St. Gallen Symposiumの関係者たち ~"Leaders of Tomorrow"とは何か!?~
皆さん、こんにちは!
第一回はSt. Gallen Symposiumについて、第二回は、St. Gallen Symposiumの特徴についてご紹介させて頂きました。
今回は、どのような人がSt. Gallen Symposiumに関わっているか、また、皆さんお待ちかねのLeaders of Tomorrowについてご説明します。
St. Gallen Symposiumに参加する人たち
第一回の記事で、St. Gallen Symposiumには1,000~1,500名、時にはそれ以上の参加者が世界中から集まると書きました。主に以下のような方々です。
◆Leaders of Today(※最近は"Senior Leaders"という名称が使われるそうです)
→文字通り「今日のリーダー」です。国連事務総長のコフィ・アナン氏やIMF専務理事(役職は参加当時、現在は欧州中央銀行総裁)のクリスティーヌ・ラガルド氏など、政治、経済、研究、文化等の各分野でご活躍されている方々です。毎年約600名が参加されるとのこと。
◆Aspiring Leaders
→各分野でご活躍されており、業界を代表する可能性がある30代以降の方。40代~50代が多い印象です。Leaders of Todayと共に、Leaders of Tomorrowとの対話を行います。
◆Leaders of Tomorrow
→「明日のリーダー」。30歳以下でSt. Gallen Symposiumの事務局が認めた200名が毎年選ばれます。どのように選抜されるかは、後ほどご説明します。
◆メディア関係者
→メディア関係者、毎年結構来ています。こちらにあるように、CNNやBBCなどがシンポジウムの動向を取材、全世界に発信されます。
筆者もシンポジウム開催中に取材を受けました。Leaders of Todayだけでなく、様々な人に話を聞いている印象です。
◆スポンサー
→St. Gallen Symposiumは各界のリーダーが世界中から1,000~1,500人集まるほどの大きな会議です。既に50回以上の歴史があり、毎回スイスは勿論、欧州及び世界中から様々な企業がスポンサーとして名を連ねます。スポンサー関係者も多数ご参加されます。
◆International Studnets' Committee他、財団及び運営関係者
→St. Gallen Symposiumは、サンクトガレン大学の学生によるInternational Students' Committe(ISC)が中心となって運営されます。文字通り世界中を回って広報活動やスポンサー獲得、Leaders of Tomorrowの発掘を行うため、多くのISCのメンバーは大学を休学します。
そして、サンクトガレン財団の他、プロフェッショナルから学生まで、多くの関係者がISCを支えます。
◆サンクトガレン大学の学生、地域の方々
→シンポジウム当日は、地域一丸となって1,000~1,500名、時にはそれ以上の会議参加者を歓迎します。サンクトガレン大学の学生300名以上がボランティアとして何らかの形でシンポジウムに関わっており、同じく数百名規模の地域の方々のご協力を得て、シンポジウムは成り立っています。
いかがだったでしょうか!?
