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Anycolor(にじさんじ)の売出目論見書及び決算書を分析

おはようございます、すてぃ次郎です。

今回は、まさかの日本株の企業を分析してみたいと思います。

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<はじめに>

Anycolorとは、日本のVtuber業界の最大手にじさんじを運営する企業です。
6/9に上場を果たしました。

何故、この企業を急に分析し出したか?と言えば、日本が数少ないトップを走るネット関連ビジネスだからです。
昨今Youtubeを見れば、興味が無くてもVtuberを見かける機会は多数あります。
Anycolorではありませんが、現在コンビニでVtuber関連くじが行われている程の人気を博しています。

2021年のYoutubeスーパーチャットランキングは、Vtuberがトップ10を占めるなど大きなビジネスとなっています。
(残念ながら、Anycolorの競合先がトップ10を占めている様ですが・・・)

概要及び業績の観点から分析をしてみようと思います。

<Anycolor概要>

2017年に会社を設立し、2018年からにじさんじプロジェクトを始動。
現在は、129名のVtuberが所属しています。

現在の売上高規模は、2022年度141.6億円となっています。
規模感で言えば、
Sansan162億円
鳥貴族156億円
ぐるなび129億円
スリーエフ123億円
などがやや参考になるかと思います。

主な活動は、
①Youtubeでのライブ配信
②現実世界でのイベント開催
③グッズ販売
④コラボによる広告事業
となっています。

45000名の応募から129名の採用ですので最新型の芸能事務所といった所でしょうか。

アドレス市場は、
1.Youtubeライブ配信:930億円
2.アニメグッズ販売:5819億円
3.アニメライブ活動:290億円
の計7039億円。

<Anycolor上場目論見書・決算書>

https://www.jpx.co.jp/listing/stocks/new/nlsgeu000006da6d-att/06ANYCOLOR-1s.pdf

https://ssl4.eir-parts.net/doc/5032/tdnet/2143232/00.pdf

売上高は前年同期比+85%と大きく伸ばしています。

収益の約半分はグッズ販売などのコマース事業。(YoY+112%)
この割合は常に変わりませんので、人気が続く限りは安泰の分野です。

反対に気になる点は、ライブストリーミング収益の成長率です。
FY22 4Q決算時にはYoY+23%の成長率でした。
再生時間は、176Mh(前年同期は141Mh)と成長に問題が無い様に思いますが、この内35時間は海外Vtuberの再生時間の為、国内での発展はあまりありません。

成長のカギとなるのは、海外Vtuber部門とイベントです。
イベントの売上高は前年同期比-85%と時期によって大きく左右します。
また、海外Vtuber部門(NIJISANJI EN)は売上高の11%を占めていますが前年同期は0%でした。
現在の大きな成長の原動力に違いはありません。

また、Anycolorが大きく成長した背景にはVtuber人気の加速によるファン層の増加が大きな要因と記載がありました。
再生時間より、ファンの母数を増加させることでグッズ販売が加速したのが国内での売上高増加に影響しています。
実際、グッズ販売の際に利用するAnycolorIDは53.3万(YoY+147%)と驚異の増加ペースです。

<Anycolorの今後の注目点>

日本国内におけるストリーミング増加は既に陰りが見えています。
その為、戦略性としては
①海外での大きなアドレス市場の開拓
②国内での新規ファン層に対するアドレス市場の開拓
が挙げられます。

既にどちらも開始しており、国内においては今までとは異なる男性アイドルVtuber増加を目指している様です。

海外展開は税制やシステムなど難しさはありますが、海外には無い分野での第一人者としての広がりはかなりのアドバンテージになります。

<Anycolorのリスク要因>

売上高の30%はトップ10のVtuber、売上高の50%はトップ25のVtuberが占めています。
Vtuberとの契約年数は約2年とのことです。
また、加齢と共に仕事への考え方が変化していくと引退の可能性が高まります。
現在、継続率は97%とのことですが、人気Vtuberが引退となれば代替が聞かず、厳しさが出てきます。

また、Youtubeとの関係性も大きな影響を与えます。
規約変更や契約内容の変更は収益に直接的な問題を与える可能性があります。
為替変動による売上高の変化も勿論あるでしょう。
円安はストリーミングにとっては現状有利です。

<Anycolorのバリュエーション>

6/20終了時でのPERは73.7倍。
売上高成長率はYoY+85%。
コンテンツミックスによる粗利益改善中。

日本株の平均バリュエーションなどは正直検討が付きませんが、かなり高めについていると思います。

成長率の維持や先ほど挙げたリスク要因を鑑みて、相場環境が改善した後に検討するのが良いと考えます。
現在米国を中心に不況の影が見えています。
Anycolorには直接的な要因は為替以外降りかかりにくいと思いますが、相場環境が悪化する中では理論株価は下がります。
現状買う必要はあまりないと思われます。

<すてぃ次郎の所感>

今回は初の日本株への言及を行いました。
今後継続する事はありませんが、気になる企業があれば国は問わずに分析してみようとは思っています。

今回、面白いと思ったのはコマース事業の売上高が最も大きかった点です。
イメージとしてはストリーミングやスーパーチャットが主な収益だと考えていました。
実際、海外部門でも売上高の半数はコマース事業の様です。

また、海外部門の売上高増加も注目の点です。
日本において世界を狙えるように事業は見つからないと発言していましたが、この分野においては世界トップ事業に成り得ると考えます。
安定性はまだまだ無い分野ですが、注目していきたいと思います。

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