GOGATSU

一ヶ月。

驚くスピードで毎日は形を変えた。

振り返ると少し前はマスクはしてても平気でバスも乗ってた。

しばらくバスや電車には乗っていない。

今は、少し怖くてできるだけ避けたいと思う。



昨日は大事な友だちがお財布を盗まれたと連絡があった。

あまりに心配ですぐにかけつけられる準備万端で電話したら、

大丈夫だよー、と彼女は泣きながら笑ってくれた。

彼女はもう親友以上の家族のような存在。


犯人は彼女の家族からの、恋人からの愛情あふれるものたちを盗み、

私欲のために彼女のクレジットカードを使い込んだ。

彼女が止めるまでのほんの1時間少しの間で、

近くのスーパー2件とドラッグストア。


そこで買い込んだ食材のごはんはおいしいだろうか。

ドラックストアで買い込んだものたちは、潤いをくれるだろうか。

罪悪感のひとつもなく、

やったね!と心からいい時間を過ごしているのだろうか。


旦那は結局店まで来てくれた彼女に、

おなかいっぱい食べてとできたてのお弁当と、

明日も食べれるようにのお持ち帰りをたくさん用意した。

キンキンに冷えたお酒も一緒に。


そんなときでも、

「それはちゃんと商品だから、だめ!」と、

なけなしのお金を払おうとする彼女の大切なものを盗んだ犯人に、

制裁があることを、心から願う。


在宅は続く。

落ち込むひまもなく、手続きに今日も歩き回る彼女には、

離れていてもつながりを感じてもらえるように、

彼女の気持ちが怒りに支配されないように。


彼女に送る写真を撮ろうとカメラを付けたら

まさかのインカメで下向いてレンズを覗き込む自分が、

長方形のひどい顔でうつりこんだ。

思わず写真を撮って、

まじめな会話の間にはさみこんだ。

彼女は待って辛いと、肩を震わせて笑ってくれたそうだ。


あたしの大切な、堅実な彼女を傷つけるなんて、

まじで、許せない。



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