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一般性と特異性
前回トレーニングには「鍛える練習」と、「レースで結果を出する練習」があるという話をしましたが、具体的にどんなものがあるか繋がりを説明します。
以上の2つをトレーニングの用語でいうと 「一般性と特異性」です。
これはトレーニングの原則にも含まれます。
「一般性」とは基礎の事で長距離で言えば1500m〜マラソンまで共通するようなベースのトレーニングの事で、継続する事ができ、大きな疲労感を残さずコンスタントにこなせるトレーニングです。
逆に特異性とは5000mなら5000mに特化したトレーニングという事です。レースの刺激に近い、レースをイメージできるようなトレーニングと考えても良いと思います。
一般性の方から説明すると、一般性トレーニングつまり長距離の基礎とは基礎持久力
と基礎スピードです。
これが土台、ベースとなります。
夏場の時期や冬はこういったものを両極端を高めていく時期です。
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16'40"で走ろうと思った場合目標のレースペースは3'20"なのでこの中心線が3'20"です。
20キロをキロ4'50"でようなトレーニングは下の赤丸になりと坂ダッシュや200×10本を32"や400×6本68"のレペのような練習、ウエイトトレーニングやプライオメトリクストレーニングなども基礎スピード練習、上の赤丸になります。
これをレースに近づくにつれて600×5〜8本や1000×3〜5、6000〜8000PRなど本番のペースに近づけていきます。
以上のような練習は、特異性の高いトレーニングになります。
下記のような位置付けになります。
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※どこからが特異的なトレーニングかというとはっきりとした線引きはありません。
では、16’40"を目標とする人が3'20"で3000+1000+400をした場合これはスピードトレーニングでしょうか?
持久系トレーニングでしょうか?
答えは、両方になります。
当たり前ですが最終的には、必要なスピードを必要な距離を維持しなければ行けないからです。
特異的なスピードでありながら特異的な持久力と言えます。
5000mを目標のレースとする場合、最も特異性の高いトレーニングはレースペース付近での3000m〜5000mのレペになります。
なぜかと言うと分割しないのでより本番に近い刺激、特異的な刺激という事です。
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ここを最終的なトレーニングの目標、というイメージを持って下さい。
この辺りになります。
しかし、いきなりは出来ないので当初は短くしたり、分割したり、長くする代わりに遅くしたりします。
ですが最後はそれを一致させなければいけません。
いくら400mを55"で走れようが、40キロを毎週走ろうが結局5000m16’40"に必要となるのは、5000mの距離を1周80"持続できる持久力とスピードになるからです。
特異的なスピード持久力です。
これが身体が準備できたという状態です。
おさらいですが、この一般性から特異性のトレーニングに移行して構造的に身体を仕上げていくことをピーキングと言います。
これでピーキングの概念、具体的なトレーニングのイメージが整理できたと思います。
SNSには、「5000m速くなるためのトレーニング3選」などわかりやすい情報が溢れて居ますが、そんな1発逆転のトレーニングはありません。
必要なトレーニングは時期によっても変わるものだからです。
時々この図を思い出してもらって自分の軸のペースはいくつか、このトレーニングはどの位置かを確認して計画的にトレーニングしていきましょう。
次回はトレーニングにおける3つの矛盾について説明します。