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中国ビザ免除復活!~今乗るべきはジャンボジェットと高速寝台国際列車~

コロナのゴタゴタで停止された中国短期入国におけるビザ免除措置が本日11月30日、約5年ぶりに復活する。これに関しては細かい変遷やビザ取得の苦労話なんかを書きだすとキリがないので、今回ここでは自粛するとして、とりあえずパスポートを持っていれば、航空券を買うだけで中国に行けるようになったのだ。

そんなこんなでネット上では早速中国おすすめ観光地の投稿が流行っているが、単純に乗っかるだけだと面白くない。そこでややマイナーではあるけれど、乗り物好きなら間違いなく楽しめる中国ならではの楽しみを2つ紹介したい。

東アジア最後のジャンボジェットの聖地

はじめに…
B747(ジャンボジェット)とはなんぞやという方のために画像を。

タイ国際航空のB747(2023.10 BKKにて)

日系航空会社によるB747の運航が終了して今年で10年、旅客機としては世界的にもすっかり貴重な存在となってしまった。

2024年11月時点でB747を運航している東・東南アジアの航空会社は中国国際航空と大韓航空の2社に限られ、両者とも同機を日本線には投入していない。日本へ定期飛来するB747はルフトハンザの羽田便のみである。
コロナ禍のジャンボ退役ラッシュで日本の空はすっかり寂しくなってしまった。

そこで中国国際航空

ジャンボと中国がどう関係あるかというと…

中国国際航空は、な、な、なんと…!国内線にほぼデイリーでB747を投入しているのである!

投入路線は次の三路線だ。
・北京首都空港(PEK)⇔上海虹橋空港(SHA)
・北京首都空港(PEK)⇔広州白雲空港(CAN)
・北京首都空港(PEK)⇔深圳宝空港(SZX)
かつて日系航空会社が羽田⇔伊丹・那覇・新千歳等の国内主要路線にB747を投入していたようなものである。往年の日本の風景が中国では現役なのだ。

自分だけの航空券を創り上げよう

上記の国内線を片道発券すると概ね1.5万円程が底値であるが、前後に国内外の別都市を上手くくっつけると思いのほか安くなったりもするので、地道にいろいろと試してほしい。
自分だけの航空券を探しあてて発券したら、後は欠航や機材変更がないことを祈るだけだ。
※ここ1ヶ月でB747目当てで渡航する人を多数目にしたが、予想以上に機材変更が多いようだ。高くついても変更可の航空券を発券し、余裕をもった旅程で渡航することをおすすめしたい。

筆者は2024年5月にソウル仁川→北京首都→広州白雲を中国国際航空で通し発券して13,750円、このうち北京→広州がB747だった。

北京→広州単体だと1.8万円だったのに頭にソウルをつけるとあら不思議、1.3万円になりました。

今や世界的に貴重な存在になったジャンボジェットに1万円台かつ飛行時間2~4H程度の近距離フライトで楽しめるのは、アジアでは少なくともここしかないだろう。
ジャンボを取り巻く状況を考えるとそう長くはなさそうだから、早めに乗っておいた方がよさそうだ。

これまでであれば面倒なビザ取得を経るか、カツカツの旅程と搭乗拒否に怯えながら24Hビザ免除措置を悪用…もとい活用してしか乗ることができなかった国内線のB747に、今日からは航空券を買うだけで乗れるようになる。これはもう行くしかない!

搭乗記

締めに2024年5月の中国国際航空B747搭乗時の写真を。
見ると乗りたくなること間違いなし。

人生初のジャンボジェットはタラップ搭乗。快晴の北京で巨大な機体を見上げた時の感動は忘れられない(2024.5 PEKにて)。
国家主席になった気分でゆっくりとタラップを踏みしめる。
コックピットが上階にあるからノーズの先端までびっしり客席。これぞジャンボ!
飛行機の中に階段!?そうジャンボならね。
エコノミーは3×4×3。個人モニターはないけど座席が豪勢。
国内線とはいえ北京→広州は4時間弱。ちょっとした国際線よりも長いということで、立派な機内食が振舞われた。


高速!寝台!国際()列車!

飛行機の次は鉄道ネタです。
去り行く老兵B747の次は新しい高速寝台列車、それも外国人にとっては事実上の国際列車(この表現はとある方面から矢が飛んでくる可能性があるのであまり使いたくはないけど…)である北京・上海ー香港間の高速寝台列車。

復刻版 京九・滬九直通列車

香港(紅磡)↔上海・北京間の在来線寝台列車と広東省各地への昼行列車は、2018年の香港西九龍駅(高速鉄道専用の駅)開業後も運行されていたが、新型コロナウイルスの影響で運休になったまま廃止された。
細かい記録は確認していないが、紅磡発着の定期運行最終運行は2020年1月末頃だったはずだ。