St. Gallen Symposiumの参加者だけでなく、その雰囲気もお分かりいただけたのではないかと思います。
尚、上記の分類や参加者詳細は、2024年現在のものです。St. Gallen Symposiumは「世代間対話」の精神は不変であるものの、時代を読みながら、その時々で必要な形でシンポジウムを継続しています。参加資格や上記カテゴリーの名称などが、今後変更となる可能性もありますので、ご了承ください。
Leaders of Tomorrow
Leaders of TomorrowはスイスのSt. Gallen Symposiumの事務局が選定します。毎年200名の30歳以下が選抜されます。具体的には、以下の通りです。
◆Global Essay Competition(30歳以下の大学院生向けエッセイコンテスト)の入賞者100名
毎年、その年の会議のテーマにちなんだエッセイコンテストが開催されます。30歳以下の大学院生が対象です。
ちなみに昨年のトピッククエスチョンは「Striving for more or thriving with less – What pressing scarcity do you see, and how do you suggest to tackle it?」でした。
サンクトガレン大学のBoardと呼ばれる博士課程の学生数十名で、世界中から応募のあったエッセイを審査します。審査は非常に厳格で、応募者の名前はBoardに知らされることはありません。エッセイの内容のみを、基準に基づき厳正に審査の上、トップ100を決めます。
トップ100に選ばれた大学院生は、シンポジウムに無料招待されます。そして、シンポジウム期間中に投票にて上位3名("St. Gallen Wings of Excellence Awards")を決めます。まず、Leaders of Tomorrowを数十名ごとのグループに分け、入賞候補者が各グループのファシリテーターとしてディスカッションをリードします。このディスカッションを通じて入賞候補者はトピックに関する考えやエッセイで書いた内容を再考します。
そして、200名のLeaders of Tomorrowの前でプレゼンテーションを行います。非常に白熱した会で、毎回盛り上がります。
最終日に入賞者が投票で確定します。入賞者には賞金が授与されます。
◆各分野でリーダーシップを発揮し実績のある30歳以下の社会人100名(Knowledge Pool)
Leaders of Tomorrowの残り100名は、各分野でリーダーシップを発揮し実績のある30歳以下の社会人です。各分野から若い世代を代表し、知見を提供する役割であることから、"Knowledge Pool"と呼ばれます。政治家、起業家、ファミリービジネスの時期社長、芸術家などなど、Knowledge Poolの方々のバックグラウンド・専門性は多様です。
Knowledge Poolは、各国にて選考を行い、スイスのSt. Gallen Symposium事務局に良いと思われる候補者を推薦します。そして、最終的に100名がスイスの事務局によって選抜されます。
エッセイコンテストと異なり、その基準、選考の理由や推薦された候補者数について明示されることはありません。様々な観点やその年の状況から、総合的に評価しているとのことです。
バックグラウンドや実績等での選考の場合、基準を明示し過ぎるとそれに合わせたストーリーが作られたりする場合があります。スイス側では、公平性とより質の高い世代間対話の場となることを考え、候補者選びをしているとのこと。
尚、選考基準はリーダーシップや実績のみではありません。社会に対して自分の知見や経験を還元しようとする姿勢、コミュニティへの関与の姿勢、人格、インテグリティ、誠実さ、信頼性などが非常に重要なポイントとなります。
短期的に高い実績を上げることはできても、長期的に社会にインパクトを与え続けるには、レジュメの強さや実績以上に大切なものがあります。表面的・短期的な実績のみの評価ではない点は、堅実で信頼を大切にするSt. Gallen Symposiumらしいと言われます。
尚、日本からSt. Gallen SymposiumへのKnowledge Pool候補者の推薦は、St. Gallen Youth Club of Japanが担当しています。これまで、紹介制としていましたが、今年から公募を行うことになりました。詳細については、また別の記事でご紹介します。
St. Gallen Youth Club of Japanとして、より多くの方にシンポジウムにご参加頂き、知見や学び、ネットワークを得、人生の糧として頂ければと思います。そして、自分自身の成長やキャリア形成・事業の拡大にとどまらず、その成果や学びを日本、世界に還元して頂きたいと思っています。
アラムナイ・ネットワーク
Leaders of Tomorrowには全世界1万人を超えるアラムナイ・ネットワークがあります。各国のChapterでも様々な活動がなされており、一度シンポジウムに参加して終わりではありません。
私たちSt. Gallen Youth Club of Japanは、日本におけるSt. Gallen Symposium関係者のネットワーク強化と活性化を目的として活動しています。
今後は、過去参加者は勿論、世代間対話に興味・関心のある全ての方を対象に、よりオープンで開かれた、活気のあるコミュニティづくりをしていきます。
私たちの活動についても、また別の記事でご紹介できたらと思っています。
次回は、ビッグニュースをお伝えします。
今年は日本―スイスの国交樹立160周年です。St. Gallen Youth Club of Japanにて、特別プロジェクトを実施する予定です。
是非、ご覧ください!
質問やリクエストがあれば、以下までメール頂けますと幸いです。
pr.stgallenycjapan@gmail.com(St. Gallen Youth Club of Japan事務局PR担当)