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証券会社を志望する学生さんへ

いーさんです。

今回は新卒で証券会社を目指す学生さんへ向けたnoteを書いていこうと思います。
私は新卒で国内最大手の証券会社にリテール営業として入社し、同期ではトップの成績を上げて海外赴任も経験しました。
結局5年3ヶ月働き、実際にどのような人間が成績を残せるのか、新人ではどのような業務を行うのかなどを包み隠さず思い出話の物語形式で書いていこうと思います。
興味がある方のみ読んでください。

1. 配属発表

4月1日の入社式を控え、全国転勤型の社員で内定を獲得していた私に入社を1ヶ月前に控えた3月、荷物をまとめて送るようにと書かれた指示書が届いた。
話には聞いていたが、配属先がわからないまま指定された住所(埼玉県の倉庫)に生活できるレベルの一式(布団・洋服・消耗品など)を段ボール3箱程にまとめ発送した。
3月31日。横浜の実家に私の荷物はほとんどなくなり、朝10時に到着するよう研修場所(つくば国際会議場)に向けて出発した。
この証券会社では3月31日に全員が集まり、4月末までの1ヶ月間、泊まり込みで新人研修が行われる。3月31日は社歌の練習やiPadなど必要備品が配られ、4月1日の入社式に備えるのだ。3月31日の夕方になると、全国転勤型で入社した社員は大ホールに集められ、一大イベント配属先が発表される。
座席表を確認すると約450名いた全国転勤型入社の新人社員のなかで私は120番の番号がふられた中央やや右寄りの座席だった。

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どんな配属発表が行われるのか胸を踊らせていると、社員の方がステージからこう言った。
「名前を呼ばれた者は大きな声で返事をして立ち上がるように」
すると1番の座席に座っていた同期から順番に名前が呼ばれ始めた。

社員「〇〇〇〇(名前を読んでいる)」
同期「はい!」
社員「旭川支店」

私は思った。
なるほど。1番から順に北海道の支店ってことは日本列島の北からくだってくる形なんだ。
じゃあ120番ってどこだ・・・。

社員「〇〇〇〇(名前を読んでいる)」
100番の同期「はい!」
社員「虎ノ門支店」

横浜出身の私は大学の友人なども東京近辺にいる人が多く、遠くの配属は嫌だと思っていた。

社員「〇〇〇〇(名前を読んでいる)」
119番の同期「はい!」
社員「平塚支店」

隣の同期が平塚支店で名前が呼ばれた。
次に名前が呼ばれる私は神奈川で勤務ができると思い、嬉しい気持ちで一杯になった。

社員「いーさん」
私「はい!」
社員「沼津支店」

はい?
どこ?
神奈川県の平塚の近くに沼津って地名あった?
まさか・・・静岡・・・。

こうして、私は縁もゆかりも無い、静岡県沼津市に配属されたのである。

2. 証券会社の新人研修(泊まり込み1ヶ月)

3月31日の配属発表などいわゆる入社に向けた準備が終わると、いよいよ4月1日より入社式を迎え、新人研修が始まる。
前述した通り、1ヶ月間泊まり込みで行う、非常にハードな研修スケジュールとなっている。
内容は覚えている範囲で下記の通り。

・社会人のマナー講座
・会社の歴史を知る
・金融の基礎知識を身に付ける
・グループワーク(プレゼンテーション)
・営業の基礎(ロールプレイング)
・初心表明

また、1日のタイムスケジュールは下記の通り

5:00   起床(日経新聞を読む)
6:30   朝食
8:00   業務開始(新聞読み合わせ)
9:00   研修開始(午前の部)
12:00 昼食
13:00 研修開始(午後の部)
17:10 研修終了
18:00 夕食
19:00 自己研鑽プログラム
22:30 就寝

これを学生上がりの人間が1ヶ月間繰り返すと結構きつい。
唯一の楽しみは金曜日になるとつくばエクスプレスに乗り、渋谷で同期と飲み明かすことだった。
研修を終えると晴れて支店配属となり、各自配属された支店に向かって業務にあたる。
次章からは支店配属後の業務について書いていく。

3. 新規開拓営業

泊まり込み研修を終え、支店に配属されるとインストラクターという職責の先輩社員が1年間新入社員の育成担当者としてみてくれる。
後に私も3年目で最年少インストラクターに任命されるわけだが、私のインストラクターは7年目の中堅社員で強烈だった。

明治大学・サッカー部・主将

ゴリゴリの体育会系男子。
私はこの先輩社員と共にトップ営業マンへの道を歩むこととなる。

新人の業務は新規開拓営業である。
要は取引してもらえるお客様を自分で開拓していくというミッションだ。
目標は100件の新規口座開設。
友達100人作ればいいんだなと勝手に解釈し、楽勝だろと思いながら業務に取り掛かった。

