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「地域にこだわる生き方」/リーダーシップ・チャレンジ2024開催レポートvol.11

📖講義内容

リーダーシップ・チャレンジ(大隈塾)は9月28日(土)、佐藤大介さん(株式会社東北アレンジャーズ代表取締役、株式会社刀エグゼクティブディレクター)による第11回講義を実施しました。

テーマは、「地域にこだわる生き方、働き方」。

今回の講義の目的は…

地方へのこだわり(沖縄へ引っ越し、地元の人たちとのかかわり)
三井物産で学んだこと(選んだ道)
星野リゾートで学んだこと、なぜ辞めたのか
「株式会社刀」での働き方、沖縄テーマパークプロジェクトについて
・集団知

◆佐藤さんが見つけた「地域を元気にする」道

佐藤さんは大学卒業後に三井物産に入社し、入社4年後には同期トップでニューヨークに駐在します。

しかし、そこで自身のADHD(多動性障害)に気づき、精神的にも追い詰められ、仕事を辞めようか悩みます。

そこで、もともと興味があったホテル・観光業の世界を見てみようと、コーネル大学の観光ビジネス、ホテル経営学の講義を見学します。

そこでの学びが、幼少期に祖父母がいた岩手県で過ごした思い出とつながり「地方が地方らしくありながら、元気でありつづける」という新たなやりたいことを見つけたのでした。

そこで会社を辞めて、星野リゾートのホテルで働き始めます。最初はアルバイトで、時給800円で一年間勤務します。その後、正社員として採用されました。

苦悩しながら進んできた話を披露

◆集団知の重要性

最初に佐藤さんが星野リゾートで手掛けたのが、破綻した「古牧グランドホテル」(現・星野リゾート青森屋)の再生でした。

当時、佐藤さんは30歳。220億円もの負債を抱えていた原因を分析し、責任者として経営改革案を作ります。その結果、見事な復活を遂げたのでした。

古牧グランドホテルでの実績を買われた佐藤さんは、次に北海道占冠町のトマムリゾートの改革に着手します。ところが、佐藤さんが着任した当時は、古牧グランドホテルよりも困難な状態で「顧客満足度」も「従業員満足度」もどん底でした。

改革をするには旧来からのメンバーの意識を変えなければなりません。そのために、まずは佐藤さん自身が相当な決意を持つだけでなく、現場の責任者が変革の必要性を理解していることが不可欠でした。

そこで気づいたのが、従業員が抱いていたのは「抵抗」ではなく「不安」であるということでした。佐藤さんは「痛みを伴う」改革に消極的な抵抗勢力、従業員から漂う抵抗感に徹底的に向き合います。

そのために以下のことに力を入れて取り組みました。

「なぜできないか」よりも「どうできるか」探し
現場の人たちの知見・専門知識も活かす

シュートは打たなきゃ入らない
成功確率100%は「作業」、60%以上を目指す努力と実行の決断が「仕事」

情報共有と権限委譲は肝
毎月の全社員集会を開催、パートさんの入社にも立ち会い思いを伝えるほか、テナントさんにも情報を共有し続ける

佐藤さんは自身がリーダーとして「率先垂範」しつつ、自分の足りないところを認識したうえで、チームの人達の力を活かそうとしました。

組織人として責任を果たすためにリーダーが「責任をもって出来ないことを堂々と受け入れる」ことが大事であり、それがチームの力で大きな課題を解決する「集団知」を形成することにもつながるのです。

三井物産を経て佐藤さんが見つけた「地方を元気にする」道

佐藤さんは2019年に星野リゾートを卒業し「地方が地方らしくありながら、元気であり続ける」という自身の軸をもっと実現させたい、そして自身と縁がある東北をもっと元気にしたい思いから「東北アレンジャー」という会社を設立しました。

同じタイミングでマーケティング会社「株式会社 刀」から誘われ、現在は沖縄のテーマパーク「ジャングリア」の経営に携わっています。

佐藤さんは現在に至るまでも迷いながら進んできて、現在も悩みが多いと吐露されました。

そんな時に選択の指針となったのが「地方が地方らしくありながら、元気でありつづける」という軸であり、人を頼ってチームで結果を出そうとするリーダーとしての気づきだったのです。


