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行きつけは「シアターキノ」

これでも私は30年くらい俳優をやっている。地元・北海道での話だけれど。もともとTVレポーターをしていて「市民喜劇団」に入ったのが芝居を始めるきっかけだった。当初は「セリフを覚えてそれっぽく声に出す」くらいにしか思っていなかったが、芝居とは実に難しい。その難しさゆえに「次こそは」「次こそは」と、半ば負けず嫌いの意地で今日まで来てしまった。

学びのためにとシネコンや配信で映画やドラマを観る日々であったが、私の思考をガラリと変えたのは「映画24区トレーニング」との出会いだった。オンライン講座ではあるが、これをきっかけに映画にとても興味が湧き上がり、エンタメ要素の強い映画ではなく、芸術性の高い「本物の映画」を知った気がする。そんな映画を上映してるのが「シアターキノ」(北海道札幌市)である。

札幌の観光名所の一つ「狸小路商店街」の外れにある小さな映画館。初めていってすぐに年間会員に申し込んだ。壁にはずらりと監督や俳優の写真やサインが飾られている。

私の鑑賞方法はこうだ。観たい作品を選ぶのではなく

「行ける時間を決める」。

これによって忙しい中でも時間を作りやすいし、映画との出会いが格段に広がった。なんだか自分の幅も広がっていく気がしてウキウキする。

もしかすると「家のTVやモニターの方が大きい」と言い出す人がいそうなくらいのスクリーンが、なんだか心地よかったりもする。そして、想像以上にたくさんの人がこのミニシアターで映画を鑑賞しているのに驚いた。失礼ながら、ほとんど観客がいないのではないかと勝手な想像をしていたもので。

私は平日の昼に行くことが多いのでご年配の方が多いのだが、なんだか本当の映画好き「映画人」のような気がして嬉しくなる。そんな「映画人」に私も仲間入りだ!

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