アンケートは罠 Let’s クーリングオフ

季節も涼しくなり秋めいてきた頃、2ヶ月間の入院からようやく解放され、はじめてのおでかけをした二十数年前のとある日の昔話。

市役所での事務手続きなんて今ならただ面倒な事でも、あの日は普通のことが、普通にできることに幸せを感じていた。

その帰り道

「アンケートにご協力頂けますか？」と、至って普通の見た目の男性だったか、女性だったか覚えてはいないけれど、幸せで心が満たされていた私は、普段なら迷わず断るが、この日はテンションがあがっており、「はい」と深く考えずに綺麗なビルの中について行った。

中に入ると、これまた綺麗な空間で、何個かのテーブルに店員さんと私のような人がアンケートに答えていた。

アンケート内容は忘れたけれど、きっと美容についてだったと思う。

しばらくすると肌が綺麗なノーファンデをうたう綺麗なお姉さまが私のアンケートの回答について話し始めた。本題に入る前に沢山のお褒めの言葉を頂いた。あの映画のあの人に似てるとか、それはそれはついこないだまで入院していたので、褒められるのは凄く嬉しかった。

そこから将来のシミの話になった。今40代だか、先に答えをいうと、全くシミには悩んでいない。でもね、機械の画面にうつっている私の顔はシミだらけで、将来こうなると言われた。

別に年を取れば老けるのはしょうがないし、あまり気にしていなかったが、毛穴の汚れも、このエステをすると取れると言われた。そう！鼻パックが流行っていたこの時代、小鼻の汚れが気になり、鼻パックを沢山使っていたので、もちろん良くはならないよね。私がアンケートに書いたコンプレックスや不安をしっかり突いてきて、とどめの一発が、「毎日ペットボトル1本分位なら稼げますよね。」と言われて、退院したてで、貯金もない、バイトもしていない学生の私でも、プライドに火がついて、ペットボトル1本なら親からの昼食代で賄えるだろうと、金利ゼロ(多分)のローンを組んだ。
もちろん市役所に持参したはんこを使って、しっかり捺印もした。

今思うとフラグは何個かあったが、何せ幸せの絶頂にいた私は、愛用者の中の芸能人の写真を見せられ、過去にも詐欺られた事で有名な芸能人が写っていたが、２回もこの芸能人の方も詐欺られないだろうと勝手に納得した。もちろん綺麗な方だったので、ノーファンデで自分も綺麗になれるならと。

その日、家に帰って、もちろん母親になんか今日の話はできない。そう、これが2個目のフラグ、親に話せない事、話しにくい事は大概詐欺。

でもね。ウチには姉がいて、姉に話したら、姉の愛用してたサプリが病気にも効く（間接的な表現で）とかで、半信半疑だった私にトライしてみてと無料でシェアしてくれてたので、流石の姉も、「そんなお金あるならサプリ代出してよ」と言われて、クーリングオフを決意した。病気にも効果があるサプリ。これはこれでね。まあ、それはさておき。

はじめて、書留で葉書にクーリングオフをする旨を書いて、郵便局に出しました。

それはそれは、ちゃんと期限内に到着するのかなと不安だったけど、電話でもクーリングオフの旨を伝えて、被害額ゼロでセーフでした。

後日行き違いで、広末涼子のローン返済プランの郵便物が私の机の上にのっていた時は、母親が気づいてないかハラハラしたけどね。

やっぱり自信を持って、人に話せない事って怪しいよね。

もしかしたら、素敵なエステだったかもしれないけど、学生でバイトも貯金もない小娘を不安にさせて、物やサービスを売る商売ってあやしいよね。

デンゼルワシントンの言葉で、人は幸せの絶頂にいる時に悪魔が近寄ってくるという言葉を言っていたが、退院したてが、幸せの絶頂って残念だけど、あの時は凄くポジティブになっていたからね。
芸能人に似てるなんて言われて久しぶりに病院外の人との会話も楽しくて、騙されやすい状態だったなって。

なので姉には感謝。今もサプリ愛用して信じて、健康的にアクティブに活動している姉。
信じる者は救われるなのかな。
知らぬが仏なのか。
遺伝子に感謝なのか。

一括で払えない物やサービスは契約しない。これ大事だね。

持ち上げてから、落とす手法は詐欺だから気をつけないとだね。

詐欺と、ただの買い物の失敗の境目ってよくわからない。この世の美容カウンターにのってる化粧品なんてほとんど効かない。

そもそも詐欺とは？

他人をだまして、金品を奪ったり損害を与えたりすること。

人は騙されたっていつ気づくんだろう。

コンプレックス、不安、プライド　

聞き覚えのある言葉