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バフェットがベリサインに再注目した理由:長期投資の視点から見るその魅力


ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイが、ドメイン管理大手ベリサイン(VeriSign)の株式を追加購入したというニュースは、投資家の間で大きな注目を集めています。

バフェット氏は、長期的な視点で持続可能な競争優位性を持つ企業に投資することで知られていますが、なぜ彼がこのタイミングでベリサインに注目したのでしょうか?

この記事では、ベリサインの事業モデル、バフェットの投資哲学との一致、そして市場動向や成長可能性について詳しく解説します。


1. ベリサインとは?その事業モデルの強み

ドメイン管理の独占的地位

ベリサインは、世界中で最も利用されているトップレベルドメイン(TLD)である「.com」や「.net」の登録管理を独占的に行っています。

この独占的地位は、米国政府機関やICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)との長期契約によって支えられており、新規参入がほぼ不可能な状態です。

具体的には、同社はこれらのドメインの登録や更新に関する技術的および運用上の責任を担い、その対価として安定した収益を得ています。


安定したストック型収益モデル

ベリサインの収益構造は非常に安定しており、ストック型収益モデルを採用しています。これは、新規ドメイン登録だけでなく、既存ドメインの更新による収益も含まれるためです。

特に「.com」ドメインはブランド力が高く、多くの企業や個人が継続的に使用することから、更新率も非常に高い傾向があります。

さらに、契約には料金引き上げが定期的に認められており、この点も収益増加の要因となっています。

例えば、「.com」の年間登録費用は2021年以降段階的に引き上げられており、このような価格調整は同社の利益率向上に直結しています。


高い利益率とキャッシュフロー

ベリサインは粗利益率が87%以上という驚異的な数字を誇ります。この高い利益率は、同社が運営する事業がスケーラブルでありながら固定費が低いことによるものです。

また、安定したキャッシュフローを生み出すことで、自社株買いや新規事業への投資など、株主価値を高める取り組みを積極的に行っています。


2. バフェットの投資哲学との一致

ウォーレン・バフェット氏は、「持続可能な競争優位性」を持つ企業への長期投資を基本方針としています。

この哲学に基づき、彼は以下のようなポイントでベリサインを評価していると考えられます。

競争優位性:参入障壁の高さ

バフェット氏が好む企業には、「堀(moat)」と呼ばれる競争優位性があります。ベリサインの場合、この堀は非常に深いものです。

同社はICANNとの契約によって「.com」や「.net」の管理権限を保持しており、この契約は長期間継続される見込みです。

また、新規参入者がこの市場に入り込むことはほぼ不可能であり、この点もバフェット氏の投資基準に合致します。


安定した収益構造

バフェット氏は、不況時でも安定した収益を生み出す企業を好む傾向があります。

ベリサインの収益モデルは、新規登録だけでなく既存顧客からの更新収益にも依存しているため、経済変動による影響を受けにくいという特徴があります。このような安定性は、長期投資家にとって非常に魅力的です。


割安感:市場評価とのギャップ

過去数年間、ベリサインの株価は横ばいで推移していました。その主な理由として、一部規制上の懸念や市場全体の不透明感が挙げられます。

しかし最近ではこれらの懸念が解消されつつあり、現在の株価水準が割安と判断された可能性があります。バフェット氏が過去にも割安株への集中投資を行ってきたことを考えると、この点も重要な要因と言えるでしょう。


3. 市場動向と成長可能性

デジタル化の進展

現代社会ではデジタル化が急速に進んでおり、新規ウェブサイトやオンラインサービスへの需要が増加しています。

特に電子商取引(EC)の普及やリモートワークの浸透が、この傾向をさらに加速させています。このような背景から、新たなドメイン登録数も増加傾向にあります。

例えば、新興市場や中小企業がオンラインプレゼンスを強化するために新規ドメインを取得するケースが増えており、この需要拡大によってベリサインの成長余地も広がっています。


自社株買いプログラム

ベリサインは積極的な自社株買いプログラムを実施しており、その結果として1株当たり利益(EPS)が着実に増加しています。

このような取り組みは、株主価値向上につながり、中長期的な株価上昇への期待感を高めます。また、自社株買いによる需給改善も市場評価にはプラス材料となります。


国際展開と新興市場への進出

現在、多くの新興市場ではデジタル化が進行中であり、それに伴って新規ドメイン登録数も増加しています。

特にアジア太平洋地域では、中小企業や個人事業主によるオンラインプレゼンス構築への需要が高まっており、この地域での成長機会も期待されています。


4. バフェット流投資家への教訓

ウォーレン・バフェット氏によるベリサインへの追加投資から学べることとして、「シンプルかつ持続可能なビジネスモデル」の重要性があります。

同社のようなストック型収益構造を持つ企業は、不況時でも安定したキャッシュフローを生み出すため、長期投資家には非常に魅力的です。

また、市場全体が一時的な懸念材料によって過小評価している場合、そのギャップこそが絶好の投資機会となります。


5. 結論:バフェットが注目する理由とは?


ウォーレン・バフェット氏がベリサインへの追加投資を決断した背景には、その独占的地位、高い利益率、そしてデジタル化による成長期待があります。同社は参入障壁が高く、市場環境にも左右されづらいビジネスモデルを持っており、それこそが彼の投資哲学と完全に一致しています。


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MBA卒の企業分析
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