【topic】株価、乱高下-分析
8月5日月曜の日経平均株価が1日で4,451円下落し、過去最大の暴落になりました。一夜明けた6日火曜、寄付きから全面高の展開となり、過去最大の上げ幅を記録。日経平均の終値は5日に比べて3217円高い3万4675円46銭で取引を終了しました。
まさにジェットコースターのような動きで、このまますんなり反転上昇とは考えにくい状況です。
3つの暴落原因
まず5日の暴落ですが、原因の1つはあきらかにパニック売り。
新NISA開始後は、多くの証券会社で口座開設数が大幅に増加していることからみて、株式投資初心者が数多く参入しているはずです。おまけにSNSでの情報が蔓延しているなかで、その影響を大きくうけたかたちでしょう。
その意味で、6日の戻しは今後の上昇ムードの先駆けというより、前日のパニック売りの部分を戻しただけとみるのが妥当でしょう。では、パニック以外の部分ですね。
2つ目は、円高です。
7月上旬に160円だったドル円ですが、8月5日には一時142円まで円高が進みました。7月1日の161円から1か月で、1割も円が高騰してしまった。
日本のおもな輸出企業はほぼ、1ドル145円あたりを想定しているようです。つまり、想定レートをすでに超えてしまった数値を記録したわけです。これを書いている時点では145円ですが、予断を許さない状況です。輸出企業にとって不利なレートにむかう可能性はあり、その悪影響は今後の日本経済に不透明感な影を投げかけいます。
3つ目は、日銀は政策金利です。これが、今回の暴落の直接的な原因となっわけですね
日銀は7月末の金融政策決定会合で、これから毎月、国債購入額を段階的に減らしていくという決定をくだしました。これにより、日銀の国債保有額は2026年3月までに7~8%まで減少することになります。
しかし、これはある程度、市場に織り込まれていたはずです。つまり、国債の件が暴落の大きな原因ではないでしょう。
ところが、この会合で日銀は、もう1つの決定をくだされています。それは、0.25%程度の政策金利の引き上げですね。アメリカはもとより、ヨーロッパでも景気の減速がいわれるなかで、日本だけが逆行して引き締め政策をとったわけです。
市場にすれば、この決定にはやはり、不意を突かれたようです。とくに、ヘッジファンのの反応が気になります。
ヘッジファンドの場合、ロングとショートをそれぞれ資産を変えながら両建てのポジションをとるのが一般的な戦略です。しかも、かなりのレバレッジかけているわけです。
そこに、金利引き上げという、想定とは異なる事態が起きてしまった。意表を突かれたヘッジファンドは、「これは危ない」ということでポジションを閉じた。その結果、日経平均暴落、円急騰ということになったといえます。ナスダックなどもこれに引きずられていますよね。
西からの黒雲が・・・
個人投資家のパニック売り、機関投資家の損切ライン突破という事情が重なり、今回の暴落につながったと見ています。これが簡単に再上昇のムードになるかというと、かなり懐疑的です。
しかも、まったく別の黒雲が西の空にあります。
それは、中東紛争の激化です。7月末にハマスのハニヤ最高幹部が、訪問先のイランで殺害されました。イランにしてみれば、自国の首都で客人が殺されたわけです。顔に泥を塗られたも同然です。
前々から火種を宿していたイランとイスラエル。それだけに、今回の攻撃を見過ごすとは思えません。かならずといっていいほど、イスラエルへの報復攻撃がなされるでしょう。
加えて、トルコのエルドアン大統領は、イスラエルによるガザ攻撃をかなり厳しく非難しています。今後、紛争介入という事態もじゅうぶんに考えられます。中東は全面戦争の様相をていし、まず原油価格が急騰。戦火はさらに拡大していく危険性もあります。こうなると、まさに第3次世界大戦です。