と積み重ねることで、国を動かす大きな力になります。
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