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【競走馬分析】頑張り屋さんの気分屋さん:ウインマイティー

※サムネイルの女の子は、私の独断と偏見によるウインマイティーちゃんです。

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■基本情報

馬名   :ウインマイティー(牝)

生年月日 :2017年4月1日

調教師  :五十嵐忠(栗東)

馬主   :ウイン

生産者  :コスモヴューファーム

産地   :新冠町

獲得賞金 :7,042万円(中央)

通算成績 :8戦3勝(3-1-1-3)

主な勝鞍 :忘れな草賞(L)/2020

■5代血統表

5代血統表

引用:https://db.netkeiba.com/horse/ped/2017101415/

父はエンターテイナーでお馴染みゴールドシップ。現役時代は圧倒的なスタミナで天皇賞春や宝塚記念を制覇。凱旋門賞にも出走(14着)。2015年に引退し、ビッグレッドファームにて種牡馬となりました。

初年度産駒のブラックホールが札幌2歳S(2019)を勝利するなど、産駒にも洋芝適正や豊富なスタミナの遺伝が見られます。言わずと知れたステマ配合(父ステイゴールド×母父メジロマックイーンのニックス)のゴールドシップを父にもつことで、ウインマイティーもその特性を引き継いでいると思われますので、東京・京都の平坦コースよりも中山・阪神の坂道コースや札幌・函館の洋芝コースの方が適正があるかもしれません。

牝系は、父が欧州・米国・日本と転戦し、ジャパンカップにも参戦したカコイーシーズ(Raise a Native系)。母は英2000ギニーを制したLomond(Northern Dancer系)がいるアイルランド系の系譜です。

5代遡ってもクロスが発生していないアウトブリード配合で、今の日本競馬がサンデーサイレンスやキングマンボの血が濃いことを考えると、主流からはやや外れた血統です。

■能力分析

※この分析は定量的ではなく、あくまで「ぼたん。」個人の主観的なものです。あくまでエンターテインメントとしてお楽しみくださいませ。

レーダーチャート

■2歳新馬 2019/09/16 阪神5R(晴・良) 2歳 新馬 牝 馬齢 コース:1,600メートル(芝・右 外) 6枠6番 騎手:松山 弘平

スタートはまずまず。最初の位置取り合戦では、騎手は前にいきたいのか少し手が動いていましたが、周りと比べてややダッシュ力に欠けており、後方の位置取りとなりました。

道中はそのまま、ゆったり6~8番手あたりに位置し、前後左右他馬からのプレッシャーなどもない展開でした。

新馬戦ということもあってか若干フラフラとした走りでしたが、馬群が詰まってからもうるさくなるような様子もありませんでした。父ゴールドシップということを考えると、マイペースな性格は遺伝しているのかもしれません。

3~4コーナーにて、後続馬が前へと推し進める中でも平然と自身のペースを維持。松山ジョッキーは4コーナー手前まではそれほど手が動いていません。強く抑えている様子もありませんでしたので、文字通り馬なりだったと思います。

4コーナーを回って直線。馬群が詰まっており、外へと持ち出すのは難しい状態。若干内が開いたところで、松山騎手は合図を出します。このあたり、操縦性もそれほど難があるようには思えません。

かなりの手ごたえで一気に先頭に躍り出るかと思いましたが、ギリギリのところで武騎手騎乗のグリンデルヴァルトが前へ。進路が完全になくなってしまい急ブレーキ。なんとか横をすり抜けようとしますが、秋山騎手騎乗のボンオムトゥックに被せられてしまい万事休す。それでも外へと進路をとって鞭。末脚はかなりの迫力がありましたが、届かず。

結果は4着でした。

2歳新馬

引用:https://www.jra.go.jp/JRADB/accessS.html

正直、ラストの脚色から考えると勝ってもおかしくない能力だと思いました。首をしっかり振る綺麗なフォームで、距離は延びても大丈夫だと思われます。

■2歳未勝利 2019/10/14 京都2R(小雨・稍重) 2歳 未勝利 (混合)[指定] 馬齢 コース:1,800メートル(芝・右 外) 7枠9番 騎手:A.シュタルケ

スタート直後に少し体勢を崩してよろけるような様子が見られました。最初の位置取り争いでもダッシュがつかず、それでも先頭集団に食らいついていきましたので、ガッツがあるかもしれません。

道中は首が高く、やや力んでいるような感じでした。1000メートルあたりから徐々に位置を上げていきましたが、シュタルケ騎手の手はほとんど動いていませんでしたので、馬自身の前進気勢で上がっていったのかもしれません。

