オススメ映画レビュー【デトロイトロックシティ 1999年】 PIZZA COLA DIARY #01
閉鎖感の続く世の中、どんな健康な人間でも生活していれば心が疲弊してしまう今の時代にこそ、オススメしたい映画がある。僕が愛してやまない1999年公開のアメリカ映画『デトロイトロックシティ』だ。
“ヤロウども、ついてきやがれ!!”というキャッチコピーがなんともバカっぽい この映画のストーリーは非常にシンプルだ。舞台は1978年、人気絶頂のロックバンド“KISS”が大好きな田舎の高校生 4人組がデトロイトで行われるライブを観に行くために悪戦苦闘する一日を描いた作品である。本当にそれだけの映画である。では、なぜ僕がこの映画にそんなに心惹かれるのか。語っていきたいと思う。
まず、音楽である。劇中では、KISSはもちろんのこと、VAN HALEN、BLACK SABATH、cheap trick、David Bowieなどなど70年代後半のロックの名曲が延々と流れる。ロックが好きな人間には、たまらない。KISSの“狂気の叫び”を大音量で流しながらハイウェイをドライブするシーンなんかはとにかく最高で、自然とテンションが上がってくる。登場人物たちと一緒に“Shout it out loud!!”と叫びたくなってくること間違いなしだ。
次に、主人公たちのキャラクターである。左上から時計回りにジャム、ホーク、トリップ、そして、レックス。彼らは4人で“ミステリー”というKISSのコピーバンドを組んでいて週末にはみんなで集まって下手くそな演奏をしたり、マリファナをしたりする。この設定からして最高だ。トリップは常にラリっていてめちゃくちゃだ。ジャムは“KISSは悪魔の使者”だと宣う厳格なママに抑えつけられていて冴えないヤツ。レックスは常にクールな男、まとめ役のホークはあがり症だけどやる時はやる。彼らは三度の飯よりも、とにかくKISSが好きだ。どうにかしてKISSのライブが観たいのだけど、誰かがドジを踏んだり、思わぬトラブルが起きたりして、どうにもうまくいかない…。そんな どうにもかっこのつかない この4人組が観ていく内にどんどんと愛おしく感じられてくる。観終わった後には、4人の友達になったような気持ちにすらなる。
最後に、映画の展開である。この映画はとにかく約90分間の上映時間中、ずっーと ハイテンションで最後まで続いていく。そして、あっという間に終わる。“ヤロウども、ついてきやがれ!!”というキャッチコピーと同じようにバカっぽくて肩肘を張る必要なんて一切無い。何も考えずに、楽しめる映画なのである。逆に言えば、観終わった後 何も残らない映画ではある。だから、なんだ。何も残らなくて良いじゃないか!!と僕は思う。週末に友達と集まってとことんカロリーの高い宅配ピザを頼んで、コーラでも飲みながら 観るのにもってこいの映画。僕にとって、良い映画とはそういうものだと思う。
公開当時 予算$17,000,000に対して、興行収入は $5,800,000の大赤字で批評家からの評価も散々なものだった。本国ではどうか知らないが、ターミネーター2ですでに有名だったホーク役のエドワード・ファーロング以外は全員その後目立った活躍も無かったため、今この映画を語られることはほとんど無いが 埋もれるには勿体ない映画だと思う。シリアスにならざるを得ない今の時代だからこそ、観ている時間 とにかくバカでいられる本作のような映画が必要なのでは無いだろうか。
今週末 ぜひ愉快な四人組に会いに行ってほしい。BGMはもちろんKISSで。コーラとピザも忘れずにどうぞ。
still in a dream 愛媛県在住、ソロプロジェクトとして2018年4月に活動を開始。 全ての楽曲制作・映像、アートワーク制作を自身で行っている。 2020年12月 初となるシングル “faith”、翌年4月にはセカンドシングル“TONIGHT”を配信リリースした。
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