資産運用サービス ラップとシステム ①
はじめに
10兆5,891億円、非常に大きな数字。2020年12月末時点での、一般社団法人日本投資顧問業協会発表(資料へ)のラップ業務投資一任契約による契約資産合計です。2013年に預り残高が1兆円を超え、急激に増大し2015年には5兆円、その後、順調に残高が伸びて2020年、遂に10兆円を超えました。
一般社団法人日本投資顧問業協会発表の統計情報よりグラフ化(資料へ)
サイオステクノロジー株式会社Financial & Unique SI Service Line では、2006、2007年あたり(当時は 株式会社キーポート・ソリューションズ)から長期にわたりラップ関連のシステム開発を行ってきました。最初にかかわらせていただいた時、その証券会社さんのラップ預り残高がようやく1,000億円を超え、ラップサービスを提供している証券会社数がまだ片手に足りないといった時代でした。
上記経験を踏まえ、何回かにわたり、ラップ業務とシステムについて書いていこうと思います。今回は、そもそもラップって何?に絞って書いてみます。
ラップって?
簡単に言うと、投資のプロがお客様(投資家)から資産をお預かりし、お客様に代わって投資判断と投資行動(売買発注)を行うサービスです。現物株式を組み入れることもありますが、最近は、投資信託に限定したファンドラップと呼ばれるサービスが最も普及しています。かつては、INDEX連動のETCを信用売りし、リスクヘッジするものなどもありました。
もう少し専門的に言うと、証券会社や銀行に金融商品取引口座を開設(契約)し、投資運用業者(証券会社、銀行、独立した投資顧問会社など) と一任運用契約を締結してラップのサービスを受けます。それら2つを締結(WRAP=ラップ)することから、ラップと呼ばれています。米国では、自分が管理する口座とは別に管理されることから、SMA(Separately Managed Account) と呼ばれることが多いです。
システム的な視点でいうと
ブローキングシステム(いわゆる、証券会社のシステム)、ポートフォリオマネージメント(投資運用業のシステム)、ラップのフロントシステム(一任運用契約において、運用資産を増額したり、一部解約したりなどの契約を管理するシステム)などなど、多くの業務・システムを理解していないとシステム構築できないため、日本国内でもラップサービスの業務システムを提供しているIT会社はかなり数が限られています。
難しさについては、別途、note作成したいなと思っています。
関連ノート
資産運用サービス ラップとシステム①(本記事)
残高管理 - 資産運用サービス ラップとシステム②
ポートフォリオ管理 - 資産運用サービス ラップとシステム ③
乖離検知 - 資産運用サービス ラップとシステム ④
リバランス - 資産運用サービス ラップとシステム ⑤
報酬(概要) - 資産運用サービス ラップとシステム ⑥
残高報酬- 資産運用サービス ラップとシステム ⑦
成功報酬- 資産運用サービス ラップとシステム ⑧
今後、このシリーズに含まれるノートのリンクを掲載していきます。