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コーポレート未経験から取締役CAOになった私が働くうえで大事にしてきたこと(後編)

はじめに

 こんにちは、スタメンでCAO(Chief Administrative Officer)として管理部門を統括している中谷です。

 タイトルにもあるとおり、コーポレート未経験からスタメンでのキャリアをスタートさせ、管理部門の役員を務めるに至るまでのこれまでの歩みと、その時々のフェーズで自分が大切にしてきた価値観を振り返ってまとめたいと思います。

  この記事はスタメンnoteリレーの19日目です!
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【スタメンでのキャリアサマリ】

2018年4月~:コーポレート本部 経理メンバー
2019年1月~:コーポレート本部 経理マネージャーに昇格
2019年頃~:IPO準備チームを兼務
2021年1月:コーポレート本部 管理部 部長に昇格
2021年頃~:経営企画領域を兼務
2022年4月~:取締役常勤監査等委員に就任
2024年4月~:取締役執行役員CAOに就任

1.メンバー時代
2.マネージャー(IPO準備)時代
について記載した前編はこちら👇

今回は後編です。
3.コーポレート部長時代
4.監査等委員時代
5.CAO時代
についてお伝えしていこうと思います。




3.コーポレート部長時代

部長に挑戦した経緯

 2020年12月、マザーズへの上場を果たした後、翌2021年1月からコーポレート部門の部長を任せていただくことになりました。

 マネージャー時代はIPOという高い目標に向かって邁進していたため、上場後の自身のキャリアについては正直あまり考える余裕がありませんでした。「あれをやりたい!」という具体的な意思もなければ「こうなりたい!」という未来像も全く描けていない状況でした。上司との対話の中では、次のような問いかけを繰り返し受けました。

  • これから先、経理の経験を重ねて専門的なスキルを磨いていきたいのか

  • それとも、経理の枠に留まらず、コーポレート全般を見る人になりたいのか

 悩んだ末、私は後者を選択しました。なぜなら、コーポレート部門として全社の組織運営、もっと言うと「仕組み化」に注力していきたいという考えに至ったからです。

 有難いことに、上場準備の過程では経理業務だけでなく、内部統制の整備にも携わる機会がありました。ベンチャー企業のコーポレート部門として、「仕組み化」の重要性は痛感してきましたし、自部署だけではなく、他部署や会社全体を巻き込むような場面においては、”真の仕組み化” とは、単なるルールやマニュアル作成ではなく、以下のようなことだと実感してきました。

  • 会社のフェーズや成長スピードに合わせた最適な選択をすること

  • 現場と経営陣双方に納得感のある運用をすること

  • 会社のカルチャーや経営方針に沿った展開をすること

  • 継続的なアップデートをすること

 そういう意味では、この仕組み化の過程はとても奥が深いですし面倒で骨の折れることなのですが、私にとっては実はここが一番のやりがいを感じるものだったとともに、自ら注力して取り組んでいきたいと思う部分でもありました。

 という訳で、経理という専門スキルに特化することよりも、コーポレート全体を見ながら仕組み化の部分で組織に貢献するということを心の中で誓いました。

負のループの到来

 部長に就任するまでの私は、経理の分野を中心に、プレイングマネージャーのスタイルを貫いてきました。前編で記載したとおり、自分の強みを理解して、強みをいかに伸ばして最大限の貢献をしていくかということに重きを置いていた訳ですが、今思うとある意味それは「楽」な選択でもあったように思います。

 部長になってからは業務への取り組み方において大きな転換期を迎えました。具体的には、それまで自分がほぼ経験してこなかった新たな分野(労務、総務、法務など)も見ていく立場になり、自分には知識も経験も全くない、いわば戦闘力ゼロの状態で、チームのマネジメントをしなければなりませんでした。当時の私は以下のマインドに陥っていたと思います。

