第75話「アメリカンズ・カップとDuty Free Shop(免税店)」
1999年当時、ニュージーランドの総人口は383万人で、そのうちオークランドには4分の1に当たる約90万人が住んでいた。首都のウエリントンと南島の中心都市クライストチャーチは大体30万人程の人口で、約3倍近い人口がオークランドに集中している。
※2020年3月にニュージーランドの人口は500万人を突破、オークランドは約165万人、ウエリントンが41万人、クライストチャーチは40万人
政治の中心は、首都ウエリントンだが、ニュージーランド経済の中心はダントツでオークランドと言うことになる。
カツヒロがトレーングを受けていた1999年10月は、ヨットレースの最高峰「アメリカズ・カップ」の前哨戦である、ルイヴィトン・カップが開催中。日本からもチーム・日本チャレンジが韋駄天(いだてん)と言うヨットで参戦中だった。
そんなことから、日本チャレンジ関係者や彼らを応援するため、日本からキウイエアラインを使ってオークランドにやって来くる日本人も時々、見かけた。
海の上のF1レースの異名を持つアメリカズ・カップにおけるチーム・ニュージランドの立ち位置は、サッカーのワールドカップで言うところのブラジルのような存在だ。
チーム・ニュージーランドは1995年にアメリカ西海岸、サンディアゴで行われた前回の大会で優勝。今回はディフェンディングチャンピオンと言う事で、ホストカントリーの立場でレースに望んでいる。
ニュージーランドの中でも、とりわけオークランドは通称「シティ・オブ・セイル」(帆の街)と呼ばれるばれ、セーリングが盛んな街として有名。そんな事もあり、オークランダー(オークランドに住んでいる人達)にとって、ヨットに乗ることはそれ程珍しくない。ニュージーランド国民にとっても、ヨットは馴染みのスポーツだ。
今回アメリカズ・カップの開催地に選ばれたオークランドはシティの中心地に「アメリカンズ・カップ村」を急ピッチで建設した。
ルイヴィトンカップとアメリカンズ・カップの開催中、世界中の富豪がヨットレースの観戦にやって来ると言うことで、ウォータープロントに高級なコンドミニアムが多数建てらる。それに加えて、ニュージーランドの有名シェフが監修したレストランやラグジュアリーなブティック、ネイルサロン他、様々なブランドショップが進出し、当時のオークランドはバブル景気のような盛況ぶりだった。
※アメリカズ・カップ・ヴィレッジ
メイクアップトレーンングを終えて、何時もより2時間近く早く解放された男子4人は、DFS(免税店)ギャラリア・カスタムハウスを訪問へやって来た。
3階建てのクラシックな建物はニュージーランドで最大の免税店でオークランドの中心、カスタムスストリートとアルバートストリートのコーナに位置している。アメリカズ・カップ村から歩いて数分の場所にあり、このアメリカズ・カップ開催の恩恵を非常に多く受けてるようだ。
「会社の規定だと、ネクタイピンはシルバーかゴールドで、派手な装飾がないシンプルなものじゃないとダメだったよね。」
カツヒロはジャスティンに話しかけた。
「そうだったよね。俺、飛行機がついているヤツがいいなって思ったんだけど、アピアランスチェックで引っかかりそうだから止めとくよ。」
時計売り場の側にいたアンディが振り返り会話に加わった。
「時計もシルバーかゴールドが中心で、黒の皮製のバンドなら大丈夫みたいだけどね。折角フライトアテンダントになったんだから、エアラインIDを使って2割引きで良いものを買っておかないと損だよな」
※免税店によるが、航空会社の客室乗務員は会社のIDを提示する事で定価より20%程度割り引き価格で購入できる。
カツヒロは、ティファニーのコーナーでシンプルなシルバーのタイピンをかった。
本当はフライトように時計も新調したかったけど、それは、最初のDutyが終わり、アローアンス(乗務手当)をもらってから購入しようと思った。
ジャスティンは彼女に頼まれた、化粧品を数品購入し、アンディとジェームズは友人に頼まれたタバコを買った。
この4週間は、ずっとトレーニングとその復習で、こんなにゆっくり買い物する時間がなかったので、とても楽しい時間だった。多分、それはメイクアップクラスで残っている女子達もも同じ何だろうと思った。
オーダーした商品はそれぞれ、来週、火曜日のブリスベン・トレーニングフライトの帰りに空港でピックアップする手続きを済ませた。
国際線のフライトアテンダントになると、このように仕事のついでに免税品を購入できるから、とてもありがたい。但し、CAは一般の旅行者より免税で持ち込める金額や量が少なく設定されている。
だけど、毎月7,8回は海外にフライトするからその都度、免税品を20%の割引価格で持ち込めるから本当にお得だと4人は思った。
つづく。
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