20D:Sabbath on RAMPAGE Z(サバス オン・ランペイジ・ゼット)
本稿『サバス オン・ランペイジ・ゼット』は、TRPGの世界感設定であり、汎用基本ルール『20Dシステム』での運用を想定して執筆されています。
データの一部を加工すれば、『20Dシステム』以外の市販の汎用基本ルールで運用していただくことも可能です。
◆概要
ある国際的な巨大製薬企業が暗黒儀式の実験に失敗し、ポータルと
呼ばれる「異界の門」が、世界各地で開いてしまった。
外宇宙から来た異形の神の眷属である神話生物の襲撃により、人類
の8割は死滅した。人間社会はたった1日で崩壊したのだ。
緑は消滅し、水は干上がり、荒野にはマッドライダーたちとゾンビ
と神話生物が跋扈する。今や無法の弱肉強食の社会となった世界に
、いったい誰が発信しているのだろうか、ラジオがこだまする。
━━ YO!ゴキゲンか?生存競争者(サバイバー)ども!
『アポカリプス・レディオ』の時間だ!
次の安息日も《ランペイジZ(化物大襲撃)》が来るぜ!
備えろ!残された刻は、あと7日間だ! ━━
◆生存者
超常的なサバイバル能力を持つ者や、邪悪な科学を実施する科学者、暗黒儀式を執り行う邪教徒、魔法を操る魔法使い、超常的な武技を使う格闘家など、特殊スキルを保有している者が生き残っています。
また、一度死んで蘇った者た者も存在し、ほとんどの場合は自我なく生者を襲う化物『ゾンビ』となってしまいますが、ごく一部の蘇ったものは、意識を保っており『リターナー』と呼ばれて区別されます。
◆キャラクタータイプ
▼【(特殊異能)】
【ガーディアン】:集落を守る為に活動する自警団であり、化物退治の専門家でもあります。凄惨な世紀末となった世界は、生存をかけた人間同士の争いを産み出し、戦う覇気や力が無い者たちは、自衛の為に寄り集まって集落を形成しました。その中でも戦う術を持つ者は自警団となります。特別な力はありませんが、義侠心によって人間の底力(流星)を見せつけます。
【狂気の科学者(マッド・サイエンティスト)】:倫理に反する超科学の研究に取り憑かれた科学者です。超化学兵器『プラズマキャノン』を扱い、野獣のような人造人間『キメラクリーチャー』を従え、人道よりも知識欲に忠実に世界の秘密を暴きます。
【超自然考古術師(ウィッチ・クラフター)】:現存している希少な本物の魔導書と、非科学的な超常の力を放つオーパーツを所有している考古学者であり、本物の魔術師です。外宇宙の神とその眷属の知識を有しています。魔導書に記されている記述を研究し、いくつかの魔法を使うことが出来ます。
【世紀末退魔師】:チベット密教系の退魔の秘術を納めた法師です。チベットやインドなどに伝わる特殊な格闘武器の扱いを極めた僧兵の流派と、現代グルカ兵の用兵術をハイブリットした武装戦士でもあります。またポータルを封じる秘術を使うことができ、世界中に散らばって各地のポータルの対応に務めています。
【武装車両賊(マッド・モーターズ)】:刺々しい武装車両(装甲車や大型バイク)と凶悪な銃器類を保有し、弱者から奪った潤沢な物資を抱えた邪悪な賊の一派です。皆ユニフォームの様に、スパイクとビスで飾られたレザー製のプロテクターを身に纏っています。人々を脅し殺す為の数々の装備を持つこの郎党は、どんなに摩訶不思議な超常の力を持った存在よりも恐ろしく、珍妙な「ヒャッハー!」という雄叫びをあげて現れますが、二重の意味で危ない奴らです。彼らの姿を見ると「雑魚」や「YouはShock!!」という言葉を何故か思い浮かべるかもしれませんが、世紀末のサバイバルに特化したウォーリアーたちですので、舐めてかかると命取りになります。
▼【(特殊背景)】
常人にはない「異種族の固有の特徴」であったり、「特定の社会」に所属することで発揮できる「特権」など、特殊な「社会的な背景」による効果を表します。
下記から1つを選びます。選ばなかった場合は、デフォルトの【主人公補整】が採用されます。