  • 自分は担当メンバーよりも専門的な知識はない・・

  • 正しい判断ができているか自信がない・・

  • こんなレベルの人間に部長は務まらないのではないか・・・

  • もっと勉強しなければ・・・

  • でも実践が伴わず理解が進まない・・・

という風に、まさに負のループに苦しんだ時期がありました。


自分の役割とは何かに向き合う

 そんな私を救ってくれたのが上司からの言葉でした。
「一回原点に立ち返ろうか。部長になるってどういうことだっけ?専門家になりたかったんだっけ?」という問いかけです。
 
 士業の方を始めとして、専門的な資格をもった方や、その部門でずっとキャリアを積み上げて経験豊富な人なんて、この世の中に何万人もいるけれど、自分はそこを目指している訳ではないんだという事にハッと気づかされたのです。「そういう周りの方の知識を、良い意味でどんどん使い倒せばいいんだよ」という言葉も強く響きました。

 上司からの助言のおかげで、部長になる道を選んだ自分の気持ちを改めて思い出すことができ、自分のやるべきことがとてもクリアになりました。私は専門家を目指すのではなく、専門家の方々の知識を活用しながら、自分たちのチームや組織をより良い方向へ導くこと。その舵を切ることこそが私の役目なのだと気づきました。


自分の味方を周りに何人作れるか

 周りの優秀な方々にうまく頼ることを決めたとはいえ、誰でもなんでも都合よく教えてくれるほど世の中甘くない!と常に肝に銘じるようにしていました。単純にこれは自分自身も逆の立場だとそう感じるからというのが理由です。
 ビジネスは最後には人と人との関係性で成り立つものだと思っています。社内外問わず、人として気持ち良いコミュニケーションを心がけたいといつも思っています。例えば、

  • レスポンスが早い

  • 約束を必ず守る

  • 一歩先を想像した対応ができる

  • 相手の状況に応じた細かい気配りができる

といったような、すごく当たり前のことですがその積み重ねこそが信頼関係を形作っていくと思いますし、この信頼関係があってはじめて、「この人には協力してあげたい」と思ってもらえるのだと思います。

 同時に、自分が与えてもらうだけでもいけません。たとえ微力であっても、いつもどこかで誰かの力になりたい、還元したいという気持ちをもって接することも大事だと考えています。

 そういう意味で、私は「困ったときに手を差し伸べてくれる関係性の人を、周りに何人作れるか」ということを、当時も今も変わらず意識し、大切にしています。


4.監査等委員時代

思わぬ形のキャリアチェンジ

 2021年からコーポレート部門の部長を務めてきましたが、2022年3月、プライベートの事情で大きな転機が訪れました。本社のある名古屋から関東への転居が必要となったのです。

 当時、関東拠点である鎌倉支社は営業とCS部門が中心で、コーポレート機能はありませんでした。そのような環境で自分だけが鎌倉支社に移ることへの不安や迷い(そもそも会社的にOKなのかの疑問)もありました。

 そんな中、当時の代表と今後のキャリアの相談をさせてもらった際に、予想外のことですが「監査やってみない?」という提案をいただきました。

 余談ですが、入社前に経理未経験の私に「経理やってみない?」と声をかけてくださったときと全く同じ衝撃が走ったことを覚えています(笑)
そしてその時と全く同じで「え?私がですか??」と答えました(笑)
その時のことはこちらの記事に詳しく書いています👇

 この提案の背景には、上場前からお力添えいただいていた監査役の方が任期満了でご退任されることになり、後任の監査役(後に監査等委員に制度移行)を探していたタイミングだったという事情もありました。


でもなぜ私が監査?

 代表へキャリアの壁打ちをした時期というのは上場後約1年が経過した頃で、社員数は70名を超え、これからどんどん採用を加速させ、組織の急速な拡大を目指している時期でした。しかし同時に、残念ながら一定数の離職も発生し、組織としては先行きが不安定な時期でもありました。

 この組織の不安定さが、事業成長におけるボトルネックになる懸念もありましたし、下手すれば一気に組織が崩壊してしまうかもしれないという危機感やリスクと隣り合わせだったように感じます。

 このような状況下で、事業や組織の急拡大を進めながらも、正しく真っすぐ非連続に成長していけるよう、これまでよりももう一歩深いレベルで、現場のオペレーションにまで入り込んだ監督機能が必要とされていました。

