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曹操の詩の劇的表現

對酒當歌 人生幾何
譬如朝露 去日苦多
慨當以慷 憂思難忘
何以解憂 唯有杜康
青青子衿 悠悠我心
但為君故 沈吟至今

酒を前にして歌おう 人生はどれほどの長さか
例えれば朝露のよう なのに過ぎた日は多い
憤慨して嘆いてしまう この憂いを忘れられない
どうやって憂いを解こう 酒に頼るだけだ
青々とした君の襟 はるばる望む私の心
ただ君のために 思いを歌い今に至る

これは曹操の『短歌行』の、冒頭から劇的な転換がある部分までだ。それまで人生の無常を嘆いていたのに、いきなり優秀な人材を得て、大志を遂げようという内容に変わる。

『神亀雖寿』もまた、神獣さえ命は有限だとしながら、自らは老いても意気盛んだと歌う。この飛躍が、拙さではなく力強さと思える所に、独特の魅力を感じる。悲観に溺れず、その中にも希望を見出すからこそ、乱世を生き抜けたのだろう。

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