第54話「トレーニング初日の緊張」
トレーニング初日
1999年9月27日(月)、カツヒロは指定された通りオークランド空港の一角にあるスタッフ専用の駐車場に車を停めた。そこから徒歩で1分の場所にトレーニングセンターがある。
入口のセキュリティゲートで、訪問者用の記入欄に名前と訪問先、滞在目的を記入した。トレーニングセンターは、ハンガーと呼ばれる格納庫(航空機を風雨や砂塵などから守り、中で整備や補給、待機などを行う格納施設)に隣接しており、作業用のつなぎ服を着たエンジニア達も働いている。
守衛の男性は特に無愛想でもなかったが、フレンドリーと言うほど楽しそうに接するわけでもなく、手馴れた手順でビジター用のシールを渡し、これから新人がトレーニングで向かう建物の道順をジェスチャーを交えて教えてくれた。
「Thank you sir, I am a new comer and would be an international flight attendant next month.」とカツヒロが元気良く守衛に告げると
「Ok, I hope you enjoy with us. Chao !」と守衛はニッコリおどけて見せました。
「ヨッシャー、ここまで来たら覚悟を決めてやったるぜー。」
カツヒロは胸の中でそう叫んだ。
トレーニングセンター内のモックアップルーム(実際の機内で使用しているギャレーや備品がそろっている部屋)の側を通ると制服姿のクルーが数人いた。
カツヒロ達より4週早く入社した新人フライトアテンダント達だ。4週目と言うと、ちょうど、EP( Emergency Procedure)とよばれる緊急脱出訓練を終えて、残り2週間で実務的なサービス訓練を始める段階に入っている。
先輩の木村が言っていたが、2週間のEPを無事にクリアして初めて、制服が支給され、それに袖を通すことが許される。と教えてくれたのを思い出した。
そうか、彼らはその最大の難関、EPを先週末に終えて来たばかりなんだ。真新しい制服姿の彼女たちを見かけた時は、凄くカッコ良く見えた。
カツヒロはトレーニングセンターの自分が所属するクラスを見つけ、部屋の前に立った。教室の広さは案外広い。6人掛けのサークル型のテーブルが4つあり、更におく方に縦長のテーブルが二台。30~40人ぐらい同時に授業が出来る大きさだ。
集合時間は9時だったが、遅刻しないようにと、早めに着いた。教室内にはまだ誰もいない。8時40分、中にはいると、ホワイトボードに大きく文字が書かれていた。
"Welcome to: James, Kathy, Andy, Kaori, Rachel, Mikiko, Justin, Ameria, Jean, Kate, Susan, Katsuhiko, Sarah" と書いてあった。
恐らく、この13人が同期入社で一緒にトレーニングを受けるのだとカツヒロは思った。
13人の名前の中に“KaoriとMikiko”と言う文字を見つけた。もしかしたら、自分以外に日本人が2人いるのかな?仮にそうなら、とても心強い。どんな人なんだろう?カツヒロはこれから始まる5週間のトレーニングを想像しながらクラスが始まるのを待った。
つづく。
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