私の夢みた行く末
遠雷が鳴る。
遠くに聞こえる長い雪崩のような、そのくぐもった音は。
密かに私の恋の終わりを暗示している。
真っ暗闇がいくぶん緩和され、世界は朝への準備をはじめている。
雨。
どしゃ降りの雨。
きっとこの先は夏。
きっかけは些細なことだったのだと思う。
私のちょっとした言動が気に障って、なんだかんだで言い合いになり、私は引けないから、そのまま向こうがいいよってなるまで、そのまんま。
そういう「後処理みたいなこと」が嫌なんだ、と何度言われただろう。
そして、そのたびに「後処理みたい」って扱いに傷ついて、また向こうがいいよってなるまで、そのまんま。
そういうことを繰り返して、いったい私たちはどこへいくのだろう?
一度、そう聞いてみたかったけれど、もちろん答えなどないのは知っている。
最近は便利だ。ツールを使って適切な距離をとって話ができる。
物理的にも、心理的にも。
ここのところ定番になっていた静かで味のしない食事のあと、やはり静かに駅で別れて、そしてメッセンジャーにはいつもの謝罪が入っていた。私は安堵した。今回も、最初から最後まで、私はやっぱりそのまんまにしてしまった。
そしていつもなら、このあと、もとのように仲直り。
いや、きっとそうならないだろう。
これは私の予感であり、向こうの直感でもある。
同じ言葉に違う意味をのせられるほど、私たちは付き合ってしまったのだ。
あぁ最後の大雨が抜けた。
夏はもう私のとなりの部屋にまできている。
窓の外が薄明かりに包まれ始める。野外に潜む鳥たちが、一羽、また一羽とかすかな鳴き声をあげはじめている。始発がもうすぐ動くだろう。
もう行かねば。
携帯画面の上で震える指先をなだめる。
私に適切な距離はとれるだろうか。
私はふたたび歩き出せるだろうか。
私の夢みた行く末へ。
end.
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