【調査旅団】:複数の国の軍隊の生き残りによる連合軍『人間軍』の起動部隊です。大陸を横断し世界を旅して、生活可能な地や物資を探したり、力なき善良な者を救護したり、ポータルや超常能力者の調査をしたりする、サバイバルと捜査の達人たちで編成されています。荒廃した世界に整備された交通手段は無く、旅と住居を支えるキャンピングトラックで移動をしています。
【リターナー】:大災害で一度死んで蘇った不死者。何故蘇れたのかは本人にも分かりません。邪神の影響かもしれませんし、非人道的な化学実験の結果かもしれません。どんなに破損しても再生する肉体と、極めれば死霊を操るほどの霊能力を持ちます。所謂ゾンビとは異なり、食人衝動や体の腐敗も死臭もありません。理性と記憶を維持しており、青い炎のような眼光を発する目と赤味に欠けた白い肌以外、普通の生者と見た目は変わりません。血液の色は極端に薄く、心臓はすごくゆっくりと鼓動し、僅かな量の体液を巡回させています。
【邪教徒】:背徳的な混沌の神を信仰する神官です。外宇宙の神とその眷属の知識を有しています。現在2つの派閥が確認されています。1つは、深海で眠る大いなる神とその眷属たちを奉り、自らも眷属へと進化しようとする『ルルイエ派』。もう1つは、吸血鬼伝承を元に、人肉を食す、屍体を犯す などの背徳的な儀式によって不死を目指す、フランス発祥の『屍食教派』です。
【機銃聖堂騎士】:白く輝く西洋甲冑に身を包み、ナイトタワーシールドの隙間から機関銃を撃ちまくる神の代行者たる戦士です。腰の聖剣は儀式用でほぼ飾りですが、教会組織に属し、神の力を借りて奇跡の御業を起こすことができます。あらゆる脅威から弱き人々を護り、その対価として改宗と献身を要求する、搾取者としての側面も持ちます。
【荒野の変異体(ウィルダネス・オーガ)】:大きな体躯に角や牙を持つ後天的な亜人です。元々は人間でしたが、邪神に人間性を捧げて野蛮な亜人にミューテイションしました。野生に適応して超常的に変質した身体と、過酷な野外で生存する為の技術や知識を合わせ持ちます。
【ヘビィー・リスナー】:謎のラジオ番組『世紀末アポカリプス・レディオ』の熱狂的なリスナーです。この番組のクエストに毎回参加する一般出演者のスターです。出演者と言っても、放送中に指示された場所に行くと勝手に撮影されたり実況中継されるだけですが。番組から出題されるミッションの戦利品が主な収入源となっており、謎解き、競争、戦闘 など、あらゆるミッションで勝利する知力と体力と戦闘力を併せ持った、超人的なスーパーアスリートです。希少な携帯型動画受信機器を個人で所有しています。スターとして大変な有名人であり、どの集落に行っても彼のファンは存在するでしょう。
【レジェンダリー・フィスト】:伝説の拳法を極め、極限まで鍛え抜かれた己の五体を武器として戦う格闘家です。大脳の潜在能力を全開放することで気と呼ばれるサイキックパワーに目覚めており、相手の肉体を自由に操作する秘術を扱います。
【新人類】:デザインヒューマン(遺伝子組み換え人間)です。科学的処置を受けることで崩壊した終末世界に対応した、後天的な新人類となりました。
【レディオノイド】:奇械と融合した人間。所謂サイボーグではなく、自然な生物活動として無機物を取り込んだ存在である。代文化(機械、コンピュータ、通信 など)が崩壊した世界において、近代文化を自在に扱い、管理することが出来る唯一の専門家であり、装置そのものです。
◆世紀末アポカリプス・レディオ
荒廃した世界の各地には、誰が設置したのか鉄柱の上に屋外スピーカーが置かれています。それらのスピーカーからは、毎日不定期な時間に、各地域ごとの言語で、不思議なラジオ番組が放送されています。番組の名は『世紀末アポカリプス・レディオ』。動画配信もされている、世紀末で唯一の娯楽番組です。この番組の熱狂的なリスナーは非常に多く、あなたもその1人かもしれません。『第九冥王星放送局(YBS:Yuggoth Broadcast Station)』という所在不明のラジオ局が放送しているらしいこの番組は、誰が何の為に放送しているのか、全てが謎に包まれています。
▼番組コーナー
『世紀末ライフハック』:世紀末の世界で生き抜く為の豆知識。
『トライブ・ネットワーク』:世界各地の生存者たちの投稿交流コーナー。(投稿方法は不明。つまりヤラセ?)
