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【ライブ】加納エミリ“MORE MONA” 福岡 at STEREO SIDE-B

「現場」
と聞いて思い浮かぶのは、何の?どこの?現場でしょうか。
僕の場合は、始発で集合して手配師からパイプ椅子と手押しカウンターをもらって国道沿いに着席して12時間排気ガスを浴び続けたり、駅前の違法駐輪チャリをスナッチで持ち上げてから軽トラの荷台にブン投げたりする。のが「現場」というイメージですけど、一般的に、もういまや「現場」といえば「アイドル現場」。
そこで、齢44にして初めての「アイドル現場」に行ってきました。

ちょっときっかけは定かに思い出せないんですけど、「加納典明」か「叶姉妹」を検索していたのかもしれないんですけど、「 加納エミリ」 という人をyoutubeで見つけて、『ごめんね』という曲が、大変に素晴らしかったので、何回も見てしまいました。
そんな『ごめんね』中毒状態の中、近々に来福されるという情報を得まして、2/17に「現場」に行ってみた、という話です。そういう話をこの後も続けます。

初めて行った現場は、あれでしたね
「常連がたむろして、ズーッと店員と客がくっちゃべっているような古着屋」
みたいな感触でした。閉鎖性が高い、といえばそうなりますけれど、熱い想い、のようなものは閉鎖的な空気をようよう醸し出してしまうものですから、仕方のないことだと思います。あのオープンではない雰囲気、だからこそ生まれる熱量みたいなものが支えていく局面もあっていいと思います。

みなさん、手練れの現場感に溢れていて、現場でのマナーやコードを理解されているようでした。軽く話しかけたりしたら、よかったんでしょうけれど、チキンなので座して加納さんの登場を待つのみでした。

この日は脇田もなりさん。ALLIさん。も、ご出演なので、加納さんはトップバッターで20分のみの登場でした。
加納エミリの、“森高千里meetsニューオーダー”と形容されている、ニューウェイブ歌謡は、そのか細く可憐なルックスで繰り出される連続性に欠ける振り付けと相まって、「アイドル=ほつれ、ほころび」に萌える。という定義にズンはまりな様相を呈して、やっぱり素晴らしかったです。
楽曲のスルメ具合も仕上がっていて、ますます好きになりました。

加納さんは、時おり
「ありがとっ」
と発声するのですが、「ありがとう」の「う」の部分が、ほとんど可聴域にはなく、「っ」ちっちゃい「つ」みたくなっているのが、特徴的です。
これまで、僕がライブで聞いてきた「ありがとう」の中では、沢田研二のそれが、最もちっちゃい「つ」感のある「ありがとう」だったのですが、それを越えてきていたように思います。オーバー・ザ・ジュリー。堀内孝雄の「ありがとう」および「サンキューー」とはまったく別のベクトルで発せられる言葉です。アンダー・ザ・ベーやん。正直、そのあと出てこられたお二人と比して、歌ウマ度でみると、かなり劣る訳ですが、そのステージに宿る、ぎこちなさが、全部プラスに作用しているパフォーマンスでした。

加納さん MC
「お腹空きません? 私、食べちゃうと声が出ない体質なんで、終わってからいっぱい食べたいと思います! オススメのお店とかあります? (最前列の常連さんをいじり) じゃあ、〇〇さんに高級モツ鍋をごちそうになろうかなw」

あっちゅうまに、20分足らずの加納さんの出演は終了。
この時点で、僕の意識は既に終演後の
「物販」
に、持っていかれてしまっていた。ということを白状せねばなりません。
「アイドル現場」といえば、その偶像と触れ合って、直接アイドルさんからグッズを買う「物販」に参加してこそ。
既に、緊張してきました。でも、そこから逃げてしまっては、何のために今日ここにきたのでしょうか?不可避です。心して臨みましょう。