4コーナーから直線に入ると前はがら空き。先頭を走るコルテジアも射程圏内。いい脚で突っ込んできたのですが、やはりキレ味にやや欠けており、後方からきたサンデーミラージュと比べると速さが劣っていると思いました。それでも、4コーナーのカーブから脚を使い始めて最後までしっかりと走り切っていましたので、良い持続力・スタミナをもっていますね。一瞬、父ゴールドシップを彷彿とさせる良いレースでした。

結果は2着でした。

2歳未勝利_1

引用:https://www.jra.go.jp/JRADB/accessS.html

少しだけ気になったのは最後の直線。シュタルケ騎手の左鞭で右手前から左手前へと変えるのですが、その際少し右へと寄れてしまい、若干トップスピードが緩んだように見えました。左脚の推進力が強すぎて寄れてしまったので、あるいは前脚を変えることが少し苦手なのか。このあたりは今後のレースで確認していきたいです。

■2歳未勝利 2019/11/03 京都2R(晴・良) 2歳 未勝利 牝[指定] 馬齢 コース:1,600メートル(芝・右) 3枠3番 騎手:A.シュタルケ

スタート前、ゲート内で少し立ち上がるような様子を見せました。結果として大きな問題にはなりませんでしたが、年齢とともにやんちゃ具合が見えてくるかもしれないなと思いました。

内枠ということもあってか、スタート直後から積極的に前へと位置取り。3コーナーまではややかかり気味なのか、首を大きく振って前へいきたい気持ちがかなり強く見えました。シュタルケ騎手は手綱を強く握りしめて抑えていましたが、結局前進気勢は収まらずというように思えました。馬群の中、前に他馬がいたこともあり、暴走とまではいきませんでした。

4コーナーを4番手あたりで回り直線。前は開いていて、外から被せてくるような他馬もいません。後は差し切るだけという状況ですが、鞭が入ってもやはりキレ味に欠けます。それでも、前をいく他馬の脚色が少しずつ鈍る中で、ウインマイティーの脚色は変わらず。

結果は1着でした!

2歳未勝利_2

引用:https://www.jra.go.jp/JRADB/accessS.html

良く言えば、長く脚を使っていたと言えます。悪く言えば、圧倒的に抜き去る末脚は今回も見られなかったと言えます。ここまでの2レースと比べると、最後の直線時もやや首が高く、もしかしたら道中の力みでストレスを感じ、走りの気持ちよさを失っていたのかもしれません。

■エルフィンS(L) 2020/02/08 京都10R(晴・良) 3歳 オープン (国際)牝(特指) 別定 コース:1,600メートル(芝・右 外) 1枠1番 騎手:A.シュタルケ

スタートはまずまずながら、やはりダッシュ力に欠けて後方への位置取り。シュタルケ騎手もそれほど積極的に出していく様子がありませんでしたので、もしかしたら後方一気の戦略だったのかもしれません。勝馬のデアリングタクトに並ぶ形の前半戦となりました。

4コーナーを回る中で、デアリングタクトが外を駆け上がっていったことでウインマイティーの進路は自然と内へ。結果的に、直線を向いたときには前に他馬がいて、ここからの末脚はちょっと厳しいなという状況でした。

それでも、一瞬前が開いた瞬間に一気にエンジンをかける如く姿勢が低くなり、加速したように見えました。が、ダンツガゼールが前に来てしまったことで再び進路が狭くなり減速。その後はシュタルケ騎手も継続的に鞭を入れることなく、馬群に沈んでしまいました。

ここまでの4レースで、ウインマイティーは道中前進気勢が強く、ややかかり気味になることが多いように思えました。また、前に他馬がいると少しやる気をなくすように失速してしまい、いくら追っても脚は伸びない=勝ちを諦めてしまいやすい性格に思えました。これはゴールドシップほどではありませんが、やはり少し気分屋な面があると言えるかもしれません。

結果は7着でした。

エルフィンS

引用:https://www.jra.go.jp/JRADB/accessS.html

今後としては、4コーナー時点から早めの進出を行い、直線を向いたときには前の進路がしっかりと確保できているという展開での勝負を見せてほしいなと思っています。

まだまだ成長していくと思いました!

