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金沢21世紀美術館が、つまらなくなる。

世界が選んだホニャララ的なランキングの常連になっている

金沢21世紀美術館


に行ってきました。

金沢市という所は、かねてより古都aka北陸の小京都みたいなセールで語られる場所でしたけれど、正直、今や21世紀美術館抜きには語れなくなりました。
21世紀美術館の開館が2004年ですけれど、逆に言うとそれまで金沢を訪れた観光客は何してたんだ?と記憶の糸がこんがらがってしまう気さえします。

日本三名園のひとつ兼六園なり、茶屋様式の町家が並ぶひがし茶屋街なり、焼失のため復元された門や櫓のみを残す金沢城=石川門なり、市民の台所近江町市場なり、といったスポットはありましたし、今もある訳ですが、これらのスポットに行かない人は居ても。多分21世紀美術館に行かない人は居ないでしょう。
仮に、21世紀美術館に行かなかったとしたら...

「金沢行ってきたよー!」
「へー、どうだった?」
「いやー、あえて21世紀美術館には行かなかったんだよぉ」
「へー、そうなんだ」
「だけど、やっぱり、折角金沢行ったんだから21世紀美術館にも行っておけばよかったよぉ」
「そりゃ、そうなんじゃない?頭悪いのかよ?」

といった熱量の会話が交わされることでしょう。

なので、僕も行ってきました。というか、週2回くらい行っています。

流石に、金沢へ来た人はみんな訪れるので、休日平日を問わず昼ごろを過ぎると、チケット売り場には長い列がとぐろを巻いているのを確認できるでしょう。
そして、第1回ワールド・ベースボール・クラシックの時のイチローばりに、FUCK!と思わず叫んでしまうでしょう。

そこで、僕は年会費¥3,000で「友の会」に入ってみました。
これさえあれば、何度でも21世紀美術館に出入り可能です。
現在開催中の「粟津潔 デザインになにができるか」と「現在地:未来の地図を描くために」の共通券は¥2,000しますので、2回行けば元が取れるどころか、お釣りが来る計算です。

ホント、すぐに「元は取れるの?」とか言うのやめてもらっていいですか?なんか意地汚いよ。
でも、そういうことです。

FUCKな行列を横目に、会員専用の券売機にカードをかざすと、レシート状の紙が出てきて、それが入場券となります。

これまでも、帰省する度に、年に1,2度は訪れていたのですが、今回行ってみていて(週2ペースを保ちたい、何故ならお得だからである)気付いた事がありまして、それは...

あれ、こんなに写真撮れなかったけか?

「現在地:未来の地図を描くために」では、いくつかの部屋で撮影禁止。
「粟津潔 デザインになにができるか」に至っては、撮影可能な展示室は一つのみ。

まあ、写真撮りに行ってる訳じゃないから、
じゃなくって、本心
ほぼ、写真撮りに行ってるんですよ。
あれだけの行列に耐えてきた人たちは。

そして、もう一つ気付いたこと。
それは...

「あれ、『レアンドロのプール』ってお金必要だったっけか?」

大人気の「レアンドロのプール」は体感できて、写真にも残せるから、それゆえ人気があるのだと思います。
テーマパーク感覚で美術館に行く、
アトラクション感覚でアートに触れる、
ことが21世紀美術館の、この行列を産んできた。今は、まだ産んでいる。のだと思います。

しかし、どうやら「レアンドロのプール」も有料化されたようです。
これまでも、地下部分にはチケットが必要でしたが、地上部でも金を取るようになったそうです。この4月から。
以下地元紙の記事です。

有料だった地下からの眺め。現在も有料。

無料だった地上からの眺め。現在は有料。

僕は、まったくもってひとりぼっちで、行ってますから、そんな事出来ないんですけど、このプールは、上から見る/見られる・下から見る/見られる という鑑賞体験が対になっているので、一緒に出掛けた人と、キャッキャしながら鑑賞してナンボだと思います。
親子連れや友達同士、カップルよしんばアベックが楽しそうです!
ま、僕は1人ですが。

これまでは、
「あー、でもお客さん...。下からは有料なんですヨォ」
だったのに、いまや上からも下からも。後ろから前から、どうぞ。ご存知!畑中葉子さんに唄っていただきましょう!みたいになってしまったのです。

実際、21世紀美術館は、館外敷地内の作品を含め館内にも無料ゾーンがあって楽しめて太っ腹だったのですが、この有料化は残念です。
もう、太っ腹って言わない。言えない。
集客において、確実に、このプールの無料ゾーンが、呼び水になっていたに違いないのに。閉めていたのを開ける、のと、開けていたのを閉める、のではまったく印象が異なります。
このような措置が「混雑緩和」という名目で進んでいくのならば、つまらなく思います。その名目が仮に「集客向上」の為で、美術館の存続の為だとすれば、まだ理解する余地はありますが。

コレは単純に、調子に乗っている雰囲気がします。
調子こいてやがる。

先の、
撮影可能ゾーンの減少(コレは、今後の展示も見ていかなければ確たるものではないですが、)
と、
無料ゾーンの減少は、21世紀美術館の先行きへの暗雲に思えてなりません。

奢れるものは久しからず。

世界で何番目のホニャララじゃ。とか、これからも言い続けられるように、金沢市は21世紀美術館を、楽しくて、何度も来たくなる、そしてリーズナブルな空間として保ち続けて欲しいと思います。

何よりコッチは友の会入ってるからぁ!
何回も行くんだからぁ!
行列のとぐろ巻きがなくなったら、友の会入ってる優越感もなくなっちまうじゃねえかぁ!

これからも、週2ペースで、金沢21世紀美術館の行く末を眺めていきたいと思います。

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