『スクラップ・ピープル』:エクストリームお悔やみエンタメショー。
『デスボードRANKING』:世紀末歌姫たちの最新ヒットソングチャート。
『ゾンブリーダー』:ゾンビのブリーダー(愛好家)たちによるペット自慢。
『ジョセフくんとけんぞくくん!』:外宇宙の神の眷属である神話生物を毎回1体づつ紹介してくれる、2等身ゆるマスコット「ジョセフくん」が人気の幼児向け風教養コーナー。
『黙示録クエスト!デッド・オア・トレジャー!』:MCから出題されるミッションにリスナーが挑戦する参加型コーナー。豪華商品を目指して勝ち残れ!動画配信もされているので、一部のNET環境を所有している富豪は動画を楽しめます。
など、役に立つ情報から悪趣味な悪ふざけの様なコーナーまで、盛り沢山の内容で構成されています。特に注目されているコーナーが『黙示録クエスト!デッド・オア・トレジャー!』です。番組から出題されるさまざまなミッション(謎解き、競争、直接的な戦闘など)にリスナーが挑戦し、それに勝利した者が番組から用意されたお宝(主に武器や生活必需品)をゲットできるという趣旨です。
っていうか、絶対どこかでリスナーのことを観察していますよね? 右往左往するリスナーたちを観て楽しんでいるヤツらがいますよね? 権力や物資を持っているどこかの誰かを楽しませる為に命懸けのミッションに身を投じる悲しい玩具(ピエロ)。それが『世紀末アポカリプス・レディオ』のリナスーなのです。
◆世界
基本:世界各地でバケモノ(外宇宙から来た神の眷属)の襲撃が同時多発的に勃発し、世界はほぼ滅びました。わずかに生き残った人間も存在していますが、『ランペイジZ(安息日の度に出現する大量のゾンビ)』による大襲撃を受け続けており、このままでは人類全滅は時間の問題でしょう。
人口:世界の総人口の8割は死に、人間社会は崩壊しました。
国家:もはや国家という大きな器は意味を成していおらず、国という機能は崩壊しました。人間が生存可能な僅かなエリアに、10〜100人程度の集落が点在しています。もはや国境に意味はなく、生存者の心の中に母国意識が残っているだけで、仲間意識に似た心境的な区分でしかありません。今となっては、もう滅んだ国の国境よりも、どの生存勢力の縄張りかという線引きの方が重要でしょう。
貨幣:貨幣は利用できます。それぞれの貨幣をかつて発行していた国の中ではまだ通用しますが、国家が保証している訳ではないので、発行国を跨ぐとただの紙切れ当然になります。また、まだ貨幣が使えると言っても、物価がとんでもなく高騰しますので、物々交換の方が信用できるでしょう。
エネルギー:電力供給源は、わずかに残っています。かつて誰かが個人的に所有していた自家発電機(石油)や、小規模な風力・水力・火力発電の施設などです。個人レベルでの暖は、薪に頼っています。なお、石油の価格は爆上がりし、価格は人命よりも重いと認識してください。
水:川や海、雨さえも汚染されています。飲める状態ではありませんし、そこに済む魚や動物も、禍々しい姿の奇形で、食べると自身も汚染されるリスクも高く危険です。飲める水は源泉から湧いた水だけで、世界にそう何箇所も残っていない為、既に力のある者が独占しています。綺麗な水は大変貴重なもので、危険で不利な条件を飲んで、分けて貰うしかありません。持たざる者は皆、そうして乾きを凌いでいます。上等なろ過装置でもあれば、雨水ぐらいは飲めるようになるかもしれませんが、保障は出来ません。
食生活:襲撃前に生産された保存の効く食料の備蓄が、ゴーストタウンのストアや、倉庫などにまだ残っていて、それを消費している状態です。ただし、そういった食料にありつけるのは、この無法の世界でそれなりの力(暴力や財力や求心力)を示せる者たちだけです。そうでない者は、野生の小動物を狩るか野草や虫を収穫して食い繋いでいます。なお、農作物や穀物は無いこともありませんが、とんでもない高級品となっています。
◆スタンダードなシナリオのパターン
・必ず週末にやって来る化物の『大襲来(ランペイジZ)』に備えて、迎撃拠点の建築と防衛。
・力なき善良な生存者の保護。
・新しい生活圏と生存に必要な物資を求める探索と冒険の旅。
・人間同士での物資や生活圏の奪い合い。
・邪神(外宇宙の神とその眷属)を祀る邪悪な儀式の阻止。
・ラジオ番組『世紀末アポカリプス・レディオ』から出題されるクエストへの挑戦。
など、常に化物や敵対する人間との戦いが続きます。ポータルを完全に封じる方法を見付けて、人間社会を復興するまでは……。
◆今後の更新予定
2021年6月上旬を目標に執筆を進めています。
ですが、著者のスケジュール次第では、数ヶ月ほど延期する可能性が御座います。予めご了承ください。
◆ 基本ルールと他のアドオン
本作は、TRPG汎用基本ルール『20Dシステム』での運用を前提に執筆されております。
併せてお読みください。
◆ ご支援のお願い
只今、オリジナルTRPG『20Dシステム』と『サバス オン・ランペイジZ』は無料公開をしています。
しかし、開発環境の維持には少なくないお金が掛かっています。
お願い申し上げます。
お金に余裕のある方だけで構いません。20Dシステムを楽しんだ、もしくは九城の考えに共感した、という方がいらっしゃいましたら、多少のご支援を頂けますと助かります。
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