[BK] BNYメロン、過去最高益達成!2024年第4四半期決算詳細分析

# BNYメロン(BK)2024年第4四半期決算レポート:詳細分析

対象読者: 日本語圏の一般投資家および企業投資家

作成日: 2025年1月16日


1. 会社概要


BNYメロン(以下、BNY)は、世界有数の金融サービス企業であり、資産運用、証券サービス、決済サービスなどをグローバルに提供しています。240周年を迎えた歴史ある企業であり、資産運用残高(AUCA)52兆ドル、債務サービス残高14兆ドル、富裕層向け資産3兆ドル、担保管理プラットフォーム上の資産5.6兆ドルなど、圧倒的な規模を誇ります。


2. ビジネスモデル


BNYのビジネスモデルは、多角的な金融サービスプラットフォームを提供することに基づいています。主要事業として、以下の3つのセグメントがあります。

  • Security Services: 資産サービス、発行体サービス、外国為替取引などを含む、機関投資家向けを中心とした証券サービスを提供。ETFやオルタナティブ投資のサービスにおいて高い市場シェアを有します。

  • * Market and Wealth Services: パーシング(Pershing)を通じたブローカーディーラーやRIA向けのサービス、クリアリング・担保管理、財務サービスなどを提供。富裕層向け市場にも注力しています。

  • * Investment and Wealth Management: 投資運用と富裕層向け資産管理サービスを提供。特に超高額純資産層(UHNW)にフォーカスした戦略を展開しています。


これらの事業セグメントは相互に連携し、クライアントへのワンストップソリューションを提供する「One BNY」戦略を支えています。近年はデジタル化やAIへの投資を強化し、業務効率化と収益拡大を目指しています。


3. 財務状況と業績動向


2024年は、BNYにとって記録的な1年となりました。純利益は43億ドル、収益は186億ドルと過去最高を記録し、有形普通株主資本利益率(ROTE)は23%に達しました。これは、前年度からの継続的な変革と戦略実行の成果です。


4. 今決算の財務指標


**2024年第4四半期決算ハイライト:**

  • 総収益: 48億ドル(前年同期比11%増)

  • * 手数料収入: 9%増(投資サービス手数料は9%増、投資運用・パフォーマンス手数料は9%増)

  • * 純利子収入: 8%増(投資証券ポートフォリオの利回りの上昇とバランスシートの拡大が寄与)

  • * 費用: 34億ドル(前年同期比16%減、FDIC特別評価の影響を反映。調整後では2%増)

  • * 税引前利益率: 30%(調整後34%)

  • * 有形普通株主資本利益率(ROTE): 23%(調整後26%)

  • * 1株当たり利益: 1.54ドル(調整後1.72ドル、前年同期比33%増)

  • * 配当と自社株買いによる資本還元: 11億ドル


**2024年通期決算ハイライト:**

  • 総収益: 186億ドル(前年比5%増)

  • * 純利益: 43億ドル

  • * 有形普通株主資本利益率(ROTE): 23%(調整後24%)

  • * 1株当たり利益: 5.80ドル(調整後6.03ドル)

  • * 配当と自社株買いによる資本還元: 2024年利益の102%


5. 企業の成長性


BNYは、プラットフォームオペレーティングモデルへの移行、デジタル化・AIへの投資、そしてOne BNY戦略によるクロスセリング強化など、持続的な成長に向けた多様な取り組みを進めています。2025年にはプラットフォームモデルへの移行が加速し、従業員の80%が新しい体制で働く予定です。これにより、効率性向上と収益の更なる拡大が期待されます。


6. 市場の成長性


BNYが事業展開する市場は、高い成長ポテンシャルを秘めています。特に、以下の市場トレンドがBNYの成長を後押しすると予想されます。

  • プライベートマーケットの成長: 伝統的な資産クラスとオルタナティブ資産クラス全体にわたるサービス提供機会。

  • * デジタル資産の普及: デジタル資産ETPの市場拡大におけるBNYの先進的な立場。

  • * アウトソーシングの増加: グローバル市場の複雑化によるアウトソーシング需要の高まり。

  • * 米国富裕層市場の成長: パーシングとウェルス事業を通じた市場シェア拡大。


7. 今決算の良かった点


  • 記録的な収益と利益の達成: 2024年は純利益と収益において過去最高を記録しました。

  • * 予想を上回る業績: 純利子収入は当初予想を9%上回りました。

  • * 高いオペレーティング・レバレッジ: 報告ベースで968ベーシスポイント、調整後でも288ベーシスポイントのプラスを達成しました。

  • * 堅調な手数料収入増加: 投資サービス手数料、投資運用・パフォーマンス手数料、外国為替手数料が軒並み増加しました。

  • * プラットフォームオペレーティングモデルへの移行の進捗: 2024年末までに従業員の約25%が新しいモデルに移行しました。

  • * Pershingにおける堅調な純増資産: 第4四半期には、大口顧客のオンボーディングが成功しました。


8. 今決算の懸念点


  • 地政学的リスクとマクロ経済の不確実性: 世界情勢の不安定さがBNYの事業に影響を与える可能性があります。

  • * 金利変動リスク: 金利変動が純利子収入に影響を与える可能性があります。

  • * プラットフォームオペレーティングモデル移行に伴うリスク: 短期的な混乱や費用が発生する可能性があります。

  • * 競争激化: 資産サービス分野における競争が激化する可能性があります。

  • * 信用リスク: 商業用不動産へのエクスポージャーによる信用リスクの増加。


9. 今後の見通し


BNYは、2025年の純利子収入を前年比で中程度の増加(mid-single-digit)を見込んでいます。手数料収入も増加が見込まれています。費用については、調整後1~2%の増加を見込んでいます。資本配分については、利益の100%プラスマイナス20%の資本還元を計画しています。


10. 次回の決算で確認すべき点


  • プラットフォームオペレーティングモデル移行の進捗状況と効果: 費用削減効果や収益増加効果が期待通りに実現しているか。

  • * 手数料収入の成長持続性: マーケットの動向や競争環境の変化に対する耐性。

  • * 純利子収入の成長持続性: 予想通りの成長が実現しているか。

  • * リスク管理の状況: 地政学的リスク、金利変動リスク、信用リスクへの対応状況。

  • * AI投資の効果: AIの導入による効率性向上や収益拡大効果。


11. まとめ


BNYは、2024年に記録的な業績を達成し、堅調な成長基盤を構築しました。プラットフォームオペレーティングモデルへの移行、デジタル化・AIへの投資、そしてOne BNY戦略を着実に実行することで、今後の更なる成長が期待されます。ただし、地政学的リスクやマクロ経済の不確実性など、いくつかの懸念材料も存在します。今後の業績推移を確認するために、次回の決算発表では上記で挙げた点を特に注目して分析する必要があります。


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