 コーポレートという攻めと守りの両立が必要な分野で、一番現場感のあった私に声をかけてくださったという形です。
(一人だけコーポレートとして関東拠点に居るよりも、「監査」という立場&役割があるほうがむしろ、全社横断で現場と関わりやすく迷いもないだろうという、前代表のお気遣いもありました。とても感謝しています)


私らしい監査の在り方を模索

 そもそもの「監査とはこうあるべき」というような話は長くなるのでここでは割愛しますが、結論から言うと、監査にもいろんなスタイルがあって良いと私は思っています。

 前任の監査役の方は、ご自身も経営経験が豊富で、かつ複数企業で監査役を務めてこられた、いわば名古屋の監査の重鎮のような存在でした。当然ながらご自身の多彩なご経験や知識をもとに、経営陣との率直な議論や、的確なアドバイスを実践してこられた方です。まさに「経営を監督する」という監査の役割を十二分に果たされていらっしゃいました。

 一方、私には経営面でも監査面でも、経験も知識も全くありませんでした。じゃあそんなド素人の私には何が出来るのか。私は何を求められているのか。部長時代と同様、これを徹底的に考えました。


私だから出来ることは何か

 考えた末に私が見出した答えは「現場を正しく知り、現場と経営を繋ぐ」ということでした。もちろん監査として「経営を監督する」ことも必要ですが、それは別の監査等委員の方にお任せしよう‥と、ある種割り切ることにしました。それよりも、

  • 社外役員には見えづらい情報を正しく吸い上げて提供すること

  • 経営陣が見過ごしてしまうような現場の小さな違和感や歪みにいち早く気づくこと

  • 自らキャッチアップした情報からリスクを洗い出し提言すること

  • 適切な経営判断のための材料をスピーディーに届けること

これこそが私の監査としての役割であり存在価値だと思いました。

 幸いにも、私はこれまでコーポレートの部長として他部署と連携する機会が多く、また、管理会計を通して事業の状況を常に把握する立場にあったことなど、これまでのキャリアで築いた基盤があったからこそ、見出すことができた役割なのだと思います。


5.CAO時代(今ココ)

新たな挑戦の道中

 2024年3月、監査等委員としての2年の任期を終え、執行側に戻るタイミングで、管理部門を統括するCAO(Chief Administrative Officer)という新たな挑戦の機会をいただきました。

 スタメングループには2社の100%連結子会社がありますが、子会社の事業の立て直しや、管理機能のセントラル化への移行を図っていく時期とタイミングが重なっていました。

 私のCAOとしてのまず初めの最重要ミッションは、「スタメングループ全体のガバナンス強化」です。

 監査という業務を経験させていただいたことで、自分なりにですが「会社経営におけるガバナンスの目線」を養うことが出来ましたが、この経験は、現在のCAOとしてのキャリアに確実に活きていると実感しています。

 今現在、CAOとして取り組んでいるミッションの行く末は、また別途発信していけたらと思っています!


~結び~

 スタメンに入社してからCAOになるまでの約6年のキャリアを、前編・後編に渡って振り返らせていただきました。

 メンバーや社外の方々からも「特殊なキャリアですが、なぜこのように進んできたのですか?」とよく質問を受けますが、実はそこに格好良いビジョンがあったわけではありません。

『ただ自分が求められる場所で、ただ目の前の役割に向き合ってきた』

これが正直な答えなのですが、このようなキャリアの進み方もあってよいと私は思います。私の場合、自分では意図していなかった過去の経験が、思いがけず未来のキャリアに活きていることに後から気づくことが多々ありました。
「やりたいことが見つからない方」「この先のキャリアに漠然と不安を感じている方」にとって少しでも参考になれば幸いです。
長くなりましたが、読んでいただきありがとうございました。


最後に…

 スタメンには沢山のチャレンジができる環境があります。
先日、弊社代表の大西がPIVOTに出演し、スタメンの事業や組織について語っていますので是非ご覧いただけると幸いです!

明日はいよいよnoteリレー最後のランナーです。ご期待ください!

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