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絹と明察 三島 由紀夫
作者はこの作品の意図について、次のように語っている
「書きたかったのは、日本人及び日本人というものと、父親の問題なんです」と
戦後の近代日本の成長の中で繊維産業は次世代の自動車産業にも繋がる産業革命的な役割をしたのだと認識している、冨岡製糸工場もしかり、繊維の工業機械の活用と発展が様々な産業に影響を与えたはずだ、その影では創業者の情熱が現場で働く従業員に対して狂気となり、ボタンの掛け違いなのか勘違いなのかすれ違いがおきて、どんどん気持ちは離れていく。
昭和的な日本は駒沢、近代的な象徴の岡野、村川との対比、自由を求める正論の大槻。
これらの登場人物に、女性の感情が織り混ざって、物語を展開させる。
三島由紀夫の人物描写が好きなんです。
現代の父親は絶対的な権威は無くなったと思う。
家族として子供とどう接するのか、少しでも興味のあることを見つけられる環境を作って何かに興味持ってくれればいいなと。
まあそんな余裕もないままに、好きなことやって奥さんに頼ってばかりですが、楽しくやってます。
ところで、俺は繊維業界で25年働いてます。
オーナー経営者の立ち振る舞いの描写には共感したし、繊維の今昔物語は今も昔も変わらずで古い産業なんだなと思う次第、でもこれが変わらないもの。
人間が関わる限り変わらないこと。