🖊️受講生の講義レポートより


古牧温泉やトマムリゾートの建て直しのときにおっしゃっていた「スタッフはできないのではなく、知らない」「重要なのは、情報共有と権限委譲」は、自分の部署、後輩にも通じるものがあり、正しく伝えること、任せる勇気を持つことが大事だと思った。

飲料・男性・40代

大きな強みを持ったリーダーでも環境が違うとパフォーマンスを出し切れない可能性があることを理解できた。 全体で強みを持ち寄り、弱みをカバーしあうことができるチーム作りが必要であり、まさにshared leadershipの好事例だと感じた。今まではバランス重視で様々なスキルを身に着けてきていたが、自分に合ったリーダーシップの取り方を把握し武器を伸ばす&弱みを周りにカバーしてもらうことができれば、チームの力を最大点伸ばせる可能性がある。

情報、通信・男性・40代

「できないのは、知らないだけ」 今までは、部下やチームメンバーがなぜできないのかばかりを考えていたが、やり方を教えることでできるようになる可能性があることに気づけたので、実践してみようと考えている。

商社・男性・40代

「成功確率100%は作業、60%以上を目指す努力と実行の決断が仕事」にハッとしました。会社だと目標は達成して当たり前の目標を立てることが多く、仕事をする意識が生まれにくいです。仕組みから改善が必要ではないか、という観点で新しい取り組みをしており、目標の立て方に苦慮しているので、改めて考え直してみようと思いました。

流通・女性・30代

「自分の得意を伸ばす」「人の縁を大事にする」など、自分自身もここ1〜2年で意識するようになったことをおっしゃっていて、確認ができてよかった。引き続きこれらの点は大事にしていきたいと思う。 他方で「相手の正しいと自分の正しいを擦り合わせることが必要」「反対ではなく不安」などの点は、これまで気付かなかったので、新たな発見だった。仕事だけでなく、普段の人間関係などでも大事な点だと感じた。

官公庁・女性・30代

🕰️タイムテーブル

13:45 開場
13:55〜13:59 オープニング
14:00〜15:20 佐藤大介さん講義
15:20〜15:30 受講生ダイアログ(感想共有、質問をつくる)
15:30〜16:00 質疑応答
16:00〜16:10 休憩
16:10〜16:50 受講生グループワーク(2回 ①ランダムグループ(テーマは当日決めます)②マザーグループ「今回の感想」)
16:50〜17:00 クロージング


👤講師プロフィール

佐藤大介(さとう だいすけ)さん
1975年、大阪府生まれ。早稲田大学理工学部建築学科を卒業後、三井物産に入社。星野リゾートに転職してすぐに、青森の老舗温泉ホテル(古牧グランドホテル:現星野リゾート青森屋)の総支配人として再生を任される。星野リゾートトマム、取締役グループマーケティング統括、取締役海外運営統括を歴任して、2019年2月退社。現在株式会社東北アレンジャーズ代表取締役、株式会社刀エグゼクティブ・ディレクター プランニング&オペレーション、株式会社ジャパンエンターテイメント取締役とともに岩手県沿岸広域振興局アドバイザーなど


❓リーダーシップ・チャレンジとは

リーダーシップ・チャレンジ(LC)は、会社で仕事(社業)を通じて社会に貢献する人材を育てる、ということをミッションにしています。

そのために、ヒューマンスキルを磨き、リーダーシップを身につけ、幅広い見識、判断力、思考力を学びとり、業界業種を超えた人脈を構築するビジネススクールです。

開講から20年目。本研修を学んだ受講生たちが日本国内のみならず、世界の色々な都市で活躍しています。
彼ら彼女らを、LCの教壇に立ったゲスト講師の皆様に後押ししていただきながら、私たち LCはこれからも、有能な人材を育み、社会に貢献していきます。

新しいパンフレットが完成しました!

若手版「キャプテンシップ・チャレンジ」は今年度も開講します!


◆講義一覧



リーダーシップ・チャレンジ 2023開催レポートvol.10
2024年10月7日発行
大隈塾事務局(一般社団法人ストーンスープ)
田中渉悟 tana.sho.2602@gmail.com
〒026-0002 岩手県釜石市大平町3-9-1
TEL:050-3558-7527
     公式MAIL:ookuma_school@stonesoup.tokyo

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