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国津神の御加護【毎週ショートショートnote3/2裏】
(ヘッダ画像は、フリー素材をお借りしています)
今日は、濃い牛乳が話題の、山陰地方の牧場を紹介します。こちらが経営者の墓守さんです。
いやぁ、ただの牛飼いだけぇ
いえいえ。指定団体の一括売買に頼らず観光化もせずに存続できてる酪農家なんて稀ですよ
真面目にやっとるだけです。ネットで話題になったみてぇで
確かにネットで大評判ですね。こちらの牛乳は『濃い』ことが何よりの特徴のようですが、何か特別なことをなさってるんですか?
いやぁ、ええトコにあるからだけぇ
海に面したなだらかな丘陵で、日当たり好いから牧草も良く育ってますね
風に塩が含まれとるけぇ、牛コも良く育つだにぃ
この環境が美味しい牛乳の元なんですね
あと『神様』も付いとるけぇ
『神様』?ああ、あちらに祠がありますね
この丘は、大昔の王様の墳墓じゃけぇ
昔の王様?それじゃ大和や河内の古墳みたいなものでしょうか?
そらちがう。もっと古い王様だで
墓守さんのご先祖様は守り番だったのかも知れませんね
だけぇ、牛コの乳もごついうまいぞなぁ
<あとがき、っていうか補足説明>
古墳って言うと「前方後円墳」を思い浮かべる方が多いのではないかと思いますが、主流になるのは3世紀末以降で、それ以前は自然の地形を利用した墳墓も多かったようです。
現在に残っている歴史は、7世紀に時の権力者が書いたものです。なので、それ以前のことは歴史学ではなく考古学の領域になるので、ハッキリしたことが分からない分、想像をする余地があるから、そこにロマンを感じてしまいます。
『天津神』が大和族で『国津神』出雲族ではないか?なんて説もあり、その辺りをイメージして書いてみました。