■デイジー賞 2020/02/29 中山9R(晴・良) 3歳 1勝クラス(500万円以下) 牝(特指) 馬齢 コース:1,800メートル(芝・右) 4枠4番 騎手:丸山 元気

スタートは綺麗に決めました。内からダッシュしていく馬がいなかったおかげか、珍しく最初から先頭へと躍り出ました。

最初のコーナーを回るときには今回乗り替わった丸山騎手の抑えが入り、結果3番手あたりから少しずつ後退するように序盤を進めます。せっかく気持ち良さそうに走っているのにそこまで抑える必要あるかな?と思いました。そのせいで?3~4コーナーでは内に包まれてしまい、やや窮屈な展開へ。それでもめげずに走っていましたので、今回は諦めずにガツガツと走れていました。

直線。包まれていることもあり、やはり前への進路は絶望的でした。が、ここで先頭を走っていたヒラボククイーンが一気に減速後退。開いたところをめがけて丸山騎手が鬼の形相(実際は表情なんて見えないのですが)で押し出していきます。スペースが狭く、鞭も入れづらい状況でしたが、この鬼の追い出しに応えるかのように長く脚を使い続け、なんとか半馬身先着。

結果は1着でした!

デイジー賞

引用:https://www.jra.go.jp/JRADB/accessS.html

4コーナーから仕掛け、直線すぐに脚を使いはじめ、他馬がバテたところで粘り勝つ。そんな勝負強い競馬でした。そして、かなり扱かれた追い出しでしたが、これでもかと走り続けていましたので、案外騎手の熱意に応えてくれる熱い仔なのかもしれません。

■忘れな草賞(L) 2020/04/12 阪神9R(雨・稍重) 3歳 オープン (国際)牝[指定] 別定 コース:2,000メートル(芝・右) 2枠2番 騎手:M.デムーロ

ゲートの中でやや落ち着きがないように見えましたが、許容範囲内。スタートも綺麗に決めて、ダッシュをつけて前へといきます。が、位置取りを終えると結果的に中団へ。今回も内を回っていますが、脚を長く使うためには外枠スタートの方が良いかも?と感じました。

道中は力みなく進み、雨で少し荒れていた馬場も難なくこなしているように見えました。今後、道悪でもそれほど心配する必要はないかもしれません。

4コーナーを回って直線。外には他馬が被せて来ているため内で勝負するしかない状況。幸運なことに前を走る他馬はそれぞれの進路を真っすぐ進んでいて、ウインマイティーの前は少しスペースができていました。ここぞとばかりにデムーロ騎手が追い出し。良い手ごたえで坂を上がっていきます。

坂を上がり切る前、外からリリーピュアハートとイズジョーノキセキがキレ味良く迫ってきますが、なんとか粘ってゴールイン。

結果は1着でした!

忘れな草賞

引用:https://www.jra.go.jp/JRADB/accessS.html

ここまでのレースから、騎手相性としては位置取りが上手く、最後までしっかりと追ってくれるようなタイプが良いかと思われます。また、早めに仕掛けて長く脚を使うレース展開が望ましいので、3~4コーナーにおける仕掛けどころの見極めが重要となりますね。

■優駿牝馬(G1) 2020/05/24 東京11R(晴・良) 3歳 オープン (国際)牝(指定) 定量 コース:2,400メートル(芝・左) 4枠7番 騎手:和田 竜二

スタート直後にややよろけるような体勢。それでもすぐに立て直し、5番手あたりの位置取りとなります。そしてやはり内!ウインマイティーはいつ見ても内のラチ沿いを走っていますね。道中気持ちよく走れた方が良いと思いますので、少し外目でも良いと思うのですが。

3コーナーを回ったところで少しずつ前との距離を詰めていきます。先頭を走るスマイルカナと同じくウインのウインマリリンが内の前にいる状況で、少し前詰まりが心配になりました。

4コーナーを回り切って直線。横にいたアブレイズを力業?でどかして進路を確保笑。残り300メートルあたりで鞭を入れ、じわじわと前へと迫っていきます。外にはすでに他馬はおらず、内を走るウインマリリンともスペースがあり、後は他馬がタレてくるのを待つばかり。そこを外から抜群のキレ味で走り抜けるデアリングタクト。

結果は3着でした。

優駿牝馬

引用:https://www.jra.go.jp/JRADB/accessS.html

惜しいレース。前目につけて早めの仕掛け。最後も和田騎手渾身のパワープレイ!まだ1戦ですが、和田騎手との相性は良いかもしれませんね。今後に期待です。

■紫苑S(G3) 2020/09/12 中山11R(曇・稍重) 3歳 オープン (国際)牝(指定) 馬齢 コース:2,000メートル(芝・右) 8枠17番 騎手:和田 竜二