この後、登場されたALLIさんのステージ前には
「録音動画撮影、静止画も禁止」
というアナウンスが入りました。
ということは、加納さんの時は、バシバシ撮って良かったんかい!
と、この段で、ようやくアイドル現場のマナーを知った44歳です。
でも、その辺のいい出来の動画なんかは、手練れの方々がこぞってアップしてくれるでしょう。それ、見ます。
とにかく、この日は、僕にとって初めての加納エミリの降臨。に、立ち会えただけで、満足です。

ALLIさんは、歌う時の「L」の発音が高度で、「L」と「R」のネイティブな発声について、考えさせられました。客席に手拍子を求める際も「クラップ!!」と呼びかけたりしていて、歌ウマの方でした。個人的な思い出でいえば、高校の時の教育実習の先生に似ていました。

脇田もなりさんは、少し声がかすれていて(この日は2ステージあったし)、でもそれがとても魅力的でした。
個人的には、非常に仕上げてきた「あがりた亜紀」に似ているように思いました。曲間の喋りで「さっき、第一部の私の写真あげてくださっているのを見てたんですけど、ブサイクなのが多かったんで、イイのだけお願いしますw」とおっしゃっていて、歌っているのもR&B系のカッコいいのだし、アイドルくくりで見られることにご自身は抵抗を持っておられるのではないか? とお見受けしました。この辺むつかしい所です。もちろん歌ウマの方でした。

アンコールでは、お3人が登場して、大円団。
初めての「ケチャ」も経験しました。経験値が上がっていくな、俺。
もう、「物販」がすぐソコです。

終演後、何となく出来た隊列に紛れて待っていると、加納さんが現れ
「今から、加納エミリの物販はじめまーす!」
で、隊列から拍手が。そばについている方が、3分のタイマーを押します。
先頭の方が、加納さんとハイタッチ!グングン喋ってます。ガンガンに攻めています。3分っていったら結構長いですから、不安が高まります。

僕の前の方々の動線で、
挨拶→購入する品を申し出る→その品物にサインとかもらう→楽しく会話。
という流れは見えてきました。
でも、3分っていったら結構長いですよ、大丈夫か。。。
もう、僕の、順番です。。。

44歳「こんばんは!楽しかったです!」
加納さん「ありがとーう」
44歳「CDと、チェキを。チェキはどうやったらいいんですか?どういうシステムなんですか?」
加納さん「あ、別にどういうのでもいいですよ」
と、ここでそばにいた「剥がし」の人から、チェキの使い方を教わる時間が20秒くらいあって、その時が一番落ち着いて話せたような気がします。あの人となら、2時間話せる。

44歳「初めてこういう現場に来たので、よくわかっていないんです。すみません」
加納さん「あー、でも嬉しい!今まで、アイドル興味なかった人が、来てくれるのが一番嬉しいんですよ!」
44歳「とても楽しかったです!また、福岡来てくださいね」
加納さん「もう、絶対来ますね。ホントは1人でやればもっと時間もたくさん取れるし」
44歳「新曲も楽しみにしてます!福岡でも売る所あるんですかね?」
加納さん「あ、期待しててください!今度のはだいぶイイので。そうですね、、福岡でも・・・・」
という流れで、加納さんのCDを扱う福岡のショップの話で、流通形態の話を1分くらいしていると、3分経過しました。

流通経済の話がその大部分でしたけど、意外と体感は短かったです。
タイマーが鳴った後も、サインなどしてくれて、握手などしてくれて、「風邪引かないようにしてくださいね!」と言ってもらいました。人生で受けた“労いの言葉”の中で一番心に響いた言葉であったことは揺るぎない事実です。

3分経っても、特に「剥がし」の人が、ゴングの後のレフェリーばりに割って入ってくる訳でもなく、ゆるゆるとお話ができました。
やっぱり、あの「剥がし」を担当されていた人とは、3時間は話せるような気がします。

「アイドル現場」
に対する偏見みたいなものが無かった訳では、ありませんが、好きなモノを見つけたらそれがアイドルだった。
という以上に、なんの衒いもモチベーションも必要ないでしょう。
良い経験をしました。

とにかく、加納エミリは素晴らしかった。
という事を確認して、筆を置きたいと思います。


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