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”UDAGAWA GENERATION”足れ
カップリング以上、表題未満。
正直、先行配信で聴いた11thシングル表題曲の感想はそんなところだった。
それが今ではどうだろう。
気づけば5作も前、『Start over!』以来のハマり様である。
(個人的にいくもどもかなりリピートしてしまった覚えがあるが、その要因は過去のヒデジン2作があってこその、ジュラシックワールド最新作で登場人物みんな集結するみたいなオールスター感だと思ってるので、すっ飛ばし)
2月5日、22時に公開された櫻坂46『UDAGAWA GENERATION』のMV。
今までなんだかんだでシネマティックな映像で一貫していた表題MVに漂う予定調和の空気を見事に裏切ってくれる、遊び心満載の4分間。
たしかに私も初見にて、MV冒頭:
猫ミームさながらのジャンプ→松井ケムリさん顔負けの「おれー」
には「今回大丈夫か?」という不安に近い拒否反応を示さずにはいられなかった。
そんな中で
・藤吉中心に惹きつけられる表情変化
・全員で繰り出すキャプテンお馴染みポーズ
・れなあ砲
・いくもどを彷彿とさせる藤吉&森田→山﨑&森田のダンスバトル
・必殺技(?)に始まる森田ソロダンスにて片手側転
・以上2サビまでワンカット
(敬称略)
などなど、今までに到底無いテンション感も相まって思わずにやけてしまうような遊び方に、一旦”櫻坂らしい”MVへの期待をどこかにおいて楽しんでいたらば登場したのは、パリコレ(自体のイメージも曖昧だが)かのような奇抜な衣装を身に纏ったメンバーたち。
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ポケモンのジムリーダー・四天王を想像しました
ある意味”期待外れ”が過ぎて、肩の力が抜けていったのがよくわかった。
でもそれと同時に抱いた、「こんな魅せ方もできるんだ」というワクワクを纏った驚きは、多分、すでに日本のアイドルの枠を逸脱している中でもその特色として抱かれがちだったクールなイメージをも覆せるんだという気づきに対する喜びで、櫻坂が何色でも染まれることを再認識させられた。
その後ラスサビを迎えてひとり、1stシングルから表題センターを要所要所で担ってきた森田ひかるは、さまざまな物語の詰まった歴代衣装を脇に颯爽と進んでゆく。
「道化をただ演じているだけなのかもしれない」と滑稽な仕草も奇抜な衣装も全部そこに帰着させることもできてしまうからもはや何でもありという点で、今までにないことをやるにあたってサーカスを舞台にしたのは大正解。渋谷の工事現場に回帰するんじゃないか、なんて予想のはるか斜め上である。
でも彼女たちは、そんなふうにバカやっていることに対する評価を観客に期待せず、あくまで今まで通り現実的に思考しながらその自由を貫き通す。最高にZ世代、いや、UDAGAWA GEMERATIONだと思う。
この間奏〜ラスサビ部分は製作側も当たり前に視聴者の反応を想定していて、それがわかりやすく「道化師 対 貴族客」という対立構造に落とし込まれているのもしびれませんか。最後のクレジット部分なんて、見てる側は余韻(?)の渦中に違いないからまさにそう。視聴者の視点を擬似的に作品に参加させるってなんだか現代アートみたい。
何より、製作陣が楽しく作ったことが伝ってくるモノは見ていても気持ちがいい。元気出る。
以上いろんな要素をもってして、映像によって解釈の舵をきることで楽曲を格段に魅力的にするってMVとしてこの上ない役割を果たしているし、MVが良い場合はもとから曲が良いのが通例というか、正直今回のような例を見たことがなかったから余計惹きつけられている。(秋元康の術中でしょうか。)
未来をも見据えたこのワクワク感は、スタオバのときのように一瞬たりとも目が離せないのとはまた違う初めての感覚で、自分でもその感情の置き場に困ってしまうほどなのだが、まだまだ視野が狭い上に知見がないからこそ、櫻坂46を追う中でたくさん見えてくる新しい世界はやっぱり魅力的にもほどがある。
たとえ周りから見たり数年後振り返ったりした時に今の自分が盲目的だったとしても、素直に自分が面白いと感じた気持ちを、賛同に期待はせずとも、主張しなくとも、他者の評価に揺らがされずに自信もって保持していられる姿勢は大事にしていたい。
…だって we are UDAGAWA GENERATION!