まとめ Berkshire HathawayによるAlleghanyの買収
バークシャーがアレガニーを116億ドルで買収することが、
2022年3月21日発表されました。
個人的に、ウォーレン・バフェットを尊敬しているので、
今回のM&Aの内容をまとめておきます。
■まとめ
①
バークシャー・ハサウェイが、(小型のバークシャー・ハサウェイ類似企業)を買収した感じ。
そのため企業文化や事業内容も相性が良いだろう。
②
アレガニーの収益性はバークシャー・ハサウェイより劣るので、買収による短期的な収益向上は見込めないが、
バークシャー・ハサウェイの保険商品のラインナップ拡充を目的とするなら、妥当な判断。
長期的にはバークシャー・ハサウェイの顧客満足度は上がるだろう。
③
買収発表前の株価に対する、買収プレミアムは24.8%。割高感は高くない。
④
良い企業を割安で買う。というバフェットの昔から一貫した投資戦略が今回でも発揮された。
派手さはないけど、堅実な投資。
この投資方針が、バフェットが居なくなった後も引き継がれるのか?は注目。
■アレガニーの会社概要:バークシャー・ハサウェイと類似した事業構成
①事業内容
保険事業を中核とする複合企業(コングロマリット)で、鉄鋼加工や玩具、バイオテクノロジー、トラック製造、投資ファンド等、多岐にわたる事業を展開。
※数が多いので参考リンクのみとしますが、アレガニー傘下の事業会社は以下で紹介されています。
以上の通り、バークシャー・ハサウェイと似た企業であることが分かります。
②財務状況:PL&BS&CFは全般的にイマイチ
■PL:イマイチ
※まず収益額の推移
※直近10年間の一株当たり利益(EPS)の成長(年率)
・アレガニー:▲5.1%
・バークシャー・ハサウェイ:17.1%
※利益率の推移
■BS:財務健全性もイマイチ
※直近の自己資本比率
・アレガニー:28.4%
・バークシャー・ハサウェイ:52.8%
※直近10年間の一株当たり純資産(BPS)の成長(年率)
・アレガニー:6.5%
・バークシャー・ハサウェイ:12.4%
■CF:直近10年間のFCF成長(年率)はバークシャーに勝利
※直近10年間のFCF成長(年率)
・アレガニー:17.7%
・バークシャー・ハサウェイ:9.7%
■買収価格:買収発表前の株価に24.8%のプレミアムを支払うが、割高感は感じない
今回の買収金額はアレガニーの純資産の1.26倍(=PBR)に相当。
倍率だけで見ると米国企業にしては割高感の低い水準での買収に見える。
元々アレガニーはPBR1倍前後で取引されており、それにプレミアムを加えても1.26倍ということで、過度な割高感は感じない。
・割安で放置かつ、
・バークシャー・ハサウェイとの相性が良い企業
をピンポイントで買収。
とバフェットらしく、派手さはないけど、したたかなM&Aだと思いました。
ただし、先述の通り、アレガニーの財務状況はバークシャー・ハサウェイに劣る点が多い。
自社より劣る企業を取り込むと短期的には、バークシャー・ハサウェイの財務悪化は避けられないだろう。
それでもなお、バークシャー・ハサウェイが買収を決めたのは、合併による何かとしらのシナジー効果を見込んでいるのだろう。
■期待されるシナジー:事業上のシナジーが高い
主に2つあると思いますが、①が有力で②はオマケだと思いました。
①事業上のシナジー:損害保険や再保険分野の拡充
バークシャー・ハサウェイとアレガニーの両社とも、保健事業がメインなので相互のノウハウや商品ラインナップを補い合える。
これにより、最終的には顧客への提案内容もバリエーションが広がり、顧客満足度向上 → 競争優位性の向上に繋がるだろう。
②人材確保:CEOも経営陣、従業員もバフェット好みだろう
アレガニーCEOのジョセフ・ブランドンは元々、バークシャー・ハサウェイ子会社のゼネラルリーでもCEOを務めたことがあり、バフェットとも旧知の仲の様です。
バフェット流の経営を身近で見てきた方が、ミニ・バークシャーを経営する。ということで、文化や人材面での相性も良いと思われる。
ただし、人材確保の為に116億ドルもする、プレミアム付きの買収を行うのは、
ヘッドハンティングと比較して、明らかにコスパが悪いので、
これを主に期待した買収ではないでしょう。
以上が今回の投稿内容です。