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【topics】フジテレビ問題と株価動向

元SMAPの中居正広氏のスキャンダルに端を発し、フジテレビの体質が問題視されてきました。これをうけて、フジ・メディア・ホールディングス(FMH)の株価が乱高下し、その動きに注目が集まっています。これをどうとらえるかについて、すこし書いておきます。

フジテレビの体質が非難され、1月20日以降、スポンサーがいっせいに自社CMの放送を取りやめ、ACジャパンのものへと切り替えていく事態が発生しています。現時点で広告料金は支払われているはずですが、4月以降のスポンサードには大きく影響がですはず。しかも差し替え分の広告料返還という話もでてくる可能性があります。
急落傾向にあったFMHの株価ですが、1月17日を境に4連騰。過去1年間での高値付近まで上昇しました。その後、1月23日にその後急落するなど異様な動きを見せています。
1月23日には中居氏が芸能界引退を発表していますが、もはや株価の動きにとっては蚊帳の外といった感があります。

こうした株価の動きを見ていくうえで、まず確認しておきたいのは、FMHとフジテレビは同一ではないことです。FMHは、フジテレビだけでなく出版や映画、不動産、スポーツなど、多岐にわたる事業を展開しています。たしかにメディア・コンテンツ事業は重要な部門ですが、いまでは都市開発・観光事業などの収益が伸びて、大きな柱となっていますとくに不動産賃貸収入は安定的な収益源です。
これはFMHにかぎらずテレビや新聞など旧メディ大手には総じていえることです。グループ全体にとって、すでに下降トレンドにある旧メディアの収益は、その存在が小さくなっているわけです。

極端なことをいえば、収益が細っていく非成長部門を整理することで、長期的にはかえってグループが身軽になり、収益性があがるという見方もできます。さらにはフジテレビにたいして他社からの買収がとりざたされ、いっきに企業価値が上昇するという事態もありえます。
FMHの時価総額は、4千数百億円程度。大型株に分類されますが、そこに仕手筋も参入も充分に考えられ上下動が激しくなっています。

FMHのPBRは0.44(2025/1/23時点)。PBRとは株価純資産倍率(Price Book-Value Ratio)の略で、企業の株価と純資産の関係を示す投資指標です。株価が割高か割安かを判断する目安としてもちいられます。
算出法は、PBR=株価/1株あたり純資産。
一般的にはこの数値が高いほど割高、低いほど割安とされています。

これにしたがえばFMHの数値は0.47なので、割安といえます。ところが、近年はPBRが1倍を下回っている企業も増えているため、かならずしも数値が低ければ割安であるこはいえない状況となっています。その背景にあるのは、企業価値の創出にたいして経営陣の理解が乏しい、あるいは株式市場での企業評価への対応が鈍いなどのさまざまな理由があげられるでしょう。
今回のケースでは、FMHの大株主である外資のダルトン・インベストメントが、FMHにたいして対応の不手際を非難する書簡を送ったとして、話題にもなりました。

企業の自力という点では、FMHは時価総額以上の純資産を保有しているため、まだまだ投資の余裕はあります。
いっぽうで、フジテレビの問題がいっきに解決できるのは難しいと思われ、空売りの量が増えてきていることもたしかです。そのため対応のまずさを指摘されるフジテレビの経営陣は入れ替えなどの対応策が予想されます。新たな好材料がでれば踏み上げが起こり、空売りを仕掛けた投資家が買い戻しに走れば、株価の上下動はしばらく続くという見方ができるでしょう。予断を許さない状況になっています。

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