スタートで少し出遅れ。大外枠ではこの少しの出遅れが致命傷になってしまいます。16番シーズンズギフトと18番パラスアテネがしっかりとスタートを決めたことで、ウインマイティーの進路は完全に塞がってしまいました。結果的に後ろからの展開。多頭数かつ稍重馬場のこのレースでは、かなりキツイ序盤となってしまいました。

3コーナーに入ると、父ゴールドシップを彷彿とさせる早めの仕掛け。一番外を回って、グングン前へと進出していきます。

直線、大外に持ち出したことで進路はクリア。内々を回ってきた馬以外はほとんどが馬群に沈む中、ウインマイティーのみが前へと迫り続けます。もしかしたらと思わせてくれましたが、わずかに届かず。

結果は6着でした。

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引用:https://www.jra.go.jp/JRADB/accessS.html

とはいえ、かなり肉薄した6着だったという点と、上位の馬はずっと内々を回ってきて、最後もなんとか粘ってという展開だったことを考えると、かなり強さを見せた6着でした。

身体の使い方も屈伸が効いていたと思いますので、次走クラシック最終戦も大いに期待できると思われます。

また、このレースで分かったこととして、休み明け・連戦などの調整過程にかかわらず力を出すことができる、という点があります。今までの戦績を見ると、一見休み明けは走らないように思えますが、レースをしっかりと見てみるとそんなことはありません。

能力は充分。位置取り、仕掛けタイミング、直線スペース確保がスムーズに出来れば、重賞制覇も狙えると思われます!

■次走:秋華賞(G1) 2020/10/18 京都11R (晴・稍重) 3歳 オープン (国際)牝(指定) 馬齢 コース:2,000メートル(芝・右) 3枠5番 騎手:和田竜二

スタートはややもたつくような形。しかし、内外の馬がダッシュよく前目のポジションを主張しに行ったことで、結果的にはゆったりとしたポジション確認ができる展開となりました。

落ち着いたのは中団のやや後ろ目。なんとデアリングタクトと同じような位置取りとなりました。内枠ということもあり、ウインマイティーがラチ沿いへ。外にデアリングタクト、間にアブレイズとマジックキャッスルという一段でした。ネタバレをしてしまうと、この集団にいたデアリングタクト・マジックキャッスルが掲示板に載ったので、展開・位置取りの選択自体は間違っていなかったと思われます。ただ、前述の2頭と比べると、ウインマイティーは末脚の瞬発力で勝負するタイプではありません。あくまで、長く脚を使ってジリジリと戦うタイプです。そう考えると、早めに仕掛けていく必要あり、ラチ沿いの選択は進路取りの難易度が高い選択だったと言えるかもしれません。実際に、デアリングタクトは3コーナーから積極的に番手を上げていきました。これは外にいるからこそできる選択だった言えます。本当は、この競馬をウインマイティーがやりたかった。ラチ沿いで脚を溜めて、直線進路が開いたら末脚ズドン!というのはデアリングタクトの長所です。

4コーナーを回る際、和田騎手は積極的に前で出そうとします。が、外から勢いよく被せてくる王者の姿。そして前には先行策で少しタレてきている超良血馬。「あ、終わった、、、」と、一番恐れていた展開となってしまいました。

進路が開いたとき、ウインマイティーはすでにデアリングタクトより後ろの位置取り。末脚勝負では分が悪く、どんどん離されていきます。後退していったというよりも、デアリングタクトをはじめとした末脚一気勢に置いて行かれたという感じで、決してへばっているようには見えませんでした。

結果は9着でした。

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優勝したデアリングタクトの上り3Fが35.8秒でしたので、馬場状況はウインマイティーに味方していたと思えます。これが33~34秒だとしたら、残念ながら太刀打ちは厳しかったでしょう。(いや、結果的に負けているのですが、、、)

レース後、和田騎手のコメントは下記のようなものでした。

「ゲートの中がうるさくて、落ち着かない様子でした。3コーナーで狭いところに入ったのもあるのか、最後に思ったよりも脚を使えませんでした」

引用:https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=178165

「まあ、そうですよね(>_<)」

次走はわかりませんが、紫苑S→秋華賞、と来たので休養に入って年明けすぐの金杯に使うか、あるいは11月15日(日)の福島ハンデ戦:福島記念(G3)とかが面白いのではないでしょうか。

いずれにしても、ゴールドシップの血を受け継ぎしウインマイティーちゃんを、今後も追いかけていきたいと思います。

投稿日:2020/10/18

更新①:2020/10/20

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