光通信が電力取引価格高騰により受ける、業績影響を試算。妥当シナリオで営業利益21年3月期比90%。予想PER17.5倍
最近、光通信の株価が下落傾向にあることが、気になりました。
同社は電力小売事業を行っており、
昨今のエネルギー価格上昇に伴う、電力卸売価格の高騰の打撃を受け、
電力小売事業が業績の足を引っ張っています。
この状態の深刻度が気になったので、
以下の通り、光通信が電力卸売価格高騰により受ける業績影響を試算してみました。
■結論 前年比営業利益減になる可能性が高いと予測。妥当シナリオ(パターン2)で21年3月期比90%
■前提1 以下が光通信が直近の22年3月期第2四半期決算説明資料で公開した、電力卸売価格高騰がもたらす、電力事業の業績への影響額(目安)
因みに、こちらが21年10月~22年1月25日までの取引価格推移です。
■前提2 今期予想の営業利益830億円のうち、488億円は達成済み。残り342億円を稼げるかが、今期業績予測の論点
以下が今期の光通信の決算短信です。
■予想パターン1 最悪パターン。2,3月が更に上がった場合を想定し、21年10月~22年3月の平均値が均すと、30円前後だった場合を想定
22年1月の平均値が恐らく、30円前後になりそうです。
2,3月が更に上がった場合を想定し、21年10月~22年3月の平均値が均すと、
30円前後だった場合を想定します。
先程の光通信が公開していた、
電力価格の業績影響試算表の設定の間を取って、
月次で▲40億円程度の影響がある。
と見積もるのが適正な所でしょうか。
半年で▲240億円の影響となります。
この場合、光通信が第3四半期以降で稼ぐ予定だった342億円が、
102億円になります。
したがって、通期利益が最悪590億円になる。という計算です。
前期の光通信の営業利益が692億円なので、
これだと
・前年差▲102億円
・前年比85%
になります。
しかし、このパターンは最悪を想定した保守的な計算です。
■予想パターン2 より現実に近い。21年10~12月の平均価格は20円。22年1~3月は30円で計算
①20円の最大影響額▲27億円が3ヶ月で:▲81億円
②30円の影響はパターン1で計算した▲40億円が3ヶ月で:▲120億円
①+②=▲201億円です。
光通信が第3四半期以降で稼ぐ予定の342億円から引くと、
141億円になります。
これを第2四半期までの利益に加算すると、
通期で629億円です。
これだと前年の営業利益692億円と
・前年差▲63億円
・前年比90%
になります。
実際、2,3月がどうなるかはわかりませんが、
①
2,3月は1月よりは平均気温が上昇するので、電力需要は落ちる方向に動きます。
②
一方で世界的なインフレで、発電に必要なエネルギー価格が上昇傾向にあります。
この2つの要因が相殺しあって、結局は、
2,3月も電気の平均価格は30円程度に収まるのでは、と考えています。
■まとめ 前年比営業利益減になる可能性が高いと予測。妥当シナリオ(パターン2)で21年3月期比90%
■ちなみに当期純利益予想585億円が各パターン毎の減益になると予想PERは
光通信が公開している、
22年3月期の純利益予想は585億円です。
■予想パターン1は
営業利益予想比▲240億円なので、
そのまま純利益予想も▲240億円とすると、
①純利益予想は、345億円です。
一方、
②2022年1月24日時点の光通信の時価総額は6727億円。
②/①で予想PERが19.5倍になります。
■予想パターン2でも同じ計算を行うと、
予想PER17.5倍です。
PERの割安圏が15倍以下と言われているので、
まだ下落する可能性があります。
■その他 業績影響要因(投資ファンド&個人向け事業)
・言わずもがなですが、光通信は投資ファンドとしても有名
&
・電力事業以外にも個人向け事業(代表例:ウォーターサーバー)
も展開しています。
それらの事業がどこまで検討するかによっても、
光通信の業績は変動します。
しかしながら、そういった要素まで考慮した試算をすると、
・計算がかなり複雑になるかつ、
・電力卸売価格の変動影響とは関係なく、本題からズレてくる
ので、
今回は考慮しませんでした。
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