一本の電話から
公園の時計に目を移すと
ちょうど午後3時を指していた。
おやつの時間だ。
いや、そんなことはどうでも良い
俺のスマホが
メロディを奏でながら
振動している。
着信の主は「陽子」だった・・・・。
この物語は「桜の咲くころに」からの続きです
https://note.com/stol6755/n/n4ed417af9792
「マジかよ。」
「このタイミングって」
だけど、そろそろ来るかなっと
予感はあった。
「出ないと後がうるさいんだよな」
俺は仕方なく画面の着信のマークを
スワイプした。
「はい、もしもし」
「ちょっと、最近、連絡ないじゃん」
「いやいや、三日くらいでしょ。」
「二週間よ!もう!」
「LINEくらいしてよ!」
「いやいや、そんなに?」
実は分かってはいたんだけど、
俺はとぼけてみせ、
そして、間を空けて
笑ってみせた。
「ハハハ、まぁ、いいじゃんか。」
「ところで、何よ」
多分、家庭内で何かあったんだろう。
察しはついている。
こういう時は、愚痴を溢したいんだと思う。
要は発散したいんだ。
「16時に約束してて、ここから、約10分、そして、5分前には着きたいんだけど、道中で不測の事態も発生するかも知れないから、15時40分までには、話を済ませたいな」
俺はこころの中で計算していた。
この電話が終わったあとのムダな時間を少しでも省くために、俺は話を訊きながら、車のある所まで
歩を進めていた。
「そうそう訊いてよ」
「実はさ、旦那のお母さんとちょっとあってさぁ」
「今までは何とか一緒に住んできたけどね」
「今度、引っ越しなの。」
「えっ、そうなの?」
「住むところなんて見付かったの?」
実は、旦那とは友人なので
ある程度は訊いていたんだけど
まさか家を出てしまうとは想定外だった。
「うん、近くにね、借家があってさ」
「旦那が見付けてきたの」
「彼、そういうのは早いから」
なるほどね。
彼女の旦那は住宅販売をしていて
かなりのベテランであり
不動産関係にもある程度は顔が利く
当然、宅建も持っている。
物件を見付けることなどは
朝飯前のことだろう。
多分、再度、実家に
戻ることも想定してのことだと思う。
「色々、大変だな・・・。」
俺は心のなかで呟いた。
「もう、大変。」
「やっぱり、同居なんてムリよね」
「ところでさぁ、今度、どう?」
「どう?って何よ」
「だからさぁ、」
「お、おう」
「ところでさ、陽子さん」
「オレ、これから、人と会う約束があるんよ」
「だからね」
「え~」
「誰なの?」「おんな?」
「いや、違うって」
「ちょっと、仕事の関係」
「書類をもらうだけなんだけど」
「この人も話し出すと長いんだよね」
「あら、そうなの」
「今日、休みだったよね?」
「大変ね。」
「頑張ってね。また、連絡する」
「おぅ、またね」
俺たちは会話を終えた。
悪い娘じゃないんだけどね
さすがに友人の奥さんには
距離置いちゃうよね
そんなことを考えながら
ふと公園の時計に目をやった
時間は「15時45分」
「おっと、ヤバいな」
「時間にうるさい人だからな」
俺は駐車場のフラップ板が
上がっていないことを確認しながら
急いで車に乗り込み
エンジンをかけて
目的地まで車を走らせていった・・・。
この物語は、
「平日の昼下がり」に続いていきます。
https://note.com/stol6755/n/n298c57884eaa
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