そんな香港↔北京・上海間の寝台列車が2024年6月から高速鉄道として帰ってきたのである(昼行列車は2018年から運行実績あり)。
中国の日本語メディアではこれら高速寝台列車を京九・滬九直通列車の「格上げ」だとも報道している。
日本でいうなれば、東京↔鹿児島中央(西鹿児島)の「寝台特急はやぶさ」や大阪↔青森の「寝台特急日本海」が寝台タイプのN700系とかE5系になって帰ってきた!みたいな感じだろうか。

参考までに両列車のダイヤを(2024年11月時点)。
運行日はいずれも始発駅、金・土・日・月発便だ。
※このほか昼行列車は毎日運行

北京-香港
北京西(20時13分)→香港西九龍(翌7時45分)
香港西九龍(19時26分)→北京西(翌6時53分)

上海-香港
上海虹橋(20時15分)→香港西九龍(翌7時20分)
香港西九龍(20時05分)→上海虹橋(翌7時00分)

切符の手配はお早めに

筆者は8/30上海虹橋発の列車を利用したが、夏休み終盤ということもあり乗車2週間前の発売日翌日には完売だった。1日1往復の当列車を目当てに渡航する場合は、出発前に国内で予約を済ませておいた方がよさそうだ。
筆者はトリップドットコムの事前予約制度を利用して出国前にチケットを手配した。

事前予約制度をぜひご活用ください。

コスパやいかに

コスパという言葉があまり好きではないし、列車旅そのものを楽しみましょうが趣旨の記事でコスパを考察するのはどうかとも思うが一応。

当該列車の寝台(=軟臥相当)の料金は日本円にして約2万円である。上海→香港をLCCで移動して、バスとMTRを乗り継ぎ重慶大廈にでも泊まれば、最安で1.5万円程度だから安さを追求するのであれば合理的な手段とはいいがたい。とはいえ香港市街地のある程度のクオリティの個室宿の下限は週末で約1万円である。LCC+安宿には適わないまでも、現地でそれなりの宿に泊まった額と概ね同程度になる。
…え?座席ならもっと安いよって?
高速寝台列車で座席に乗ってどうすんねん!

乗車記

当該列車は外国人にとっては事実上の国際列車に等しいが、中国・香港双方の出入境検査は香港西九龍駅構内で一括して行われるため、上海虹橋から乗る場合は、国内他都市へ向かう列車と同様に改札が行われる。

一般の国内列車と同じように改札。

乗車すると定刻通り発車。これまで日本を含め寝台列車には、それなりに乗ってきたが、高速鉄道タイプは初めてだ。

一見ただの和諧号、しかし中は…
(なお11月時点では復興号にグレードアップして運行されている模様)

筆者が乗車したのは、いわゆる軟臥相当(硬臥は連結されていない)の2段寝台4人部屋だ。

ベッドの足元に上海と香港の写真、粋な計らいである。
さすがは国際()列車、軽食サービス
夜行列車旅の醍醐味といえば通路の座席。高速鉄道車両でも健在。

この列車の途中停車駅は杭州東と深圳北駅のみである。仮に杭州東で寝過ごすと1,000km以上先の深圳北駅までドナドナされてしまう、東海道新幹線の新横浜-名古屋もびっくりな列車なのだ。

上海虹橋駅出発後最初の停車駅、杭州東駅。次の停車駅は1,000km以上先の深圳北駅です。ご注意ください。

さらに翌朝、深圳-香港間のチケットや香港入境書類を持たずに香港域内に突入していまうと、高額な罰金が待ち構えているという最後まで侮れない列車旅である。

深圳北駅で20分の停車。さあ香港まで行かない人はさっさと降りてよ、さもないと罰金が…

国内移動でわざわざ香港直通列車に乗らんやろと思われるかもしれないが、意外にも杭州東や深圳北で降りる乗客が多くいた。実際に筆者と同室のパキスタン人家族は杭州東で降りて行った(シーツを整えて別の乗客が来た)。

翌朝、無事に香港入境

ビザ免除解再開前であれば、貴重な有給を消化してビザを取得した上で渡航するか、北京・上海入りしたその日のうちに列車に乗ってしまえば、翌日朝には香港、つまり24時間(到着日の翌日中)に第三国・地域(=香港)に出境するのだから、ビザ免除措置の範囲内云々…とややこしい話であったが、もはやそのような面倒事からは解放されたのである。ややこしいことは考えず列車のチケットを買って北京西駅か上海虹橋駅に向かうだけでいい。
これで年末年始の予定が決まったも同然だ!

まとめ

上記2つの搭乗・乗車記は「24Hビザ免除措置を悪用…ではなく活用して乗れますよ、推奨はしないけど」といった感じで個別に記事を出そうと思っていたが、どうにも筆が進まず放置しているうちに中国ビザ免除措置の報道が流れるに至った。
今回ちょうどいいタイミングだろうということで、記事の趣旨を変えてささっと書いて放出してしまう。
どちらも大都市発着で外国人の利用も多い航空・鉄道路線なので、あまり中国旅行に慣れていない人でも観光と合わせてとっかかりやすいと思う。
それでは良いご旅行を!

おしまい

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