クッツェー/夷狄を待ちながら
争いは作られる
この物語の舞台になるのは帝国に属する国境沿いの町である。
そこにきな臭い事態が出来し主人公含め町全体が巻き込まれることになる。
夷狄が帝国を攻めるに当たり、まずこの町を第一の目標とするらしい。
クッツェーはこの争いというのは不可避的にどうしても起こってしまうというよりは、むしろ企図されていると説く。
戦争状態、もっというと不和、さらに言えば敵というのは作られている。
夷狄というのは概念であって、その実別の生活基盤や文化をもっている自分たちとは異なる人々のことだ