千年、あなたを待っていた。~龍の宮物語について~

星組バウホール公演、音楽奇譚・龍の宮物語をスカイステージで拝見しました。

もう、素晴らしくてすばらしくて・・・

これは無理してでもバウに観に行かなければいけない作品でした・・・このころ食聖で燃え尽きており断念しましたが、後悔しかないです(涙)

もともと、せおっちもくらっちも大好きなジェンヌさん。続けて3回観てしまい想いが溢れましたので、感想を書いてみたいと想います!

上演時からすでにたくさんの素敵なレビューを拝見しましたので、今更とても恐縮なのですが、何か共感ポイントがありましたら嬉しいです。

<以下、ネタバレしています!>

指田先生は今回がデビューということで初めて拝見致しましたが、数多くの伏線が張られつつも全てを丁寧に回収され、それでいて観客に想像させる余白も残されている。

本当に完成度の高い、緻密な脚本・演出だなと感じさせて頂きました。

そしてその緻密さを掘り下げ、表現しきった役者の皆さん。回数を重ねれば重ねるほど、味わいが増す作品です。また、青木先生の音楽の美しさが世界感を更に深めています。

まずはなんと言ってもせおっちの、純粋を通り越えた更に先の、透き通るよな清白さ!清彦の誠実さや真っ直ぐさ、玉姫に惹かれる一途さすべてに嘘がなく、誰もが惹かれてしまう好青年を、繊細に演じられていました。

そしてくらっち。存在感抜群の美しい玉姫様。高貴さだけではなく、深い悲しみを湛えたその立ち姿と表情は、本当につめたい水の中に生きているかのようでした。また、くらっちは絶妙な声色で巧みに役を表現される女優さんだなぁ・・・と改めて感心してしまいます。

そしてそして、おふたりの抜群のお顔の美しさが、作品の寓話的ムードを表現されるのに本当にぴったりなのです。

「ただ、あなたに会いたかったからだ。」

龍の宮物語では様々な人の想いが交錯していて、それぞれの状況や想いにはとても複雑なものが入り混じっています。

そんな中、唯一互いに想い合っているのが、清彦と玉姫。

ふたりの中に流れる想いは、世の中の男女と変わらない、とてもシンプルで純粋なものだと私は感じました。

なぜだかわからないけれど、あなたのことばかり考えてしまう。ただ、ただ、あなたに会いたいと思う。(先祖や過去の記憶が影響している、という考察もできますが、わたしは血は関係なく、ふたりはただひとりの男女として惹かれ合ったのだと思っています)

物語の最後、結果として玉姫は殺められてしまいますが、そんな清彦の愛で玉姫はやっと、成仏することができた。

愛しいひとが、遠い日の約束を守り、ただわたしの為だけに、戻ってきてくれた。

ただそれだけ、そのたったひとつの小さな誠実な愛こそが、玉姫を呪いから解き放てることができたのです。

天寿さん演じる龍神様のセリフにあったように、玉姫が息絶えた時、もっとも幸せそうな安らかな顔をしていた。

愛しい清彦の腕のなかで、初めて、ほんの一瞬だっだけれど、玉姫は愛に満たされた。

本当は誰も憎しみたくない、ただひとを愛するという幸せをもう一度玉姫に教えてくれた、思い出させてくれたのが、清彦だったのではないでしょうか。

気が遠くなる程長い時間、孤独と憎しみの中に閉じ込められた玉姫。

玉匣を開けた時の玉姫の声こそが、彼女の本当の姿・・・優しさであり、純粋さであり、清彦が惹かれたその存在の美しさであったように思います。

清彦は忘れないでしょう。愛しているから、玉姫のことを忘れないでしょう。そして清彦は生きていく。玉姫の愛によって生きながらえた命を尊び、残酷な現実を、でも逞しく、生き抜くのだと感じさせるラストでした。

時間も空間も超えて、ただひとり、会いたい人にもう一度会いにいく。龍の宮物語は宝塚ならではの、とても美しくて切ないラブロマンスです。

そして清彦という誠実・一途なスーパーイケメンにより、迷える女性をある意味救済してくれるという点で、これはオタク女子に刺さりまくるテーマではないでしょうか。←

せおくらの魅力を再確認できたとともに、また大切な作品がひとつ増えました。この繊細な言葉の脚本を丁寧に作られたスタッフの皆様、星組子のみなさんに、ありったけの拍手をお送りします!

歌劇の再開が待ち遠しいです。美しい皆さんが、一日でも早く、舞台に立つことができますように。

暴走気味な感想を最後までお読み頂き、誠にありがとうございました。


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