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「埼玉県性の多様性に係る理解増進に関する条例(仮称)骨子案」に待った!

令和4年4月1日から5月2日まで、自由民主党埼玉県支部連合会(以下、埼玉県連)が、「埼玉県性の多様性に係る理解増進に関する条例(仮称)骨子案」(以下、本条例案)の策定に当たって、意見を募集している。
 
先日(4月11日)、「東京都パートナーシップ宣誓制度」素案に対する意見募集が終わったばかりだが、お隣の埼玉県の本条例案に対し、埼玉県さいたま市在住の「保守の会」発起人の一人(武蔵国小次郎、仮名)として物申す。
 
県民の皆様をはじめ、全国からも意見を応募できるとのこと。
当会の主張も参考にしつつ、危うい条例案にぜひ「待った!」の声を上げていただきたい

はじめに

◆ まず、埼玉県連は一体何をやっているのか?
昨年6月、自民党本部では「LGBT理解増進法案」が見送られたばかりだ。反旗を翻すような行動を「支部連合会」がとるのはいかがなものか
 
◆ 県内(社会)には、様々な少数者がいる中で、なぜ性的少数者(LGBTQ)だけを特別扱いしようとするのか? 
先月末に東京都が公表した調査結果でも、約7割の当事者が「困難な経験」が「特にない」と回答していた。当事者の困りごとのほとんどは、条例など制定しなくても、個別に対応できるというのが実情ではないか
 
◆ 支援の優先順位が間違っていないか?
大野元裕知事は3月5日の定例記者会見で、「LGBTQへの支援を加速させる」と述べた。
しかし、「支援を加速させる」べき対象は、コロナ禍で苦しむ多くの県民など、他に大勢いるのではないか?
大野知事や埼玉県連は、「LGBTQ」というトレンド(流行)に乗って人気を取ろうとするのではなく、日々生きていくことにも必死な多くの県民に目をやり、その「支援」の手をもっと伸ばすべきではないか
 
◆ 特定の人々の「人権」を偏重していないか?
総合的に考えて、本条例案が「目的」で掲げる「全ての人の人権が尊重される社会の実現に寄与する」とは思えない。ごくごく一部の人の人権のみを尊重しようとするのではなく、性的少数者かどうかに関わりなく、全ての埼玉県民の「人権が尊重される社会の実現に寄与する」よう、本条例案の抜本的な再考を求める

各項目について

以下、特に問題と思われる項目について物申す。
 
項目1 目的に対して
「性のあり方が男女という二つの枠組みではなく連続的かつ多様」との認識がまず示されているが、「性(sex)のあり方」には男と女の二つしか存在しないというのは、人類の普遍的な事実だ(生物学的性別は生涯不変)。
本条例案の大前提となる「(性が)連続的かつ多様」との認識に、果たして科学的な根拠があるのか? 「ある」というなら、県民の大半が納得できるよう、そのエビデンス(根拠、証拠)をぜひ示していただきたい。
 
また、「その(性の多様性に係る)理解増進の緊要性に鑑み」とあるが、性的少数者に対する理解は、マスメディアなどによる過剰とも言える啓発により、数年前と比較しても格段に進んでいる。そのような中で、さらに「理解増進」をする「緊要性」(差し迫って必要なこと)がどれほどあるというのか?

日本には性的少数者への暴力を肯定するような団体もなく、彼らの安全と「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」は一般国民と同様に保障されている。「緊要性」などと言って、性急に条例を制定し、県民から十分に理解が得られていない施策を実施しないでいただきたい。
 
項目2 定義に対して
「(2)性自認」を「自己の性別についての認識をいう」と定義付けているが、この定義に従えば、自己申告による性別をそのまま認めなければならない。
「性自認が女性」という身体的には男性が、女性専用スペース(公衆トイレや公衆浴場、更衣室等々)に堂々と侵入するなどして、女性に不利益をもたらし、社会的混乱を引き起こしかねない。事実、札幌や大阪ではすでにその種の事件が起きている。
 
「女性スペースを守る会」が「設立趣意書」でも訴えているように、「女性トイレがもし身体男性にも開かれるのであれば、個室に引きずりこまれての性暴力被害、個室の盗撮被害の増加や盗聴さらに使用済みの生理用品を見られたり、持ち出されることも増えるでしょう。警戒心が薄く抵抗する力のない女児や、障害のある女性が性暴力被害に遭いやすくなるのでは、という懸念」について、ぜひ真摯に考えていただきたい。
 