インストラクターからの教えはシンプルで

・やると決めたことは必ずやり切ること
・嘘は絶対につかないこと

この2点だった。
要するに年間100件の口座開設には徹底的に拘って達成しろということだ。
5月のGWボケもありながら、少しなめていた私は、支店業務初日の朝9時になると大きな声で「行ってきます!」と言って支店を飛び出し、自分の担当エリアに向かった。
ちなみに新人の支店業務のタイムスケジュールはこうだ。

カバンの中には名刺が200枚以上。
研修で習った名刺交換をやればいいだけと思い、その日にインストラクターから出ていたミッションは「名刺を50枚集めてくる」だった。
全く土地勘のない沼津の地域を歩き回り、1件1件インターホンを鳴らす。
もちろんインターホンを鳴らすだけでも最初はものすごく緊張した。
個人のお宅を回っていても名刺が集まるわけもなく、その辺にある「有限会社◯◯」や「株式会社◯◯」に飛び込みで入っていった。
私は会社の入口で自己紹介した。
「〇〇証券のいーさんと申します。この地域の担当になり、ご挨拶で伺いました。社長様はいらっしゃいますでしょうか?」
返ってきた答えはこうだ。
「いません。お引き取りください」
結局この日は名刺5枚程しか集まらず、支店に戻り1日の結果をインストラクターに報告した。
するとこう言われた。

仕事を舐めるな。やると決めたことはやり切ってから戻ってこい。

社会の厳しさを痛感した事を覚えている。
私は翌日より、知恵を絞って様々な工夫を実行し、結局1年目の終わりには184件の口座開設を行い、営業成績トップになることができた。

振り返ってみると営業で行った工夫で成果に結びついたことは下記の通りである。

① 名刺交換の際に相手に強烈なインパクトを残す
② 出会った方々全員に紹介を依頼する
③ 資産運用の意義をしっかり訴求する

一つずつ簡単に書いていくと、
① 名刺交換の際に相手に強烈なインパクトを残す
名刺の裏面に「日本一」と筆ペンで記載し、裏面を見せながら
「日本一の営業マンを目指しています。〇〇証券のいーさんと申します」
と名刺交換をしていた。
これにより会話のアイスブレイクになることに加え、応援してくださるお客様が増えたように感じる。

② 出会った方々全員に紹介を依頼する
お客様になっていただいた方だけではなく、少しでも関係性が築けた方には自身の考えや目標を共有し、全員に紹介を依頼した。
結果として50件以上の方々は紹介による口座開設が出来た。

③ 資産運用の意義をしっかり訴求する
ほとんどが証券会社に口座を保有していない方のため、金融先進国と言われるアメリカやシンガポールの資産運用の実情をお伝えし、日本の金融リテラシーは低いことを認識いただくように訴求した。
日本でも資産運用は今後一般化し、中でも国内最大手の証券会社と付き合っておくことはメリットに溢れていると訴え続けた。

このように日々様々な営業手法を工夫した結果、3年間の総合成績でも同期トップを獲得し、4年目にはニューヨークに赴任をすることが出来た。

4. 証券営業に必要な資質

証券営業は非常に地味で想像よりも遥かに地道な営業である。
ピカピカのスーツやブランドネクタイを身に纏い、キラキラしたイメージがある方も多いと思うが、実際は靴は3ヶ月で履き潰し、スーツは汗で白くなることもあった。
必要な1番の資質は

地道な努力を継続できる人

だと思う。
何においても必要な資質かもしれないが証券営業については特にそうだろう。
断られて当たり前の営業をずーっと繰り返す必要があり、メンタルが弱い人間では到底やっていられなくなる。
私の同期も3年で半数弱が退職していた。
社内で優秀と呼ばれる社員もこの資質を持っていない人間は私の知る限りいなかった。
また、他にも優秀な人の共通点はある

・話が面白い(コミュニケーション能力)
・多趣味
・プレゼンテーションが上手い
・失敗を恐れない
・清潔感に溢れている
・自分の営業軸を持っている

少し抽象的な物も含まれるが、この辺りは優秀な人の共通点である。
このnoteを読んでいただいている方はご自身の性格と少し照らし合わせてみて欲しい。

5. まとめ

ここまで読んでいただくと、証券会社の仕事は非常に大変なんだなという感想を持たれる方もいるかと思うが、実際はそれ以上のやりがいと自分への成長機会に溢れている仕事だと思う。
ポイントは

・大きなお金を動かすダイナミックさ
・普段の生活では会えない人との出会い
・信じられないような成功体験と失敗体験

このような日々が毎日のように訪れる。
とても刺激的な仕事であるとも言えるだろう。

私自身、現在は証券会社を離れているが、新卒で入社した会社が証券会社でよかったと本当に思っている。
どの会社でも通用する社会人としての礎やビジネススキルを養えた。
現在、就職活動に励んでいる学生さんも証券会社を志望するのであれば全力で目指して欲しい。

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P.S. 証券会社に限らず、金融業界を目指す学生さんには私もできる限りのサポートをしていこうと思っています。
このnoteが少しでも多くの就活生のお役に立てれば、私にとってこれ以上の喜びはありません。

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読んでいただき、ありがとうございました。

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