イヤホン欲しさに。
シャワーしながらちょっと思い出したこと。
小学6年生になる春、進研ゼミから勧誘のお便りがきた。そこにのってた英語のリスニングができるiPodみたいなの欲しさに親に頼み込んで晴れて進研ゼミデビューをした。
本当は音楽が聴ける本物のiPodが欲しかったけど、あの時は今よりも欲しいものが素直に言えなかったから、風(ふう)なものでもとっても嬉しかった。何よりも優先イヤホンに憧れていたから、車に乗ってイヤホンを付けてるだけでお姉さんになった気分で同じ単語を何回も聞き続けた。今になるとなんの単語だったかもほとんど覚えてないんだけどね。あの時は誰の歌を聴いていたっけ。多分aikoとかその辺。
夢のイヤホンデビューを果たしたけど、それに付随して付いてきたテキストについてはどうかと言うと、初めの半年ほどはちゃんとしてた気がする。スケジュールシールみたいなのを利用して着々してた。だけど集中力がないのと飽き性も相まって、テキストをしないで赤ペン先生にテストを出すので精一杯になっちゃった。勿論一瞬上がった成績も落ちた。算数のサラダ問題とかも未だに全くわかんない。
そんな感じで中学生になっちゃった。
親はちゃんとしてるもんだと思ってたから中学に入っても進研ゼミは続行。4月に届く桜が沢山書かれた新年度特別ボックスが送られてきた時に感じた親への申し訳なさと絶望はまだ覚えてる。心機一転頑張ろうと思ったけど、また頑張れなかった。
鬱々とテキストが届く中で、5月頃からは赤ペン先生へのテキストも提出しなくなった。
進研ゼミやめたい…でも馬鹿だからやめたらもっと馬鹿になる…親にやめたいって言いたいけど進研ゼミのこと話してテキストやってないのバレたら怒られる!怖い!もはやベネッセのテレビCMが怖い!話題になったらどうしよう!
この頃は最早ベネッセ恐怖症だった。
悶々とした(ぜーんぶ自分が悪い)気持ちを抱きながら夏頃に差し掛かった頃に1本の電話が家の固定電話にかかってきた。親が電話を受けるとそれはベネッセからの電話だった。
「ねー!赤ペン先生?から電話だよ」
心臓が止まるかと思った。でも幸い親は赤ペン先生の存在を知らなかったらしい。電話に出ると
「赤ペン先生の〇〇です。最近テキスト提出がないんだけど、最近学校の授業はどこまで進んでるかな?場合によってはテキストの送付頻度調節しますよ。」だって。
「はい…。はい。それも習いました…。提出します…。」
か細い声で返事をする度に顔が熱くなっていったのをよく覚えてる。
親に電話の内容をなんて言おうか、親に代われって言われたらどうしようか。そんなことを考えながら話を聞いているうちに電話はおしまい。
親には授業の進度アンケートだってと嘘をついた。その後急いで今までの分のテキストを提出した。親には特に電話はかかってこなかった。
でも数ヶ月後になんとなく親が開いた進研ゼミのサイトで色々提出してないのがバレちゃって私の進研ゼミライフはあっけなく終わった。テキストやってないのもバレてバチくそ怒られた。
でも1回怒られただけで嘘に嘘を重ねて、積み重なってたタスクが崩れ落ちる形だけどなくなってスッキリした。でもこの時についた嘘のせいで死んだら地獄行きだなーって時折思う。
あの頃は大人が怖くて、嘘に嘘を重ねることも多かったけど、自分が大人になるとそんなしょーもない嘘をつくことに怒ってたんだろうなって今は思えるよ。
あとねぇこの頃についたしょうもない嘘とか積み上げすぎたタスクに押しつぶされちゃいそうな気持ちがあったおかげで、大人になっても行き辛い人とかだらしない人に少しは優しくできる気がするから無駄じゃなかったと思う。嘘でも気持ちがわかる気がするから。
小学生中学生のみんなへ。
赤ペン先生は親に告げ口をしないから安心してね。
進研ゼミのサイトは正直だから気をつけてね。
続かないって気がついたら直ぐにやめなね。