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JBF 2019 鳥フォトコンテスト講評メモ

はじめに

ジャパンバードフェスティバル2019にて、開催された鳥フォトコンテスト
(Bird-1Grand Prix) の入賞作品に関する講評が、2019年11月3日(日)に選者のカメラマン4名にて行われました。

この講評は、毎年ジャパンバードフェスティバル開催中に行われ、自由に参加して聞くことができます。
今年も参加したので、各作品の講評メモを次項に記載します。
これから応募する人や入賞したけど会場に行けなかった人の参考になればと思います。

なお、記載した講評の内容は、私が後追いでまとめたこともあり、私の勘違いや思い違いを含んでいると思いますので、あくまで参考情報として受けとめてください。
また、入賞作品をここに掲載することができませんので、以下サイトを同時に開いて見るとより解りやすいと思います。
http://www.birdfesta.net/jbf/b1.html

生態・行動部門 グランプリ(文部科学大臣賞) 
一瞬(ヤマセミ)

文句のつけようが無い良い写真
魚はオイカワかな、一度捕まえて逃してしまった瞬間の写真だと思う。
ヤマセミとオイカワが向き合っているので、ヤマセミの表情が「しまったっ!」と見えるし、オイカワの顔が「ざまあみろ」と見えて楽しい。
今年は何故か、急にヤマセミの応募が増えた。
来年は、よほどスゴイ作品じゃないとヤマセミでグランプリの受賞は難しいと思ってほしい。

環境部門 グランプリ(環境大臣賞)
見つめ合う(スズメ)

とにかく可愛い写真
しかも、トレリス・フェンス(バラ等をからますエクステリア)の造形が、ハートに見えるし、2羽が向き合っているから親しい関係が想像できる。
おそらく春に撮影したと思うけど、背景のボケと下部の花の色のボケもとても良い雰囲気。
日常的に見ているスズメでも、意識して良い場面でレンズを向けられる視点が大事。
一点、大きくプリントして気になったのは、スズメが少し大きいかなと。
2Lサイズの審査の時は丁度良い大きさに思えたので、写真のタイプに寄って有利不利が出てしまうかもしれない。

生態・行動部門 準グランプリ(コーワ賞)
天からの恵み(オオルリ)

これまで、応募も受賞も少なかった山の小鳥の写真。
全体の色がキレイで、葉っぱの形がとても良くレイアウトが素晴らしい。
くわえている赤い実(ほおの木)が全体的に緑色の画面を引き締めている。

環境部門 準グランプリ(ニコン賞)
春は遠い(エゾライチョウ)

色調がシックで鳥の配置がとても良い。
エゾライチョウは、冬季には地面に居ることが多いので、おそらく春に遅い雪が降った時に撮影したものだと思う。
この写真の場合、エゾライチョウを中央に配置してしまうと平凡になってしまう、撮影者はとてもレイアウトのセンスが良い。

10周年記念特別賞(オリンパス賞)
秋を渡る(ノビタキ)

配色がとても綺麗
ただ、左下の枯れ枝が白すぎて、目が先にそちらへ誘導されノビタキを見つけるまでに時間がかかる。
枝が暗ければもっと良い写真になったと思う。
2Lサイズでの審査では、鳥が小さすぎたので票を入れなかった。
展示会場で大きな写真を観たら良い写真だと思った。
審査は小さな2Lサイズで行っているが、グランプリ作品でも感じた事だけど、写真の大きさによるイメージの相違が有る。
写真のタイプにより、小さいプリントが良かったり、大きいプリントが良かったりと向き不向きがあるようなので注意が必要と思った。
今回のように鳥が小さくても受賞できるので、遠くからしか撮れなくて鳥が小さくてもあきらめないで応募してみてほしい。

怪鳥現る(ライチョウ)
生態・行動部門入賞(風の旅行社賞)

ライチョウが峰々を背景にしている写真は簡単に撮れるので入賞は難しい。この写真は2羽の雄が飛翔しているだけで珍しい、しかも雪原に影が写っている。
そして、ライチョウ自体に直ぐに目線は行かず、先に影が目に入るところも面白い。
雪原の波模様のレイアウトも良い。
偶然飛んできたと思うが、素早く撮影できたのは凄い。

カモフラージュ(米国の猛禽)
生態・行動部門入賞(サイトロン賞)

植物の名前がわからないと思ったら日本での撮影では無かった。
猛禽類が抜けた枝では無く、このような草の中にとまるのは珍しい。
よく見ると草では無く、なにか柱みたいなものにとまっている。
外国の派手な色の鳥をただ撮るのではなく、このように生息環境や生態が解る写真なら海外で撮影した写真も入賞できます。

給餌「我先に」(ツバメ)
生態・行動部門入賞(KYOEI賞)

可愛くて、元気にさせてくれる写真。
お腹がいっぱいになった雛は、口を開けなくなるので六羽が全て口を広げているのは珍しい。
背景がうるさく感じるのは枝と背景が近いから、枝と背景が離れていると、もっと綺麗にボケるので枝と背景が遠くなる場所を探して撮ると、より良い写真になる。

よーいドン!(ヒレンジャク)
生態・行動部門入賞(ビクセン賞)