「自己の性別についての認識」による「性自認」を法制化・条例化することに、多くの女性が反対しているのだ。また、「性自認」を悪用する犯罪が起きることは「性同一性障害」を持つ人への不当な偏見にもつながってしまうだろう。社会的混乱を引き起こしかねない「性自認」の条例化を断じて認めるべきではない
 
項目4 差別的取扱い等の禁止について
「何人も、性的指向又は性自認を理由とする不当な差別的取扱いをしてはならない」とあるが、「不当な差別的取扱い」に関する明確な定義がなく、恣意的な拡大解釈が可能で、あらゆることが「差別」とされる可能性を否定できない
 
「性の多様性に係る理解増進」というの名のもと、憲法で保障された思想・良心、言論・表現、信教の自由などが侵害される恐れもある
 
「項目2」でも述べたが、昨今欧米でも問題になっている「トランスジェンダー女性」(身体的・法的には男性だが「性自認」が女性)を「女性」として扱わなければ「不当な差別的取扱い」となり、県内(社会)に様々な混乱を引き起こしかねない。よって、「差別的取扱い等の禁止」の項目ごと削除すべきだ
 
項目5 県の責務について
「県は、市町村、関係団体等と連携して」とあるが、「関係団体」とは「レインボーさいたまの会」のような、ごく一部の偏向した団体であることが想定される。特定の関係団体との癒着は、行政の中立性の観点からも問題ではないか
 
項目10 啓発等について
「県は、学校の授業その他教育活動において、性の多様性に関する理解増進のための教育等必要な施策を実施するものとする」「学校は、児童及び生徒に対し、性の多様性に関する理解増進のための教育又は啓発に努めなければならない」とあるが、「性の多様性」に関しては、県民(国民)の間にもまさに多様な考え方があり、一面的な考え方を一方的に押し付けないでいただきたい
 
また、「学校の授業その他教育活動」で授業などを行う上で、学習指導要領との整合性に問題はないのか?
学習指導要領から逸脱した内容は認められないため、事前に教育委員会など然るべき関係各所に必ず確認を取っていただきたい。
 
「性の多様性に関する理解増進」を率先して担うのは、「レインボーさいたまの会」など当事者団体やLGBT活動家に違いないだろう。まだ未成熟で発達途上にある「児童及び生徒」に対する、性意識を混乱させるような「教育又は啓発」は、一人の親としても断固反対する小学校から教える「緊要性」などあるはずがない
 
項目15 財政上の措置について
「県は、性の多様性に係る理解増進に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする」とあるが、埼玉県として、「財政上の措置」を講ずべき、もっと優先度が高い施策があるのではないか?

我々県民の税金の使い道として納得がいかない。「項目5」の「県の責務」にも「関係団体等と連携して」とあったが、「レインボーさいたまの会」などの特定の偏向した団体に公費や県民の税金が投入されることにも納得がいかない。
 
以上、15項目のうち、特に問題と思われる項目や箇所を挙げた。
 
本稿の「はじめに」でも述べたが、本条例案を総合的に勘案しても、「目的」として掲げられた「全ての人の人権が尊重される社会の実現に寄与すること」などないと言わざるを得ない。
 
ごくごく一部の人の人権のみを尊重しようとするのではなく、性的少数者かどうかに関わりなく、全ての埼玉県民の「人権が尊重される社会の実現に寄与する」よう、改めて本条例案の抜本的な再考を求める
 
自民党埼玉県連よ、しっかりしなさい!
 
本条例案に意見を応募するにはこちら

 

追伸

4月6日付の読売新聞でも報じられているように、自民党埼玉県連で「条例化を主導」しているのは「田村琢実幹事長」だ
 
田村県議は、昨年7月に稲田朋美議員の「埼玉後援会 設立総会」を取り仕切り、稲田後援会の代表にもなった人物で、

稲田朋美議員のツイッターより

選択的夫婦別姓の導入にも賛成の立場である。本人曰く、「当事者の声を聞いたこと」がきっかけだったとのこと。
 
おそらくは善意の「暴走」と思われるが、一部当事者(あるいは活動家)の声に流され、多くの県民に戸惑いや不利益を与える偏った条例を通して良いはずがない

「人権」の名のもとに社会のあり方を簡単に否定するのは、まさしく左翼政党の常套手段だこのような条例案が「保守」政党から出てくるとはまさに「世も末」である。自民党埼玉県連の国会議員、地方議員の諸先生方も、この危機的状況を重く受け止め、しっかりと対応していただきたい

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