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ロンドゥクォーツの登場 1
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何だかブログばかり書いてたので、すっかり後回しになってしまいましたが、2021年大注目だったロンドゥ・クォーツ。
パキスタンはギルギット・バルチスタン州のRoundu地区にあるStak nalaという場所から採れるサルファー・イン・クォーツです。
サルファー(硫黄)だけでなく、スモーキークォーツやミルキークォーツ、クローライト、アンフィボールなども入っている成分多めな水晶です。
と業者は言ってましたが、サルファーと言いつつミルキークォーツと言ったり、言葉を濁しているような感じもありまして(笑)
というのも、ヒマラヤは火山帯ではないので、硫黄が出るのは不思議なんですね。
それでいろいろ調べてみたのですが、条件的には全く可能性がないわけではないようです。
ヒマラヤ山脈はアルプス・ヒマラヤ造山帯によって誕生しました。
ヨーロッパのアルプス山脈と、ユーラシアのヒマラヤ山脈は、大きな造山帯として一つに繋がっていて、同じ時代に出来たんですね。
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アルプス山脈の南にはイタリアの火山帯があり、サルファーの名産地です。
同じくヒマラヤ山脈の南側にあるパキスタンでかつて火山帯があったとしても条件的にはあり得るのだとか。
大陸を押し上げる山脈の南側は、火山帯が発生する条件が整っているようで、例えばインドネシアを押し上げるオーストラリア大陸によって、インドネシアは活発な活火山帯が形成されています。
アルプス・ヒマラヤ造山帯の活動によってアルプス方面に火山帯が出来たなら、ヒマラヤ方面に出来ててもおかしくないですし、大陸ののめり込みによって褶曲(しゅうきょく)が発生し、火山帯が沈み込んで潜ってしまっているとも考えられます。
褶曲とは地層が湾曲しヒダのように盛り上がることで、ヒマラヤ山脈の西のパキスタンのラダック地方は、大きな歪みによって湾曲した地形が山脈(褶曲)になっています。
なので、かつて火山帯だった古代の地層が山の中にある可能性もあるんですよね。
もやもやしているのはアンフィボールかなと思うのですが、アンフィボールだけではレモンイエローの発色は生まれないかなあと。サルファーによく似た色味だと思います。
ちなみに、パキスタン南部の海岸近くには、活火山があり、硫黄の産地でもあります。
インクルージョンが多いと濁ってしまうのですが、業者さんによると、ロンドゥクォーツのほとんどの石が濁っていたり鉱物に覆われていたりで売り物にならず、その中で一握りの珍しい結晶をした石だけが入荷したそうです。
原産地はラダック地方と呼ばれる間部の険しい山の中。
棒線部がラダックやスカルドゥです。
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グーグルアースの3Dで見てみると、ヒマラヤの山奥だと思っていたのが、パキスタン側から入山すると、スカルドゥは麓に近いエリアに見えますね。
楕円はパキスタンの首都イスラマバードです。
何だか懐かしいな...と思うのは、私の初めての海外旅行は大学一年の時のインド・パキスタンだったのです。
友達に誘われて、実はパキスタンに3週間程滞在し、パキスタンの方が長かったんですよね。
イスラマバードにも行く予定だったのが結局行かなかった記憶。
パキスタンはものすっごい乾燥地帯で、都市でも砂嵐が舞ってました。
熱風と乾燥と砂埃で殺伐としているんですね。
生きるのが厳しい土地でした。
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Stakはとスカルドゥは、同じ山脈上ににあるのかなと思います。
スカルドゥは大きな谷になっているので、鉱物を掘りやすいんでしょうか。
スモーキークォーツやトルマリンなどパキスタン産の鉱物の名産地。
パキスタン産の鉱物の原産地としてよく聞く名前だと思います。
Stak valley (Stak Nala) Skardu Baltistan
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ロンドゥクォーツと同じ時期に現地より直接入荷したスカルドゥ産のスモーキークォーツ。乾燥すると内部の成分がはみ出し、白く覆われてしまいます。
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同じ山脈の北と南。
後から産地をチェックして、その近さに驚きました。
スモーキークォーツの質感もよく似ているんですよね。
この辺りは鉱物の宝庫なのですが、面白いのはロンドゥクォーツもこちらのスモーキークォーツのように、表面に白いシリカ(石英)のような成分が滲みだし、水晶を覆っている所です。
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ロンドゥクォーツはそこにクローライトまで入ってて、鉱物が水晶を覆いつくそうとしています。
選んで来たのは水晶が見える石ですが、鉱物の浸食が進んで全体が覆われているのもたくさんありました。
Stak nalaとSkarduのスモーキークォーツ。
共に水晶の表面を鉱物が浸食しています。スモーキークォーツの内部から成分がにじみ出し白く覆われて行きます。ロンドゥクォーツはそこにクローライトなどの成分が付着したのかもしれません。
同じ山脈に位置し、産地が近く、同じ作用が見られるこの産地の水晶は、同じ造山活動で生まれたのかなと思います。