みんながこちらを見て飛び出しているのが良い。
鳥たちの動きにリズムを感じる。
鳥は風上に向かって飛立つので風上で待つと、この写真のようにこちらに向かってくる写真が撮れる。
実際は少し暗かったのでは。
シャッタースピードが遅くなっているので翼とかにブレが出ている。
そして、それが良い効果になっている。

雷鳥のはばたき(ライチョウ)
生態・行動部門入賞(カールツァイス賞)

また、ライチョウの入賞だけど、良いのだからしょうがない。
右下に写っている屋根から撮影場所は、あそこだと思う。
実際は高く飛んでいないけど、下からの撮影なので、このように撮れたのだと思う。
雪原の稜線を超え、太陽まで入っているので広角系のレンズで撮影していると思う。
この状況で太陽を入れながら撮影できたのは凄い。

メジロが虫を取る寸前(メジロ)
生態・行動部門入賞 サイバーリング賞

今回は何故か虫が写った入賞が多かった。
審査員が虫を欲していたのかもしれない。
この写真は飛び出しを待って構えて、シャッターを押したら偶然、虫を捕まえに飛ぶところだったのだと思う。
ただ、虫が写ったのは偶然でも、しっかり準備された写真だと思う。
偶然の瞬間がバッチリ撮れている写真は、本当にただ偶然撮れたものと言うより、万全の準備と瞬間に反応できる腕を持った方が撮っている事が多い。
飛び出しの方向や、背景、葉っぱの色合いなど、ここで飛んだら、こう撮ると言うセンスと腕を感じる。

旅立ちの朝(ノビタキ)
生態・行動部門入賞(ライカカメラジャパン賞)

とても撮り慣れたセンスの良い人が、良い機材で撮影した好例。
良い機材だと、このように前後のボケがきれいな写真が撮れます。
赤蕎麦にノビタキの応募は多いけど、普通に綺麗に撮ったものが多いなか、この写真は構図や背景のセンスがとても良い。
特にノビタキ隣の長い赤蕎麦が効いている、それに合わせて縦構図にした点も良い。
長い赤蕎麦が無かったら入賞しなかったと思う。
時季的に余白に「あけましておめでとう」が入れられるなぁと思った。

釣られるウミスズメの悲劇(ウミスズメ)
環境部門入賞(BIRDER賞)

口から糸が出ているので、本当に釣られているのだと思う。
私は残酷な状況は、しっかりと残酷に写すよう心掛けている。
オブラートに包んでは意味が無いと思うので、このような写真の方が伝えたいことがハッキリ伝わる。
ミズナギドリなどは、釣ったその場で糸を切って捨てられていると聞いた。

ひもが絡まっても生きる!(キアシシギ)
環境部門入賞(ベルボン賞)

注目してもらいたい釣り糸をしっかりとクローズアップしている。
やはり、この手の写真は悲惨な状況から目をそむけない写真にするべきだと思う。

興味深々(セグロセキレイ)
環境部門入賞(ホビーズワールド賞)

氷面にプリズムが映ることは、たまーにあるけど、画面全体に映った写真は初めてみた。
ぜひ、こんなシーンを撮ってみたい。
なぜこうなったのだろう、氷の上面が一度溶けて、その溶けた水の上澄みが再び凍って2重構造になったのかもしれない。

夜でも捕れるね(セイタカシギ)
環境部門入賞(アルパインツアーサービス賞

シギは夜も行動しているので、夜間でも撮影できるという見本。
夜に採餌しているのを発見して、照明が綺麗に映り込む場所を丹念に探したのだと思う。
ライトの反射、セイタカシギの足が水面に映ってより長く見えるのも良い。
以前、博多のネオンの映り込みとゴイサギの写真があったのを思いだした。あちらは、綺麗でキラキラな印象だったけど、これくらいの色合いも良い。

あと、チョット!!(キバシリ)
デジスコ倶楽部賞

また虫ですね。
キバシリは、木肌をつつきながら虫を探して木の幹を素早く動き回るので、このように空中に居る虫を食べるシーンは珍しい。
このような瞬間は、フレームに入れたまま狙い続けてないとなかなか撮れないが、なんと、この写真はデジスコで撮影されている。

にらめっこ(カワセミ)
アビシルベ・ファニーバード賞

今回は虫が多かったけど、スズメバチはさすがに珍しかった。
たぶん、たくさん連射した中の写真で、カワセミとスズメバチの両方にピントが合ったものを応募したのでは無いか。
ヒメスズメバチですかね。
今回、何故か私達は虫が写った写真を多く選びましたね。

おわりに

WEBで発表されている入賞写真、全てが講評されてはいなかったので、講評記載が無い写真があります。
来年は、ヤマセミとライチョウ、虫が写った写真のハードルは高そうですけど、実はダイサギが2年連続でグランプリになった事があり、結局、作品が飛びぬけて良ければ入賞するのだと思いました。
あと、ネタ的な写真もよく入賞しますけど、写真自体のクオリティはしっかり見られるので、丁寧な撮影は基本のようです。

展示会場では、応募された写真のほぼ全て(餌付けや営巣写真などの違反写真は除く)を展示しています。
「これがなぜ入賞しないの!」と言った写真も多いので是非、写真に興味ある人は足を運んでみてください。
また、応募して入賞しなくても展示された自分の写真の側で、見に来た人のリアクションを観察するのも一興です。
選者と一般の人が注目する写真の違い、感想の違いを知ることができます。

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